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終章⑩
◇◇◇◇◇
青年レグンスは、あの事件の後…
従属を辞する決意をしていた。
国へ帰る上司の宮廷魔術士へ
それを伝える。
制裁や処罰を受ける可能性もあった。
しかし、
友である同僚を失った彼は、
どうしても…
このまま国へ帰り、平気な顔で
宮廷魔術士仕えを続ける気には
ならなかったのだ。
この町で…
失った同僚を弔い続けたい。
それが彼なりの
この一件での贖罪だった。
恐る恐る上司に伝えると…
「…そうか。
今まで、すまなかった…
自由にするがよい」
と、上司…リガンは怪我の
痛みに苦しみながらも、
静かに答えた。
もう、上司の顔には
野心や焦燥感は感じられなかった。
彼も、彼なりに…
苦しむことがあったのだろう。
「だが…
最後に頼みがある…」
リガンは、青年に
ぽつりと、呟いた。
「なんでしょう?」
「あのお方に…
リーン…様、イル…様に…
伝言をしてくれないか?」
青年自身は、ダンジョン最奥で…
何があったのか、詳細は
分からなかった。
しかし…
きっと、あのお二人方は
特別なのだ。
それだけは、確信し
上司の最後の頼みを承諾するのだった。
(終章-第一部完-へ続く)




