5、異世界の説明的なやつ
「よいしょ、よいしょ」
俺は近所の水汲み場から俺を娘として面倒見るといってくれたハースさんの宿屋に届ける。俺がこの村に来ておそらく今日で一カ月ぐらいだろう。
当然この世界の知識を全く知らない俺は名前以外知らない記憶喪失の少女としてハースさんに教えてもらった。
まずはこの世界のことだ。この世界はどうやら異世界転生でお馴染みの剣と魔法の世界らしい。ただし、文化水準は高く雰囲気は中世ヨーロッパに日本の江戸時代をくっつけたような感じだが、魔導学というものが発達しており、それを利用した魔導具が国中に溢れている。
この世界は地球と同じように丸いことが天文学によって分かっており、地球と同じように太陽があり、夜になる地球よりも大きい月が現れる。この世界は主に2つの大陸と多数の島々に分かれているらしく大陸の大きい方をビッググラント、小さい方をフォースグラント、島々の地域をシーアイランドというらしい。ただしビッググラントには特殊な磁場が流れており、魔導具を乱すため十分な調査がされず、この大陸の数十倍と呼ばれる魔物が住んでるらしい。
俺の今いるこの国は海の国という国でこのフォースグラントのなかではもっとも面積を持つ国であるようだ。ちなみに俺が落ちたと思われる草原はもし東以外に進んでた場合一週間は人里に出られなかったらしくまた、俺の迷い込んだ森は妖の森と呼ばれ、魔力の発生地であるらしく通常よりも強い魔物が多いらしくアッシュさんに出会えたのは運が良かったと思っていい。
このフォースグラントには幾つかの国がある。もともとは大陸の名の由来である4つの国が治めていたのだが、少数民族の内乱や他国侵略などによって増えたらしい。大陸は主に3つの地域に分けられる。まずは北の地域はフォレストラインと呼ばれ、森林や花畑、草原が多く見られ、闇の国、森の国、花の国がそんざいしている。
次に大陸の真ん中に位置する国はもともと一つの国出会った金の国から三国が分立しており、金の国と大陸中央に位置する銀の国、そして東の砂漠地帯の少数民族たちと国を共同運営している山の国である。
最後に大陸の南側であるがそのほとんどは海の国の領土であり、一部の半島をシーアイランドに首都を持つ島の国が持っている。
さて、ここまでハースさんの話を聞き俺が疑問に思ったこと、そう言葉である。おそらく俺には言語翻訳能力なんていうチートは無いのだ。では、なぜ通じるのか、それは俺の喋っている日本語が海の国発祥の大陸共有語らしく、なんでも大陸を3つに分け、治めた3人の王達の言葉であるそうだ。ただし、文字については少し厄介であり、文法は日本語に似てるが、文字については練習あるのみだった。まあ今は何とか書けるが、
次にこの村についてだ。この村は国の西の妖の森のそばにある村で、冒険者たちが魔物を狩るために作られた村である。そのため、行商人や冒険者などの往来が多く、海の国の中でもかなり繁栄している村であるため、国からは自主権をもらっていたりする。ハースさんはこの村で宿屋を経営している。その、親しみやすい性格から村のみんなにも慕われる人気の宿である。
最初に俺をあの熊から救ってくれたのはハースさんの甥である、アッシュさんと言い、助けてくれた数日後に挨拶に行ってきた。
「えっと…アッシュさんいますか?」
アッシュさんが勤めているのは騎士の駐屯地だった。とりあえず受付の人にその旨を伝えるとアッシュさんを呼びに裏に消え、しばらくするとアッシュさんが現れた。
「ん?おっ!君はあの時の子じゃないか、もう体は良くなったのか?」
そんな風にアッシュさんは微笑みながら問いかけてくる。身長はおそらく180以上はあるだろう、あの時とは違い普段着のようなカッコながら、鍛え抜かれた細いながらがっちりとした体型が感じ取れる。当然顔は元男の俺でさえ分かるようなイケメンぶりである。ちょっと嫉妬を抱いたのはしょうがない。
