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四章一話最奥②【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
走り出すリーン。
足元には地下水が流れ、
歩き辛く滑り易い…
ローブを纏ったリーンよりも
早く走れた
イルが駆け抜け、
宮廷魔術士にあと一歩で
掴みかかれる!
…と、その瞬間
「貴様ら…あの時の⁉︎
我らの後を付いて来たのか…
しかし…
一息遅かったな?」
宮廷魔術士の不気味な声と共に
蒼い炎を纏った護符は
奴の手から離れ、
護符の圧から溢れた魔気が爆風となり、
イルを吹き飛ばす。
「うわぁぁ⁈」
「イル!!」
水飛沫が盛大に上がる。
「だ、大丈夫…!
びしょびしょになっただけだ!」
吹き飛ばされたイルだったが、
運良く
地下水の深い溜まりに落ち、
衝撃を緩和できたようだった。
イルの無事を確認し、
尚、険しい表情のリーンは改めて
護符が放たれた先を見る。
蒼い炎を纏った護符は
空洞、最奥の正面に鎮座する、
輝く、巨大な鍾乳石の柱へ
向かっていた。
大樹のように聳える白き柱の麓には、
三メートルほどもある
大水晶が埋め込まれていた。
水からなんとか這い出し、
リーンの元へ向かいながら
イルは、その水晶を凝視した。
巨大な美しい水晶石…否、
ただの水晶ではない。
水晶の中に…
閉じ込められるように、
生き物らしき存在が見えた。
◇◇◇◇◇
(最奥③へ続く)




