26、裏切られることの大きさ的なやつ
ほんと!すみません!
めっちゃ更新おくれました!
「おら!起きろ!」
私に冷たい水がかけられる。今はこっちの世界でも冬だ。ダンケヘイトのご主人様の部屋にいた時も積もってはいなかったが雪が降っていたのは見たことがある。そんな季節に冷たい水である。私は驚いて飛び起きる。身体に激痛が走る。悲鳴をあげるが声が出ない。
そこで私は自分がジャンカさんに騙され、鞭で叩かれ、奴隷商の魔導車に乗せられたことを思い出した。私とご主人様の繋がりの証である首輪は取り外されている。これでは、ご主人様はここまで来てくれない…
(いや、私が勝手に信頼してるだけだし…場所が分かっても来てくれないかな…)
ふと、アッシュさんのことが浮かぶ…アッシュさんならどんな時でも助けに来てくれた。今回もきっと…
そう思ってわたしは再び沈む。その人任せなところが、私がせこい人間だという証明なのだと。
「おい、起きたならさっさと動け! さっさとこっから出ろ!」
そう言って男の1人が、手に持っていた鞭を私めがけて振るう。それが二の腕に当たる。
「っ!?」
あまりの痛さに苦悶の声が出る。私の目に涙が溜まり始める。それはそのまま堰を切ったように流れ出す。無音により声は出ないが、もし術が施されていなかったらまるで幼子のように泣き喚いていただろう。
しかし、男は私が泣いているのなんて目にくれないように鞭を続けて振るう
「おいおい、そろそろやめてやれよ。あまりやりすぎるとノイラー様に合わせる前に壊れかねない。」
笑いながら別の男が仲裁に入り、鞭打ちはやめられた。身体中にミミズ腫れができている。背中に至っては血まで出てそうだ。
私は立つように言われる。しかし、腰が抜けているのか足に力が入らない。私がそうやってもたついていると髪の毛を掴まれる。
「ほら、何もたついてやがる!あんまり遅いと、俺らが怒られんだよ!ほら立て!ついてこい」
そう言って髪を引っ張りながら歩き出す。
(痛い!やめて!髪抜ける!ほんとに!痛いから!自分で歩けるから!)
どんだけ思い、どんだけ口に出そうとしても声は上がらず、ただ口をパクパクするだけだ。そして一度もたつくと後ろから鞭で叩かれる。
どのくらい歩いたのか…
あまりの痛さにふらふらと引っ張られ叩かれながら歩いていた私はいつの間にか一つの部屋の前に着いていた。
「失礼します!」
男は俺を片手に扉をノックすると中に入る。
「クロノのお気に入りの奴隷を連れてまいりました!」
そう言って俺を床に投げ捨てる。私が見上げるとそこには私を連れ去った商人の男が立っていた。
「ご苦労様です。ん?まだ無音解いてなかったのですか。ほら、ジャンカ、お姫様の術を解いてあげなさない」
返事をして奥から現れたのはジャンカさん。私にかけられた術が解ける。
「……あ…あ、ジャンカさん!どうして!ジャンカさんはご主人様のメイド長でしょ!ご主人様に助けられたんでしょ!なんで? どうして?」
私は術が解けたことを確認すると、ジャンカさんに問いかける。
「あら?この前言ったじゃない。だからね、私はこの人の下僕なの。確かにクロノ君には助けて貰ったけどね。その後この人と会ってからね、私の生活はさらに一変したわ!今はもうね、この人無しじゃ私はいられないのよ!」
そう言って顔を赤らめるジャンカさん。それだけで私はどういうことかを察する。
「さて、君にはクロノに対する切り札として使わせてもらうよ。あと、クロノのところでは丁重に扱われてたみたいだけど、君はあくまでも亜人で奴隷なんだ。私がそんな高貴な扱いをするとは思うな。そこの君たち、この子の面倒は任せたよ。死ななければどうやったって構わないから」
「へい!じゃあこれをつけてもらおうか」
そう言って男たちが私の首に新しい首輪をつけようとしてくる。私はつけられまいと必死に抵抗する。しかし、相手は大人すぐに取り押さえられてしまう。
「ジャンカさん!助けて!」
私は最後の希望を懸けてジャンカさんに助けを求める。限りなくゼロに近いジャンカさんが助けてくれるという確率に…いや違う私が信じたいのだ。人を。自分が信じられると認めた人を。
もし、これでダメだったら今度こそ本当に自分が壊れてしまう。自分が信じられると思った人に裏切られる。たったそれだけのことで人を無理やり信じるだけで今まで心を保ってきた私の心が限界を迎える…と分かっているから
「イヤだ」
しかし、それは無情にもたった一言で打ち破られた。
「私が貴女に近づいたのは、貴女がご主人様にとって価値のあるモノだと思ったからよ。」
やめて
「別に貴女のことをどうと思っていないし、貴女の世話をしていたのもそのため」
やめて!
