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変人な美少女ばかり!  作者: 凉菜琉騎
~第一章 美少女との会話は楽しい筈なのになぜか疲れる?~
4/16

 今年になって叶いたかったことがあった。

 それは、朝、美少女と登校してお話しすること。

 それが今日、ついに叶うことになった! なったのだが……

「賢人さん、花帆から離れてください。穢れます。妊娠します」

「お姉ちゃん、いくら兄さんが変態でも、近づいただけで妊娠はしないですよ。変態でも大丈夫です。変態でも」

 汚いものでも見る様な目をして毒づき、俺から距離を置く香梨。

 無表情でジト目をしたキャラで演じ、変態を強調して言ってくる花帆。

 これが俺の望むことじゃない!

 俺を中心に左右からキャッキャウフフな会話をすることが、俺の求める美少女との登下校なのだ。

 それが……香梨が中心に花帆と並び、俺とは数メートル離れて歩いている。

「香梨? そんなに離れなくてもいいのでは?」

「私の好感度上げるつもりですか? それとも痴漢ですか? 妊娠させるつもりですか? 警察呼びますよ?」

 香梨は敵意むき出しで、犬のように威嚇する。

「俺って嫌われるようなことしたっけ……?」

 昨日は、普通に会話をしていたはずだ。原因があるとしたら朝の事だと思うのだが……嫌われる要素が見つからない。

「仕方ないですよ。お姉ちゃんは妹属性、百合属性がありますから兄さんの付け入る隙はないです。ちなみに私はキャラを演じるために研究が必要だったですので、殆どの属性があると言っても過言ではありません」

 花帆は毎回キャラを変えていくつもりってことなのだろうか? 

「それにしても……香梨と花帆か…………良い!」

 香梨と花帆の百合シーンを想像して、たまらず興奮した。

 ごみでも見る様な目で、今にでも警察を呼びそうな香梨だった。

「もしもし? 警察ですか?」

「って!? 本当に呼んでるし!?」

「良かったですね。また今日から新しい生活ですね」

「俺の人生終わるから!?」

「兄さんも百合属性が……と」

「メモるなよ!?」

 朝から体力をごっそり削られているのに、また体力を削られる。やめて! 俺のライフはゼロだよ!  


 海ヶ丘学園に着いた俺たちは、花帆とは別の学年のため別れて、俺たち二人は2年に上がってクラス替えがあるため、クラス表が張り出されている掲示板へと向かう。

 だがそこには人だかりがあり、一番後ろからは見え難い。

「ちょっと待っててくれ」

「……」

 怪訝な顔をした香梨を後に、俺は隙間を見つけては通って、周りから押され、足を踏まれたりしながら前まで来た。

「えーと、俺と香梨のクラスは……お! あった!」

 二組の欄には俺の名前と香梨の名前があった。つまり同じクラス。

 元来た道を戻り、香梨の元へ向かうと……そこには香梨の友達らしき女子がいた。

「香梨は何組だった?」

「まだ分からないかな? 見てきてもらってるから……あ、賢人君」

 香梨が気づくと俺は傍まで向かう。

「友達と話してたところか?」

「そうです。こちらは友達の木戸奏美」

 香梨に紹介された彼女に向き合う。セミロングのパッチリした目をした美少女だった。

 美少女と知り合いになるなんて、今年はモテ期ってやつなのだろうか?

「夜道には気を付けてください」

 いきなり物騒な事を言われた。

「えーと? 木戸さん?」

「あなた……変態賢人ね。香梨に近づいてどうするつもり? 変態は変態らしく捕まってなさいよ。警察呼ぶよ? あ、もしもし?」

「ちょっと!? 俺何もやってないでしょ!?」

「奏美……賢人君はそんな人では…………やっぱり通報した方がいいですね」

「そこはフォローしてよ!?」

 俺に味方はいないらしい。

「あ~それで香梨。俺と同じ二組だったよ」

「……ありがと」

 小声で微かに聞こえた香梨からのお礼。顔を背けたまま恥じらうように頬を少し赤くした姿が可愛かった。

「今、香梨の中で好感度上がったよね? そいつも何か邪な事考えてたし排除した方がいいよね?」

「排除って何!?」

 最初っから嫌われている俺だけど、他の女子からは汚物を見る様な目で、近づかない人が多いけど、木戸さんからはプラスして殺意の目を向けられる。

 何をしたら殺意を向けられるのだろうか? 

 それに関して聞いてみると

「あなたが香梨に近づいてるからよ! 絶対に香梨は渡さないからね!」

 どうやら木戸さんは同性愛者らしい。

 香梨に向けられる視線が、好きな人を見る様な乙女の目をしているからだ。

 確か香梨も……いや、木戸さんと比べると香梨は動物を愛でる様な目だ。花帆は百合属性があると言っていたけど、それは間違いなのでは?

「おお! 賢人じゃん!」

 香梨の百合疑惑を考えていたら誰かが俺に声をかけてきた。

 視線を向けると、そこには親友の御堂敬がいた。

 中学からの付き合いで俺の唯一の味方。そしてイケメン野郎で女子から人気者。

 親友だからってイケメンは爆発しろ!

