1、少年が異世界に行くまで的なやつ
「ーほい、谷津、ん? よく頑張ったんじゃないか、このまま頑張れよ!良くなったからって油断するなよ。ほい次、山代、うーん、お前ちゃんと勉強しとるか? このままだと厳しいぞ。まあ頑張りなさい。ほい、次ー」
帰りの時間、担任の先生が俺に模試の結果を渡した。その成績はまあ良いか悪いかと言えば悪い部類の結果だろう。並ぶ志望校のEやDの判定ばかりである。
(まあ勉強した覚えもないし確かにこんな点数だろうなぁ、まあ妥当かな)
なんて、自己完結してみる。
この学校は県内で言えば上位の学校であり、「高い志望を!」なんていう謳い文句のもと、判定用紙にも国公立の大学の中でも難関と呼ばれるものを記載する。
だから仕方がないだろう。
(しっかし、本当の、第一志望の県内の大学でさえDとか大丈夫だろうか…もう秋だぞ? まあ追い込まれたら勉強するだろうから、まあそん時の俺頑張れよ!)
未来の俺に無責任に責任を押し付け俺は友達の席へと駆けて行く。
「おーいみんなどうやった?見せあおうぜ!」
その場にいた友達と結果を見せ合う、俺の成績が、勝っていた教科もあるにはあるが、案の定総合的には最下位であった。
「くっそー、あと少し数学がとれてれば、ここB判だったのになあ…。っていうか山代お前そんな点で大丈夫かよ?そもそも勉強してんの? お前、6月くらいの時特進クラスに勝ったー!とか言ってなかった? 」
そんな風に友達の一人とが聞いてくる。その友達の言う通り俺は6月の模試ではかなりの成績であった。というかそのせいで勉強熱が冷めた、まあ元々ダレ症だったのもあるが…
だからと言って点数が下がっているわけではない。合計点はその時からさほど変化してないし、得意な社会科に至っては今でも学校トップクラスである。しかし、先程も言ったようにここは進学校である。みんな志望校は高く当然夏休みも塾の夏期講習とかで成績を伸ばしていたのだ。
俺はというと映画化されるというアニメを某動画サイトとかの一挙放送で見ていた。だからまあこの結果当然とも言える。
「勉強? そんなにしてないなあ。まあ俺って本気だしゃ凄いし、たぶん大丈夫っしょ」
「その謎のお前の余裕はどこから来んだよ。まあいいや、ちゃんと勉強しろよなじゃあな」
とりとめのないクラスでの友達との会話も話し終わり俺は家路に着く。
夏も終わり、日が沈む速度も早くなった。そんな夕焼け空の中片耳だけにイヤホンをつけ自転車を漕ぎ出す。耳元から電子の歌姫の曲が流れている。
(勉強かぁ…)
俺は自転車を漕ぎながら考える、今までの人生、部活もそうだが土壇場でどうにかなることが多く、大した努力をした覚えがない。ふと、昨日ネットで読んだ小説を思い出した。よくある異世界転生もので主人公が事故にあって異世界転生をして、神様から貰ったチート能力で俺TUEEEをする。最後は満身創痍になりながらも魔王を倒して世界を救う。そして、お姫様や女の仲間達から好意を寄せられハーレムEND。そんな話。
(異世界転生か、異世界ってやっぱり現実世界より刺激的なのかなあ、今みたいに便利な世界は無いかもだけど、やっぱり憧れるよなあ)
人なら全員とは言わずも一度はそんな風に考えるだろう。よくある中二病とされる人々が「俺は生まれる世界を間違えた」とか言っているが、そこまではないにしてもやはりそう考えるときはいつまでもあるだろう。
(別にアニメの主人公みたいなことは求めないから少しでも非現実的なこと起きてくれないかなあ)
「っと!危な」
目の前を黒い影が横切る。カラスだろうか。
(カラスとぶつかりそうになるとか、滅多にないことじゃね?まあ、いっそのことカラスにぶつかって異世界転生とかも面白いな)
そんなことバカなことを考えていると、イヤホンをつけていない片耳にカラスの鳴き声が聞こえてくる。その声は徐々に近づいてくるように感じる。そしてその声が真後ろから聞こえたと思った瞬間、自分の頭に強い衝撃が走った。
お読み頂きありがとうございます。
あれ?自分では結構書いたつもりなんですが思ったより文字数が少ないですね…
次はもう少し増やします。
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※5年ぶりに再編集しました。
ちなみに主人公のモデルは高校時代の作者です。笑