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これで第一章は終わりです!
次からは第二章
俺が帰ってきた頃には18時を回っていた。もしあの時、稚子に会わなかったら今頃俺は後輩が出来て「先輩♪」って言われているはずだったのに……。稚子に会うと、ろくでもないことばかり合っている。いつかエンカウントしない方法を探してやる。
「あら? おかえりなさい、けんくん。今帰ったの? お友達と遊んでたの?」
「ただいま。まあそんなところかな……?」
あいつは疫病神だけど
「もうすぐ夕飯だから出来たら呼ぶわね?」
「分かった」
返事をした後、俺は自室に戻り、荷物を隅に置き、ベットにダイブした。そして今日までの事を振り返った。
昨日からこの家にお世話になってから京華さんの娘――美少女姉妹と会い、最初は普通の娘で、お喋りできて嬉しかった。しかし、今日の朝、俺の夢だった事の一つ――美少女に起こされる事が叶った……と引き替えに妹の花帆の本性を知ることになり、その後、姉の香梨も知ることになった。
でも花帆の本性を知っても、演技とはいえ普通の娘じゃないか? 香梨もシスコンだけで普通じゃないか?
まあ、何にせよ一番厄介なのは木戸さんと稚子の方だ。木戸さんは香梨の事がLOVE的な意味で好きな百合で、香梨に近づく男は、どんな手を使っても引き剥がすという情報がある。香梨に告白した翌日に転校したり、交通事故で一ヵ月の入院になったり、男色家したり……最後おかしくない? なんにせよ、俺も何されるか分からないから、気を付けた方がいい。そもそも一緒に暮らしているって言ったらヤバくないか? 香梨はそのこと誰も言ってないだろうか? あとで聞いてみないと。
そして、一番の危険な変人が稚子。あいつにエンカウントしたら最後、逃げることもできず相手する羽目になる。しかもスライム並のエンカウント率。ラスボスにスライム並のエンカウント率って無理ゲーじゃないか? そのくらいあいつは恐ろしい相手なのだ……。
結局、今日一日は精神、体力が削られっぱなしな一日だ。
「俺に癒しを……」
そんなこと呟いても癒されることもなく、俺は癒しを求め続けた。
「ん?」
俺の視線の先――枕元に白い布が置いてあった。四つん這いに枕元まで這いよって、白い布を手に持って広げると……
「ぱ、ぱぱぱぱパンツ!?!?!? なぜここに置いてあるんだ!?」
白いパンツだった。
「なんか生暖かくないか? ぬ、脱ぎ立て!? いやいやいや、待て俺よ。このパンツをどうするか考えないと……取り敢えず選択肢は……」
1:今夜のオカズにする。
2:匂いを堪能して今夜のオカズにする。
3:舐めてみて今夜のオカズにする。
「どれもオカズにするしかないし!?」
というか、この展開不味くないか? そろそろ誰かが来てイベント発生するだろ? 香梨か? 花帆か? この場合メインヒロインである香梨が来てもおかしくない。もし香梨の場合この状況は不味い。
「くっ! 俺もとうとうギャルゲーの主人公になったのか……。来い! 最終的には誰かと結ばれるのなら俺はこの試練乗り越えてやる!」
そして、ガチャっとドアが開くとそこには……
「けんくんご飯だよ~って、あらあら? うふふふ、けんくんも男の子なのね? 今夜は私のパンツをオカズにするの?」
燃えたよ、燃え尽きたよ…………真っ白にな。
『人妻NTRの京華ルートに入りました! 続く』
続かねぇよ!
俺が京華さんのパンツを握りしめた場面は京華さんと二人だけの秘密に墓場まで持っていくことにし、香梨の正面の椅子に座り、全員が揃ったところで、いただきますをして夕飯にありついた。
「京華さんの料理は美味いですね!」
「あらあら、おだてても何も出ないわよ? あ! さっきのは今夜のオカズにしていいからね?」
「もうその話はしないでください!?」
「兄さんのえっち」
「な、なななな何言ってるんだよ花帆? 別に俺は何もやってないぞ?」
二人にさっきの事がばれると俺たちの関係が崩れかねない。
「……ケダモノ」
「な、なぜ俺は非難されるんだ!?」
二人はさっきの事、本当に知らないのだよね?
「うふふ、けんくんが来て賑やかね。本当に私の息子にならない? 香梨や花帆がいてお得よ?」
「母親がそんなこと言っちゃダメですよね!? 逆に心配してあげないと!」
「私はけんくんならOKよ?」
その言葉を聞き、二人に視線を向けると……
「兄さんと私ですか? ……ないですね」
「賢人さんと私? あり得ないです」
二人に拒絶されるのだった。
「うふふ、それじゃあ~私が貰おうかしら♪」
「夫を大事にしてください!?」
これからお世話になるから、俺が洗い物を引き受けて、すべての食器を洗い終わって、20時を指した頃。
京華さんから風呂に入るよう言われ、脱衣場に向かい、戸を手にかけて開くとそこに……
「……………………」
ギャルゲーじゃないし誰もいないけどね(笑)
俺はぱっと脱いで浴室の戸を開けると、もわっと湯気が立ち、中に入る。
ちょうどいい温度の湯船に入り、肩まで浸る。今日一日の疲れが取れていくような感覚を味わう。
「あ~気持ちいい~」
「そうですか。では今度は頭まで浸ってみましょう」
さっきまで体を洗っていた花帆が俺の頭に手を置くと、そのまま押されて頭まで浸る。数秒して息が続かなくなり、壁を叩こうと手をバタバタと動かしたとき柔らかいものが当たった。
「~~~~~~~~~っ!?」
俺の頭を押さえていた花帆の手が離れて、湯船から頭を出して足りない酸素を吸う。
「殺す気か!? 危うく天国に行くところだったよ!」
「兄さんは地獄です! それに! なぜ入ってくるのですか!?」
「俺は美少女とお風呂に入ることが夢だったんだ。もし香梨だったら浴室の戸を開けた時点で追い出されるだろ? しかし! 花帆ならノリで一緒に入ってくれるだろ?」
「やっぱり地獄域ですね」
「待て待て待て! 謝る! 謝るから一緒に入ってくれ!」
「し・ね♪」
花帆の蹴りが俺の大事な息子へ
「ぎゃあああああああああああああ」
それから目を覚ますと、俺は状態を起こして、周りを見渡すと、ここは自室である事を知った。
時刻は22時を回っていた。
はて? 俺は今まで何をやっていたのだろうか? 風呂に入った所までは覚えているが、その後の事が全く記憶にない。
「そう言えば香梨とのイベントはまだだけど……それっていつだ?」
俺は香梨の部屋に夜這いしようか、考えた結果……後が怖いからやめることにした。
それにしても、さっきから息子が痛がっているようだが、なぜだろうか?