28、八人の獣たち的なやつ
やったぜ!12時投稿間に合いました!
今回はミズキちゃんは出てきませんがこれからの彼女の運命を左右する奴らの登場です!
とある屋敷の一室。男が2人を机を挟んで向かい合っている。
「じいさん、あんたがどこで俺らの話を聞いたのかは知らねえが俺らに頼むっつうことはそれ相応のカネと覚悟が必要だってんのは分かってるよな? もし、そのどっちもねえならやめときな」
そう話すのは赤い髪にフードをかぶりサングラスをかけた若そうな男だ。その見た目は口調同様、粗暴な感じが現れている。
「当たり前です。このじじはもはや死ぬなんてことぐらいら容易いことですしね。ここにお金もあります。どうか可愛い子供達のためだ。あの商会を潰してくださいませんか。」
そう話すのは赤髪の男とは対照的にスーツでしっかりと格好を整えた60代くらいの白髪混じりの男だ。
赤髪の男は老人が渡した袋の中を確かめる。
「確かに、金は受け取ったぜ。さて依頼の方だが、あんたに話をもらった時に一応ある程度のあの商会の情報は掴んだ。あんたの言う通り確かに真っ黒だ。だが決してじいさんが殺す依頼をするまでないと思うが」
「はい、確かに表向きは、真っ黒でも殺す必要は無いやもしれません。しかし裏は真っ黒なんてもんじゃありません。真っ赤です。」
「真っ赤?どういうことだ」
赤髪の男が訝しげに問いかける。
「細かいことは省きますが現在のこの国は若者を中心に奴隷解放に向かっています。総統も奴隷解放には肯定的なようです。しかしノイラーと大臣は違います。彼らは奴隷産業によって今の地位にいます。だからこそノイラーと大臣はクーデターを考えました。そのノイラーの計画がとんでも無いのです。ノイラーは自身の奴隷達を厳しく調教し、その首輪に小型の爆発型魔導具をとりつけ自爆テロを計画しているようなのです。それは街だけではなく、奴隷を欲しがる貴族達や他の商人たちにも売り込もうとしているのです。」
「ほお…自爆テロとはよく考えてやがるな。逆らえねえ奴隷を使うあたりがほんとにクズの極みってところだな。だがノイラーの商会だけで良いのか?大臣の方は無視か?」
白髪の老人は少し笑うと
「まあ大臣の方は金で他の奴らを買っているので、その資金元が無くなれば怖くもなんともなくなるのです。あとは個人的にノイラーが嫌いだというのもありますがね。」
「ふっ、じいさん最後のが本音だろ? まあいいぜその仕事受けてやるよ。とりあえずこれだけは守ってくれ。この関係を誰にも悟られないこと。それとくれぐれも俺らのことを他人に話さないこと。 あとは成功するのを首を長くして待ってな」
「了解した。」
「これで契約成立だな!じゃあ金は貰ってくぜ。」
そう言うと赤髪の男は袋を背負うと窓に向かう。そして窓を開けると窓から飛び出し闇の中に消えていった。
とある屋敷に7人の男女がいる。
ガチャとドアが開く。
「おっ!アカちんお疲れ!どうだ…って痛っ! なんで殴んだよシドちん!」
袋を背負った赤髪の男が帰ってくると同時に和装姿の少年が声をかける。その言葉にはフランクさを感じさせる。それを言い終える前に殴った、オレンジ色の髪を後ろで結んだ同じ歳くらいの少年が口を出す。
「当たり前だろ! いつも言ってんだろアカギさんは俺らの大将だって。それをちんとか付けて…友達か! 」
そうして言い合いを始める2人。その2人をもっとやれという風にまくしたてるのは彼らよりも少し年下そうな少女である。同じく止めて入るわけでもなく楽しそうに見てるいるのは腰に銃を付けた背の高い男。その横で特に何も話さず無言で佇む鎧姿の男も目に入る。
すると奥から2人歩いてくる。1人はいかにも武闘派な感じの男。そしてもう一人は背の高いスレンダーな美女が歩いてくる。武闘派の男は喧嘩している2人の横に入る頭上からゲンコツを振り下ろす。悲鳴とともに2人が頭を抱えてうずくまる。
「お前ら…なんで、いつもいつも喧嘩すんだよ。ほらアカギの野郎が呆れてんだろうが。シェン…お前にはいつも言ってんだろ、少しは敬うって気持ちを持て! そしてシドもだ。別にアカギは堅っ苦しく無くていいっつってんだから気にすんな。」
武闘派の男の迫力ある説教に流石の二人も黙り込む。
「ふふふ…おかえりアカギ。どうだった契約の方は? やれそう?」
美女が3人の姿を見て笑いながらアカギと呼ばれた赤髪の男に問いかける。赤髪の男は呆れたように袋を地面に置くと袋口を開け金を見せる。全員の唾を飲み込む音が聞こえる。
「ほんっと騒がしいなおめーらは! まあこれじゃなきゃ、うちって感じもしねえから別にいいんだがな。とりあえず契約は成立だ。イサシの言う通り、ノイラー商会は大臣と繋がっていた。まあ政治的ないざこざはどうでもいいが、亜人奴隷をただの人形のように考えてんのは許せねえしな。イサシ! ノイラーのこれからの予定調べてあるか?」
さっきまで喧嘩を見て笑っていた背の高い青年が答える
「はい、一週間後にチェルノハンクに向かい、そこからその作戦を開始するようです。」
「おめーら聴いたか? ここ、ダンケヘイトからチェルノハンクまで移動する。決行場所はそこだ。じゃあ準備の期間を設ける。3日後にチェルノハンクに集合だ。遅れたら殺す。分かったか?」
全員が頷く。
「よし、じゃあおめーら、とりあえず言っとくぜ! 仕事の開始だ! 」
屋敷の中8人の獰猛な獣のような目がぎらついた。
お読みいただきありがとうございます!
今回は早めに投稿できて一安心な作者です。
さて、今回の副題は様々な策略です。神の目視点から大臣とノイラーの策略。総統の策略。白髪の商人と赤髪の男の策略。をお送りしました。と言っても話してるのは赤髪の男と白髪の商人だけですが。
本当はもっと長くなりそうだったんですが、一商人が大臣の策をそこまで知ってるかい!ってことで結構削りました。それらは後で出す可能性はあります。
さて、八人の獣たちの登場です。こういう奴らカッコいいですよね! こいつらが一体ミズキちゃんにどう関わっていくのか? 作者も楽しみです。
感想や誤字脱字報告もしていただけると嬉しいです。
では、
※少し容姿を変更しました。