「賢人はクラスどこだ? 僕は一組だ」

「俺は二組。違うクラスで残念だな」

「そうだな。それで賢人はここで立ち止まってどうしたんだ? また美少女でも漁ってるのか?」

 敬の問いかけに、俺は不敵な笑みを浮かべる。

「ふっふっふ! 聞いて驚け! 俺に美少女の知り合いができた! この二人が…………」

「どこにいるんだ?」

 俺が向いた先には香梨と奏美はいなかった。

 せめて一言声をかけてから行ってくれ。

「まあ何にせよ、賢人にも春が来るといいな。応援してるぞ」

 イケメンな敬が言うと嫌味にしか聞こえないが、敬には同情や憐みもせず、純粋に俺の事を応援しているのだから、憎めない奴だ。

「敬も直ぐに春が来るだろうな」

 俺は嫌味たっぷり言うけどな。

「はは……僕にも春が来るかな?」

「わざとか? わざとだろ? 俺に対する嫌味だろそれ!?」

 嫌味で言っている訳じゃないのは分かるが……その嫌味が含まれるわざとらしい返答のせいで男からは嫌われているのだ。

 だから今は俺が唯一の親友。

「僕が女性だったら賢人の事好きになるんだけどね」

「お前……それって男でも好きって事じゃないか?」

「あはは、さすがにないよ。でも賢人なら良いと思ってるよ?」

 おい、やめろ! その恋する乙女のような眼で俺を見るな! 俺は美少女にしか興味ないのだ!

 まあ、俺が女だったら確実に敬の事を好きになっていたかもしれないが……。

「きゃー敬君! おはよう! クラスどこだった?」

「うん、おはよう佐藤さん。僕は一組だよ」

「敬君敬君、私も一組だよ! 敬君と一緒だね!」

「川崎さんもおはよう。二人とも同じクラスだね。今年もよろしくね?」

 俺たちが話している所を割って、二人の女の子が敬に話しかけてきた。

 確か名前が、最初の娘が腰まで伸びたロングの茶髪が特徴の佐藤恵。後の娘が腰まで伸びたロングのウェーブ髪で金に染めたのが特徴の川崎友子。

 去年から敬の事を追っかけているから、何となく名前を憶えている。

 二人とも美少女だし!

「キャー一緒のクラスだね! 記念に放課後カラオケに行かない?」

「ちょっと! 私とカラオケ行くのよ!」

「ははは……二人一緒でいいじゃないかな?」

 これだからイケメンは……俺も美少女とカラオケに行きたいよ!

「俺も美少女とカラオケに行きてぇ~」

 思っていたことが声に出た。

「賢人も来る? 四人で行こうか?」

「え~この変態も来るの? ほっとこうよ~ 私敬君と行きたい~」

「こんな変態ほっといてあたしと二人で行こう?」

 変態って言わないでくれ……男なら皆変態なのだから。

「二人とも、賢人の悪口はよしてくれ」

 先ほどまでの楽しそうな雰囲気が、静かに起こっている敬によって気まずい雰囲気へと変わった。

「賢人は僕の友達なんだ。友達の悪口を聞かされるといい気分じゃないんだ。二人はそんな人なのか? 賢人の事も知らないのに噂に流されるのか? 賢人に謝ってくれ」

 二人は、敬の怒った態度に萎縮して、俺に向き合うと二人して頭を下げて「ごめんなさい」っと謝ってきた。

「えーと……別に気にしてないからな? 折角の良い雰囲気が俺のせいで台無しにしてこっちも悪かったというか……」

「なんで賢人が謝るんだ?」

「敬もそんなに向きになるなって! 二人は悪気があった訳じゃないんだ! カラオケは三人で楽しんできてよ! な?」

「あ、あの! 本当に私たちが悪かったから……」

「う、うん! あたしたちが悪かった」

「も、もうすぐ予鈴が鳴るだろ? もうそろそろ教室に行った方がいいぞ? 最初っからこんな気まずい雰囲気になるのも悪いだろ?」

 俺は三人を促し、さっきまでの暗い雰囲気を無理やり明るい雰囲気に戻そうとした。

「賢人……悪いな。それじゃあ、またな」

 賢人は二人を連れて一組の教室へと向かった。

 と思ったら佐藤恵が俺の所に戻ってきた。

「あの……ごめん。それにありがとう」

「えっと……それはもう終わったことだから! 気にするな!」

 佐藤恵は未だに立ち去ろうともせずに、何か言いたそうだった。

 しばらくして、話す決意をしたのだろうか。顔を上げると

「……これから敬君の事で色々と相談に乗っても良いかな?」

「まあ……良いけど、これってフラグか?」

「はぁ? 何言ってるのよ。私が攻略されるのは敬君よ」

「いや、だって、好きな男の友達に恋の相談すると、その友達の事が好きになるだろ?」

「そんな訳ないでしょ! 漫画の読みすぎよ! でもその友達は、相談された女の子の友達の事が好きで相談された娘に、相談して恋に落ちるよね?」

「あれ? お前も知ってたのか?」

「たまたま知ってただけよ!」

「まあ佐藤さんはモブチャラらしいけど逆移植してヒロイン昇格するらしいよ?」

「え!? あんたに攻略されるの? 嫌よ!」

「すでにこのイベントでフラグが立ってるらしいよ?」

「それじゃあ早くセーブしないでさっきまでの敬君とクラスに向かうシーンでロードしてよ」

「いやいや、ゲームじゃないんだからそんな事無理だからね?」

 そもそも、なんで俺が会う美少女はみんなギャルゲー脳なの? 

「それじゃあここら辺カットでお願い」

「小説でも漫画でも映像でもないよ?」

 はぁ~普通の美少女とお話ししたい。

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