「それこそ今まで亜人の奴隷に触り続けていたことがどれほど辛かったことか」
やめて!やめて!
「私を貴女は信用していたようね。それは良かったわ。私の演技が上手かったってことだから。」
お願いだから!それ以上は
ミズキちゃん…私がね貴女みたいな生きている価値のない奴隷娘なんかを本当に好きなはず無いじゃない?ふふふ…だって私…」
ダメぇ!言っちゃダメ!
「貴女のこと……………大っ嫌い!だもの」
私の心が砕ける音がした。
私は抵抗をやめる。
男達は私の首に首輪をつける。
男たちが首輪についたリードを引っ張る
私はそれに無気力に着いて行く
檻の前につく。
檻に入れられる。
「じゃあ、またあとで来るからな!安心しろよ!ノイラー様から言われたから死ぬことはねぇからな。」
そう言って男達は笑いながら檻の前から立ち去る。
私はよたよたと歩くと檻の片隅に膝を抱えて座り込む。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
私が『俺』だった頃に望んでいた異世界転生はこんなのじゃなかった。
異世界に転生した人は勇者だったり、聖母だったり、神の使いだったりになって必ず人を導く立場となる。そして、最終的には魔王を倒したり、邪神を倒したりする。
もしくは、学園中が羨むハーレムの中心かもしれない。周りに可愛かったり美しかったりする女の子を引き連れ。どの女の子にしようか迷ったり、クラス内の友達とバカやったりする。
現代世界に疲れたからこっちの世界では…とか言って、神様から貰ったチート能力を使ってゆっくりのんびりと商人生活や農業生活、隠遁生活を送る。
こっちに来る前の『俺』は別にそのような生活を送れなくてもいい。勇者を後ろから応援する村人Aでも、ハーレムを外から羨ましそうに見るクラスメートでも…『俺』は…ただ、きっと今よりも楽しい生活が異世界には待っている、そう信じていた。
だけど、今…眼前に広がるのは、黒く重そうな格子
壁と床は石畳。窓なんて無い。
身につけているものはボロボロとなった服
手足は自由でもそれについているのは鞭傷
そして何よりも…全てが弱い少女の『私』
他人に助けを求めることしかできないズルい『私』
何でもかんでも、裏がないかと疑ってしまう『私』
異世界転生は素晴らしい…そんなの嘘だ。幻想だ。
私は1人膝を抱えて泣く…
ガチャンと音が聞こえ、私はいつの間にか寝ていたのだと悟る。
「おい、仕事だ!早くしろ!」
男が怒鳴る。私はふらふらと立つと男の元へ歩く。
パチン!
男の前に立った瞬間に鞭で叩かれる。あまりの痛さにその場に崩れ落ちる。
「遅えんだよ!さっさと動け!このクソ奴隷!」
そして男は背中めがけて鞭を振るう。先ほどまで私を叩いていた鞭なんかじゃない。より太く肌を削り取る。そんな鞭だ。
それが昨日、今日で腫れに腫れた背中へ振り落とされる。
悲鳴が響く。
男はうるせえんだよ!っとさらに振りおろす。私の身体が震える。
数発私を叩くと男は振るうのを止め、私の首にリードをつける。
「ちっ!遅れっちまうじゃねえか!ほら行くぞ!」
そう言って男はリードを思いっきり引っ張る。私の首がしまる。私は必死に男に着いて行く。
視界が明るくなる。男はこっちに振り向くと口を開く。
「じゃあ今日からいろいろと頑張ってもらうぜ!」
目の前には沢山の亜人奴隷の人たちが土木作業で働いていた、
お読みいただきありがとうございます。
あまりの話の暗さにとても筆が進まなかった作者です。
暗い話は辛いです。文がかなりめちゃくちゃです。ほんと申し訳ない! また、後日書き直す可能性がめちゃくちゃ高そうです。
ということで、ついに冒頭につながりました。まあもう少しあとで繋げても良かったのですが、とりあえずはここでプロローグにつなげときます。
さて、次回は12時までに投稿できたらな。と思ってます
では、