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三章二話ブレイブダンジョン⑦




◇◇◇◇◇



うむ。

と、リーンが満足そうに頷く。

臭気を放つ芋虫の骸を超えて7層へ!


進み始めたリーンだったが、

不意に足を止めた。


「キサマ、下履きをどこか

湧水で洗って来い。臭い」


「⁈⁈」


臭気を放っていたのは、イルの下半身だった。

魔物の恐怖でうっかりと…


「ち、ちょっと待ってて〜!あ〜ん!」


内股気味に湧水へ走る

イルの背中が哀愁を

漂わせていたから…

リーンはちょっと可哀想になったのだった。



体制もやっと整い、七層へ…


六層までの暗い空洞とは少し趣が変わり、

七層は天然の魔晶石が発光し、

仄かに明るい場所だった。



「ここまで、殆ど魔物と遭遇しなかったなぁ」


ラッキーなのか?

頭を捻るイルに、


「いや…宮廷魔術士一行が…

ダンジョンを進んでるからだな。

奴らが煤払いしてくれてる…とも言うな」


「あ!そ、そうかぁ…

奴ら順調に進んでるのかぁ」


少し眉間に皺を寄せながら

イルは悔しそうに次の層…

いよいよ八層の扉を(リーンに抱きつきながら)潜る。


「そうでも無い…

奴らも一応…苦戦はしてるらしい…」


リーンは前方を見ながら言う。

その先に、

人らしき存在が倒れているのを確認する。


「宮廷魔術士の部下の一人か…」


イルはビクビクしながら、

遠巻きに見ていたが、

リーンは倒れている人間に近づき、

生死を確かめる。


意識はないが…

辛うじて死んではいないらしい。


「ここは麻痺を引き起こす

有毒ガスが噴き出す地形だ。

うっかり吹き出し口に

近寄らないよう注意するのだぞ?」


「うわぁ…」


「ねぇ?この人は…

助からないのかな?」


顔を青ざめながらイルはリーンに

聞いてみる。


「ガスの及ばない場所で

安静にしていれば、意識は戻るだろう」


「よ、良かった〜」


「だが、我らは急いで最奥へ

向かわねばならぬからな…

この者が一人でダンジョンを抜け出せるか

…わからぬな」


「いやいや!

そんな冷たいこと言わないで

事が済んだら一緒に脱出してあげようよ」


普段は臆病で

面倒事には触れないイルだったが…

前世のお人好しが今のイルからも

垣間見られたような気がして

密かにリーンは口元を緩めた。


「そうだな。

まぁ、当分魔物もこの辺には

出没しないだろうし、

救えるはずだ」


そうして二人は

倒れている人物を一旦、

ガスが及ばない安全そうな場所に

退避させ、

先へ進む。




◇◇◇◇◇


(ブレイブダンジョン⑧へ続く)

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