29、逃げたい!的なやつ
遅れてすみません!起きたら12時近くでした…
pv3万突破ありがとうございます。
私はある部屋の前に連れられた。
「おら!入れ!」
そう言って男は鞭をちらりと見せる。私は男の言う通りに中に入る。
「入り方がなってねえ!」
そう言って男が鞭を地面に叩きつける。私はビクッと身体を震わせるとすぐに地面に頭をつけて謝る。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。…」
「おや?すっかり奴隷が板についてますねえ…どうです? ジャンカ。あなたもそう思いませんか」
「そうですわねご主人様。クロノ君の所にいた頃とは比べ物にならないくらいの変化ですわ。」
「そりゃ、この男たちは私が信頼を置く調教師たちだからね。ほらそこの奴隷、顔を上げろ」
私は促されて顔を上げる。目の前には確かノイラーとか言う商人とジャンカさんがいた。
「ほお…顔は綺麗なようだな。」
「はい、だってノイラー様が商品としてお使いするのでしょうからね。顔には殆ど手を出していません。身体中に残る鞭傷も回復魔法で消える程度ですね。そして、何より心は既に折れておりますゆえ、鞭をちらりと見せれば何だって言うことを聞きますよ」
そう言うと再び男は鞭をちらりと見せる。身体が震える…目には涙が貯まる…
「うむ、上出来だな! これで作戦が進められよう。総統派の貴族のブリラロ様は大変な少女好きだったはず。こいつを贈ればきっとお買いになるに違いない。それにブリラロ様は奴隷を隠すことにも長けておる。これでクロノから私への下手な追及を避けられる。よし、そいつを贈る準備をしろ!」
「はっ!」
私は再び元の奴隷小屋へと連れられる。その途中声をかけてくる。
「良かったな、お前。これでこの生活とおさらばだぜ! まあ…ブリラロ様は大変な鬼畜な人だからな…奴隷がひと月持つのなんて珍しいらしいけどな!
ははは! 」
ここよりも辛い生活…。でも死んだら楽になれるのかな…。だったらそれ良いいかな…。
そして私は再び奴隷小屋に入れられる。もはや慣れたものだ。この冷えた床も私を暖めてくれるこの布一枚も。ほぼ丸見えのトイレだって。鞭は見せられても、音を聞いても怖いけど、どうすれば叩かれないのかも分かったし。
もう、涙は出ない。だってどうも感じないから。明日に希望なんて無い。そんなのは持たない。持つだけ無駄だって分かったから。何度助けを思っても助けは来ない。何度逃げようと思っても鞭の音だけでかき消される。
「はぁ…。もう、分かんないよ…。」
ドーン!と言う音と共に私の小屋の壁が壊れ男が1人入ってくる。赤髪のフードを被った男だ。音に気づいた調教師の男たちが檻の向こうに集まってくる。
「あちゃー…音でかすぎたか…っと、ん?おめー…奴隷か?」
赤髪の男と私の目が合う。男が問いかけてくる。私は少し驚きつつも小さく頷く。
「ふーん、そうか。」
男の反応は素っ気ない。そんな間にも檻の向こうには人が集まってくる。
「たまたまここで会えたのも何かの縁だ。一つだけ聞かせてくれ…おめーここから逃げたいか?」
男の言葉に私は、男が侵入してきた時よりも驚く。ついに、助けが来た…そう感じた。だけども本当に信頼できるのか…これ自体が私に対する罠なのではないのか…
「…えっと、本当に助けてくれるの? でも…私、強くもないし…それに…」
「ええい! まどろっこしい! 俺はこう聞いたんだぜ! 逃げたいか、それとも逃げたくないのか。 どっちだ? 」
そんなの答えは一つに決まってる。少し前、獣人のおじさんに聞かれた時はおじさんの勢いに押されしぶしぶ連れ立った。そういう風を装っていた。だけども、心のどこかでは嬉しく感じていた。やっとここから逃げられる!
ついに元の生活に戻れる! と…。だけどそれは自分の弱い心で潰えた。だったそれからは逃げるなんてことは考えられなかった。助けが来たって自分の弱い心で消えてしまう。その後の罰は気が狂うほとだ。でも、再び目の前には一筋の希望がある。もし、これに乗らなかったら二度とはないかもしれない。
…少しだけ
…怖いけど
…勇気を
「………たい…」
「あん? 聞こえねーぜ?腹から声出せよ! 」
「……げたい。逃げたい!!!」
私の声が檻に響き渡る
「オーケー!よく、言えたじゃねえか! いいぜ手ぇ貸してやるぜ!」
これがこれからの私の運命を変える赤髪の男との出会いだった
お読みいただきありがとうございます。
いつの間にかpv3万突破、本当にありがとうございます。それなのにこんなに遅れて投稿とか…本当にすみません!
さて、ついに助けの手が入りました。アッシュさんやクロノさんを期待してた皆さんすみません。アッシュさんだと闇の国まで行くのは簡単じゃないですし、クロノさんだと本質的な解決にならないと思いましてこうなりました。
次回は脱出劇の予定です。新キャラ赤髪君がどんな活躍をするのかお楽しみに
では、