15、そして少女は奴隷となる的なやつ
突如現れた黒頭巾に肩を掴まれた俺は身の危険を感じ必死で逃げようとする。しかし、一向に手は外れない、だったらと思い向き直って男性の急所を蹴り上げようとする。しかしもう片方の手で掴まれてしまう。俺はバランスを崩しその場で尻もちをつく
「くくく、魔力切れの身体では僕からは逃げられませんし、何より少女の力じゃ引き剥がせませんよ。まあ無理に動かれてケガをされても困るので"拘束"《バインド》…とりあえずこれで静かにしていてください」
俺の身体は地面に吸いつけられたように全く動かない
「なんで、お前がここにいる!ロドマさん達はどうした!」
「あ〜…あの時君を送り出した騎士たちかい?彼らは確かに強かったよ。私の可愛い魔獣達のほとんどを葬ってくれたよ。ただまあ…単純に言えば隙が多かったのでね、今頃全員揃って地面で眠ってるかな?あぁ!大丈夫だよ、誰一人として殺してはいないからね、まあ当分は精神的にも辛いかもしれないけどね」
そう言いながら黒頭巾は動けない私を抱き抱え始める
「!?お前!ミズキちゃんをどうするつもりだ!」
アッシュさんが大声を上げる。黒頭巾は俺を抱えるのをやめ地面に置き、俺の頭に手を置く
「そうですねえ…まだ決めていませんが、一目見たときからこの子は気になっていたのでねえ…。とりあえずは私好みに調教させていただきますかね。あなたも知っての通り私は調教師ですから」
そう言って再びくくく、と笑う
(調教!?ってことはどういうこと?俺に奴隷になれってこと?えっ何言ってんの!やだよ!奴隷?えっ分かんない…)
俺は黒頭巾の言葉に頭の中がパニックに変わる
「それは、ミズキちゃんを奴隷にするということか!!そんなこと許されると思ってんのか!国際法で子供の奴隷は取り締まられている!何よりその子は僕の大事な妹だ!手なんか出させない!」
そう言ってアッシュさんは傷ついた身体を無理矢理起こそうとする。
「おやおや、無理は行けませんよ青年。ただでさえ魔素の魔力変換という無理をしてるのに、あなた死にますよ?」
「だからどうしたアアァァ!!!」
アッシュさんが物凄いスピードで黒頭巾に近づき切り払う。
すると斬られた黒頭巾の身体がスーッと空気に消える
「くくく、あの状態から動くとは確かにやりますねえ…シレオが負けた理由が分かる気がしますよ」
アッシュさんの後ろに現れる。そしてアッシュさんを蹴り飛ばす
「ぐはっ!!」
アッシュさんが近くの壁に激突する。
「アッシュさん!!」
「さて、ではそろそろ帰らせていただくとしましょうかね」
そう言うと1匹の大きめの飛竜が俺たちの元に降りてくる。黒頭巾は俺を抱え、その背中に乗る
「今回のことは私達の負けです。だけど私が勝手に決めた彼女をめぐる争いは私の勝ちです。彼女は貰って行きますね」
「ぐっ!てめぇ、待ちやがれ!!」
アッシュさんの言葉をよそに飛竜は飛翔を始める
「くそっ!お前!何抱き抱えてやがる!キモいんだよ!離せよ!アッシュさん!!アッシュさん!!アッシュさん!!…」
俺は声を上げ、反抗し、アッシュさんの名前を呼ぶ
「うーん…少しうるさいですねえ…感動の別れのシーンですが、子供は寝る時間ですよ」
そう言って俺の頭に手を当てる。次第に意識が遠くなり始める。
「くくく、では、おやすみさないませお嬢様」
黒頭巾がそう言うと同時に俺の意識は完全に沈む。
最後の最後まで、俺の名を呼ぶアッシュさんの声が耳には届いてきた…
ーそして『私』は村の少女から奴隷となったー
お読みいただきありがとうございます!
やっとタイトル回収できるなという安心と、これからは苦手なシリアスだ…という不安の織り混ざっている作者です。
これで、一章のミズキちゃん視点でのお話は終了となります!
いやあ…長かった日付にしては投稿してからまだ1週間もたっていませんが話数的には16ですよ…随分と書きましたね。お見苦しい点ばかりでしたが1日1日ブクマ数やpv数が増えていくのがとても楽しかったです。寝不足なのは内緒ですが…
そしてやはり最後までカッコいいアッシュさん!作者が何となくの思いつきで出したキャラが今ではここまでの重要キャラです。これなら名前もしっかり考えればよかった…と半ば反省中です。…灰ってどういうことだよ!
これからは舞台を別に移してミズキちゃんの奴隷生活が始まります。身体的にも精神的にもミズキちゃんを追い詰めていくつもりです。また、ミズキちゃんが自己の内面に迫るシーンも多くなるかと思います。少し辛い話になっていくと思いますがお付き合い願えたら嬉しいです。まあ、書くのは作者ですからどこまでシリアスか分かったものじゃないですが…
さて、次回はアッシュさん視点で一章のエピローグの予定です!アッシュさんはこれから暫く出番が無いので是非お楽しみに!
誤字脱字には注意をしてますが、ありましたら報告していただけると幸いです。
感想、批評も待ってます!
では、