オレと友人Aとプリン
視線が交錯し、火花が飛び散る。
対立する、俺と友人A。
二人の間には、プリンが1つ。
――そう、これは戦い。
血も涙も友情も、そこには存在しない。
プリン争奪ジャンケン合戦。
「ジャン、ケン、ポン」
戦いの火蓋が切って落とされた。
激しく繰り出される攻撃。互いのハサミが重なり弾きあう。
「アイ、コーデ、ショ」
次の瞬間、オレのピストルを友人のマジックハンドが包み込んだ。
「やりー」
友人がプリンを掲げる。
「悪いねー」
友人がプリンを口に含みながら言う。
随分美味そうに食べる。
プリンのごとくアマい奴だ。
「いや、別にいいんだ。もう1つあるし」
オレは冷蔵庫を開ける。
「なんだよー、ジャンケンした意味ないじゃん」
友人はスプーンを口に加えたままで喋った。
スプーンの柄が上下に揺れる。
「あぁそうだな。……じゃあオレも食べるかな。ビッグでクリームいっぱいのを」
そして冷蔵庫の奥から取り出す。
ワンランク上の高級プリン。その差\100。
「な!?卑怯者っ!」
驚愕の声をあげる友人。口にくわえていたスプーンは、無残な音を立てて床に不時着した。
「気付かない奴が悪い。時代は情報戦だ」
「くそ〜」
既に普通のプリンを食べ始めてしまった友人には、このプリンを食べれない。
二個も食べることは許されない。
この勝負、オレの勝ち。
「ふはははは」
勝利のプリンは格段上手い。
「うわ〜やられた〜」
悔しそうな友人の顔を見るとより一層だ。
〜fin〜