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変人な美少女ばかり!  作者: 凉菜琉騎
~第一章 美少女との会話は楽しい筈なのになぜか疲れる?~
2/16

「…………さん」

 身体がゆさゆさと揺らされて、誰かに呼ばれる。

「…………にいさん」

 俺を呼ぶのは誰だろうか? 目覚まし時計にボイス機能があっただろうか? でも身体を揺らされるのはなぜだ? 俺は訳も分からず疑問ばかり浮かべる。

「もう………」

 ようやく諦めたのだろうか、しばらく何も起こらなかった。俺は再び深い眠りに就く……


 ドスッ!


「ぐえぇ」 

 お腹のあたりに強い衝撃が加わり、潰れたカエルのような声を発する俺。そもそも潰れたカエルの声ってなんだ?

「兄さん、早く起きてください」

 一気に目が覚めて、目の前にはじとっとしたジト目に両サイドの髪を括ったツインテールにした女の子が俺の上に乗っかっていた。

 誰だ?…………と、昨日から霞家にお世話になった事を思い出し、そして目の前にいる少女が京華さんの娘――花帆だということも思い出した。

 しかし、何か違和感を感じる。

「やっと起きましたか、朝食が冷めないうちに降りてください兄さん」

 兄さん? 昨日は確か“お兄ちゃん”と呼ばれていたような気がした。それに雰囲気も、昨日の甘い感じが無くなっていた。

「花帆……だよな?」

「まだ寝ぼけてるんですか? 早く起きてください兄さん」

「それだよ! 昨日はお兄ちゃんって呼んでただろ? なぜ今日は兄さんなんだ?」

「今日はそういうキャラですから」

 キャラ? 昨日も言っていたけど、どういうことなのだろうか? 花帆の中ではルールがあるのか? 俺にはよくわからないけど……こんな花帆も可愛い!

「ところで花帆よ……降りてくれないか?」

 今はこの状態がまずい。花帆が乗っている位置はギリギリ大丈夫だけど……これ以上、後ろに下がられると当たってしまう。

「……後ろに下がる?」

「待て待て待て! 心の中読んだろ!? 取り敢えずそのまま降りてくれ」

「んしょ」

「ストップ!!!」

 花帆は俺の胸板あたりに両手を着くと、何を考えたのだろうか、そのまま後ろに下がろうとした所を止めにかかる。俺の声に首を傾げる花帆。

 俺のあそこには、未だに収まることのないスカイツリー……いや、そんなにでかくないから東京タワーくらいかな? だからって小さくない、一般的な標準サイズがある。花帆にこのことがばれたら何を言われるか。軽蔑だろうな。

 そろそろ降りてほしいのだが……花帆は俺のお腹の上を跨ったままで動く気配もない。


「……」

「……」

 お互い無言のまま、数分が勃つ……もとい経った。

「い、何時まで乗ってるんだ?」

「兄さんがストップって言いましたから、このままの方が興奮するのかなって」

「だから動かないのかよ!? というか興奮って何のことだよ!?」

「そういう性癖だと思ったので」

「どういう性癖だよ!? とにかく降りてくれ」

 花帆ってあっちの方面に免疫があるのだろうか?

「んしょ」

「待った待った待った!!!」

 後ろに下がろうとする花帆を再び呼び止める。これはわざとやっているのだろうか、と俺は花帆を訝しむが、花帆は首を傾げるだけだった。

「えーと花帆? なぜ後ろに下がるんだ?」

「逆に聞きますが、なぜ後ろに下がっては駄目なんですか?」

「いや……あれだよ……ま、まずいんだって」

 それを説明するのは難しい。

「私は兄さんに気持ちよくさせようと思ってるんですよ?」

「いやだから…………………は?」

「兄さんに気持ちよくさせるんです」

「いやいやいや、何を言ってるか分かってる!?」

 花帆ってそんなこと言う娘だっけ? 

「兄さん、今更善人ぶっても駄目ですよ。昔から公園で下半身露出する遊びしてたでしょ?」

「昨日会ったのが初めてでしょ!? てか下半身露出する遊びってなんだよ!? やったことないよ!」

「でも夜は遊んでるでしょ?」

「あそん…………待て待て!」

 男なら誰でも夜は遊んでいるものだけど……

「まず落ち着け花帆」

「落ち着くのは兄さんじゃないの?」

 それはごもっとも


 俺はベットで寝たまま、花帆はお腹に乗った状態で一時休戦。

「花帆、今何時だ? そろそろ起きないといけないだろ?」

「はい」

 花帆は俺がセットした目覚まし時計を手に、見えるように見せてきた。時計の短針が下に、長針が上を指していた。

「まだ6時じゃねぇか!?!?!?」

「朝食まであと一時間ですよ」

「えー…………なんでこの時間に起こしに来たの?」

「兄さんと漫才するためです」

 そんなの当たり前と言わんばかりに、しれっと答える花帆に辟易する。

「寝ていいかな?」

「寝ている間なら良いんですか?」

「寝ている間に何するの!?」

 朝から疲れることばかりだ。それに俺が思い描いていた花帆像が崩れていく朝だった。

 これって夢じゃないのだろうか。夢だったら早く冷めてほしい。

「ところがどっこい、これが―――」

「そのネタは良いから」

「甘いですよ兄さん。これから会う美少女は変人ばかりですから、タイトルそうですよね?」

「え? そんなことないよな? 俺は普通の美少女とお話ししたいだけなんだ!!!」

 でも美少女なら変人でもいいのでは? そもそも花帆でもありでは?

「このゲームはお姉ちゃんのルート一択ですよ? 私は攻略対象外です」

「ゲームじゃないからね? それにこれってハーレムルートだよね?」

「兄さんはツッコミの才能がありますね」

 いい加減疲れてきたし、あっちもそろそろ萎えてきた。

「あ……萎えてきましたか」

「そうだな……そろそろ降りてもらえるか?」

「仕方ないですね。一緒に寝ますか兄さん」

「それはいくらなんでもまずいだろ!?」

 隣に花帆が寝ていると思うと逆に寝られなくなる。

「さっきから俺の心読んでないか?」

「妹は兄の心を読むのがデフォルトですよ?」

 いや、その理屈はおかしい。


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