明日を待つ
五月病。言葉は知っていたし、意味もなんとなく知っていたが、実際どんなものかはわからなかった。新しい環境に立つっていうのは、簡単なことじゃない。学生の誰しもが体験したことのあることだろう。しかし、みんなそれを乗り越えて大人になっていく。きっと最初の関門なのだろう。それを乗り越えられなければ、みんな同じ道を選ぶ。それはーー。
私の高校に知り合いは誰一人いなかった。中学生の時は、小学校の人たちがみんな一緒に進級する、公式には違うけれど、小中一貫校的な感じだった。だから、私にはもう新しい友達を作ったり、良い人悪い人を見分ける目もどこかへおいてきてしまった。私は新しい友達を作って、失敗もしながら頑張って生活をしていった。
8月に入ってすぐのこと。私はもうストレスの限界まで来ていた。推しも活動休止に入ったり、成績も少しずつ落ちていったり。ただ、本当に辛かったのはそんなことじゃない。そんなことは、自分でどうにかできる。やはり共同生活している以上、避けては通れないのが人間関係だ。私はいつからかいじめの対象になっていた。でもそれは、真の事実だけではなかった。本当のことを言われてるのならば自業自得だ。しかし、半分以上は作り話だった。テストでカンニングしているから点が高いとか、万引きで捕まったことがあるとか、私の歌も聞いたことないのに音痴だとか言ってきたりするのだ。それはどんどんエスカレートしていって、真夏を迎える頃にはそれには耐えきれなくなっていた。
そんな私の生きがいは、唯一私に味方してくれた一人の友達だった。彼女はいつも私の隣にいてくれた。嬉しい時も、悲しい時も。
「あんなの気にしなくていいよ、逆にみると、みんなりおちんのこと頭いいって認めてるようなもんじゃん?」
いつも励ましてくれる彼が大好き。いじめられてることもすぐに忘れられる。でも......。もう耐えきれなかった。いつものように彼女と帰っていた私は、いつも解散する場所の信号の下で、一生分の笑顔を彼女に見せた。
「また会おうね。」
私はそう言って学校へ引き返した。屋上は思ったより風が強くて、少し肌寒かった。




