三章三話竜の脅威②【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
脅威の飛竜を挟む形で
奥の空間…
その先から扉が開くような音がした。
リーン達の部屋からは、
よく見えなかったが…
恐らく宮廷魔術士らの一味だろう。
奴らはついに、
最奥の扉まで到達したようだった。
「⁈ 奴ら…先に到達してしまった⁈」
「すぐに追うぞ!」
「お、追うって…どうやって?飛竜もいるのに」
「ふむ、実はこの飛竜には、
最大の弱点があるのだ!」
リーンは珍しく、どこかイタズラ気な
表情をして、ポケットから
何かを取り出してる。
「…え?
キャンディ??」
子供が好きそうな…
所謂、ロリポップキャンディである。
「うむ!
この飛竜、甘いお菓子に目が無くてな!
食べてる時だけは、
人を襲う事を忘れるのだ」
「そ、それは…
凄い事実だけども…
食べてる時って…何分くらい?」
「うむ、数秒かな?」
それじゃ、あんまり意味ないんじゃないかな?
イルは心の中で叫ぶが…
リーンには伝わってないようだ。
「キャンディを投げるから、
その隙に扉へ向かうのだ!
一瞬の勝負だぞ!覚悟しろ!」
一瞬⁈
その一瞬で飛竜に気付かれて、
襲われて、終わりな気がするが…
リーンは躊躇もせず、
キャンディを投げた!
「うわぁぁぁぁ⁈」
イルは、自棄気味に走る。
もう、こうなったら一か八かだ!
飛竜の足元を抜けながら、
道中、数名の魔術士の部下達が倒れていた。
しかし、当の魔術士の姿は無い。
恐らく…部下達を犠牲にしながら
扉を目指したのだろう。
扉はもう目の前だが…
やはり、というべきか…
キャンディを食べ終えた飛竜は
ニ人に気付いたようだ。
飛竜は扉目掛け飛んでくる。
追いつかれたら終わりだ!
幸いなのは、
口から炎を吐く遠距離攻撃は多分…
無さそうだ、という事か?
時間とタイミング勝負である。
ニ人は息を合わせ、ひた走る。
扉だ!
イルはリーンに抱きつき、
リーンは扉へプレートを翳す。
ニ人の背後に迫った飛竜は、
巨大な顎で噛み付く…
が、
牙は空を裂き、
顎は空虚に噛み合わせるだけだった。
寸手で飛竜の牙を躱し、
扉の中へ入ったニ人は
小さな町が丸ごと入ってしまいそうな程、
大きな、最奥の空間を見る。
◇◇◇◇◇
(四話へ続く)




