終章⑤
◇◇◇◇◇
次の日の午後…
リーンとイルは、ギルド建物の
別室に呼び出されていた。
所謂、応接間…というような場所ではなく
安価な事務机と椅子が並ぶだけの
事情聴取部屋…といった所だ。
リーンとイルは椅子にちょこんと
並んで座らされ、
イルは少し緊張した面持ちで俯き、
リーンな不貞腐れたかのような
表情で目を胡乱気に宙を見つめていた。
そこへ、ギルド職員が
二人ほど、室内へ入って来る。
「お待たせしました。
…では、少々聴取をさせて
頂きますね」
ギルド職員らは、椅子に浅く
腰掛け、心なしかこの二人も
緊張しているような様子だった。
一拍の沈黙が四人を包み込む。
机と椅子以外は事務用棚と雑多な
荷物が少しだけ。
普段は殆ど使われていない部屋
なのだろう。
周囲の部屋や廊下にも
冒険者はおろか、職員でさえ
通りかかっている気配は
なかった。
「ゴホン、ええと…昨日の件なのですが」
沈黙を破るように、
職員の一人が話しを切り出す。
「あ、あ…ダンジョン破壊の
事ですよね⁈
ええと、それは…」
イルが慌てて何かを繕わんと、
目を泳がし、言い逃れの
言葉を模索しているようだったが…
まるで、イルの発言を
封じるかのように、
ギルド職員は顔に
ポーカーフェイスを貼り付けている
かの如く、強引に話しに割り込む。
「先日の件…
ブレイブダンジョンの壁を破壊したのは…
リーンさんの術が
暴発したから…と、話しを
伺ってます」
「…?!」
以外なギルド職員からの
言葉に思わず、リーンとイルは
目で互いを見やる。
「間違い…無いですよね?」
ギルド職員はニッコリと、
しかし、有無を言わさんとばかりな
圧をもって、返答を請う。
「う、う…む」
なんとも不機嫌そうに、
リーンは返事をする。
直後、イルに鋭く冷たい
氷のような視線を送るまでが、
一連のテンプレートのようであったが。
「まぁ…術の暴発なら
仕方ないですよね!」
「初心者の術者だと、術が
暴発するのは、たまにある事ですし」
二人の職員は、申し合わせたかの
ように、話しを肯定し合い、
結論を無理矢理導き出す。
「ということなので…
今回の件…ダンジョン破壊は
ギルドの方で修繕しておきますね」
「え⁈弁償しなくていいんですか?」
顔を上げ、驚いたのはイルだった。
弁償金は相当な金額になると
思っていたのだ。
「ただし…
冒険者としての処罰は受けて頂きます。
半年間の、この町でのギルド依頼、
受け付けは禁止させて頂きます」
「それと、ギルド宿及び酒場も
出入り禁止です」
◇◇◇◇◇
(終章⑥へ続く)