とりあえず、アッシュさんにお礼を伝えると、騎士として当然の定めをしただけと笑われ、さらに、たまたま森に入っていたから良かった森は危ないから近づくなと言われた。
(本当に運が良かったんだなあ)
と改めてしみじみ思う俺だった。
その後も時々アッシュさんとは会って話をしたりする仲となり、俺にとっての兄みたいな存在になっている。
さて、この世界には魔物と呼ばれる生き物がいるらしい。魔物にも大きく二つの種類があるらしく、俺を襲ったあの熊は魔獣と呼ばれ、魔獣の発生する理由は未だに不明であるがおそらく魔力の発生地からの魔素を浴びすぎた動物たちが突然変異を起こして、生まれるのだろうと考えられている。
もう一つは魔族と呼ばれ主にビッググラントに多く住んでいる。種族で言えば有名なゴブリンなどがそれに該当するようだ。
さて、種族で思い出したがこの世界にはファンタジーではお馴染みの亜人種もいるらしい。有名なもので言えば山の国を共同運営している少数民族は獣人族である。しかし、昔、人間によって行われた亜人狩りにより多くの亜人種が討伐されたこともあり、フォースグラントには極めて少なく。そのほとんどは魔族と呼ばれ、エルフのようにビッググラントで暮らしている。
さて、最後に自分のことを振り返るかな。この世界は剣と魔法の国と呼ばれるように魔法が発達している。元の世界では科学の力で、自分の状態がわかったようにこの世界ではある魔導具によって自分の性別と年齢、そして種族がわかるらしい。ハースさんは私のためということでその魔導具を買って、私に使ってくれた。
性別:女
年齢:10
種族:人間−
(性別は女…うん、まあ知ってた。年齢…10!?そりゃこの体型だわ)
俺が女になって過ごして少し驚いていたのは自分の胸がほとんど無かったことだ。また、背も小さく、これで俺の元年齢だとしたらいろいろ残念な少女になってしまうと危惧していたのだ。
(まあ、10歳ならこんなもんだろ、あんま成長しすぎんのも嫌だが、せっかく女になった以上、少しはいい体型を目指したいしなあ。まあ男と肌を重ねるなんてのは今は考えられんが…さて、種族っと…ん?人間の隣に−がついてる…なんだこれ?)
「あの?ハースさん、この−ってのはなんですか?」
「ん?−かい?それはたしか人間と他の種族の混血ん時の人間の血の薄まりをあらわすんじゃなかったかね?普通のハーフだった場合はハーフなんちゃら、それよりも薄かったから人間−で8分の1からは普通に人間だったはずよ。ってことはミズキ、あんたはなんかと人間のクォーターね!でもほとんど人間と見た目大差ないし、気にすることはないわ!」
別に、俺は気にしてはいないがきっと亜人種狩りのこともあるから心配に思ってくれたのだろう。
「べつに、私は気にしてないですよ!それに私にはハースさんっていう素晴らしい…お、おかあさんが居るから…」
やばいかなり恥ずかしい。あまりの恥ずかしさのあまり俯いてしまう。こっそりハースさんの方を向くと目をまん丸に開けて
「ほんと、あんたって可愛いわねえ、そうだよ、あんたは私の娘さ!私を頼りなさい!」
そういって俺の頭を撫でてくる。元男の心境としては少し微妙ではあるが愛されることが嫌なわけではない。前の世界の母さんも口はうるさかったがそれでも自分を愛してくれていると実感していた。
(それにしても亜人の血かあ、いったい何の血なんだろうなぁ)
そんなことを考えながら宿への家路を歩いているとハースさんの私を呼ぶ声が聞こえた。
「はーい!」
俺は元気よく駆けて行った。こんな異世界ライフがこれからも続くそう思っていた。
ーそう、あいつらが現れ、あんなことにならなければー
お読みいただきありがとうございます!
ということで説明回でした。
けっこう長文を書いた気がするので指が痛い作者です。
やっぱりこんな感じのほのぼのがずっと続いて欲しいですね〜
まあタイトル通りこれからはしばらくシリアスに入る予定なんですけどね…
これからもお付き合いいただけれは幸いです!
誤字脱字、感想、批評ありましたらお願いいたします!