三章二話ブレイブダンジョン④
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層を進むほどに深く地底へ下っていき…
浅層では、随所に配置されていた
ランタンの数も扉の前に置いてあるだけ、
…と、激減した。
自分の所持するランタンの、
頼りない灯りだけで
暗闇を進む。
六層…
ベテラン冒険者が到達できる
限界の階層だった。
ギルド酒場では、
ベテラン冒険者の勇談を聞き、
駆け出しや中級冒険者は、
心躍らせていたものだ。
六層は、中級程度の魔物が多い
らしいが…
ごく偶に、上級魔物が出現する…
という報告が出されていた。
年間、一〜ニ組はその上級魔物と
運悪く遭遇してしまい…
ベテラン冒険者パーティでさえ、
全滅…という事態が起こるらしい。
故に、
ギルドは依頼で出向できるダンジョンの
階層を六層迄…
レベル80以上の冒険者パーティのみ
依頼受付を許可。と、制定している。
七層以降は…
超一級レベル(90以上)冒険者なら、
事実上、侵入許可は降りるらしいが…
七層以降へ足を踏み入れて…
無事帰還できた冒険者は
数十年に一組もいない、だとか…
…そんな、ハイグレードな階層を…
駆け出し冒険者(レベル5)の貧弱剣士が
今、踏み込んでいる。
どう見ても、場違いだ。
そもそも、この階層に無許可(許可を取ろうにも、許可は降り無いが)で足を踏み入れた
事がギルドに知られたら…
今度こそイルは冒険者認定を
剥奪されるだろう。
…そんな罪悪感と、
恐ろしい魔物にいつ、遭遇するのか…
そんな恐怖で、
イルの、今世の体は、前世の意識とは別に
本能で恐怖し、小刻みに震えていた。
ランタンの灯りも小さく揺れる。
「ま、まぁ…でも。
中級魔物なら、リーン様が倒してくれる
…かな?」
イルは緊張に耐えられず、
軽口を突いてしまう。
術を使えぬ術者に…一応なりしも、
前衛剣士である己が頼ってしまうなど…
情け無さすぎる。
つい、口を突いてしまった、とはいえ…
自己嫌悪にうっかりハマってしまう
イルだった。
「イル、少し黙れ!」
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(ブレイブダンジョン⑤へ続く)




