三章二話ブレイブダンジョン②
◇◇◇◇◇
さて、
ようやく…
ブレーブダンジョンの入り口まで来た。
転移魔法によって
飛ばされたことで…
かなり時間をロスしてしまった。
急ぐリーンと…
ダンジョン入り口の様子を
キョロキョロと伺うイル。
やはり、宮廷魔術士一団は
既にダンジョン内へ
入ったようだ。
そして、周囲は静寂に
満ちている。
夜間は観光客もいないし、
夜までダンジョンに入る冒険者も
かなり少ない。
全くいない訳ではないが…
今夜は特に人気が無く、
静まり返っていた。
「あの人達、もう攻略しちゃった…とか⁈」
イルが恐る恐るダンジョン一階層を歩く。
「まさか、最奥まで到達して…
何か起こしてたら、
こんな静かになってる筈が無いわ」
いつもより、
早く歩くリーンに、イルは付き従う。
リーンは一層を最短ルートで進み、
あっという間にニ層へ続く扉の前に到着した。
「ニ層への扉⁈
うわぁ…初めて見た!」
このニ日間の、
初ダンジョン挑戦では…
一層の中ほどまでしか進んではいなかった。
イルにとって、
一匹ニ匹の魔物を倒すことさえ、
かなりの負荷がかかる。
帰路の危険も考慮したら、無理せず
浅層で依頼中の魔物を探す方が
都合が良かったのだ。
「ここから先は、更に魔物が強くなる。
無理に戦おうとせず、回避最優先で行く!」
リーンがそう言って
自身の冒険者プレートを扉に翳そうとして…
「…と、忘れていた。
イル、我に抱きつけ」
「へっ⁈」
リーンの突拍子もない言葉に固まるイル。
なぜ今⁈
抱きつく必要が⁈
混乱しながらも、顔が赤くなるイル。
しかしリーンは凍えるような冷たい視線を
イルに向ける。
「扉の鍵だ。
基本は冒険者レベルに応じて
依頼を受けた者でしか、
指定の階層へは入れないのだ。
だが…
体をピッタリくっつけていれば…
扉が一人として認識する筈だ」
リーンの持つ虹彩のプレートは、
依頼を受けていなくても
侵入を可能とする特別製だ。
イルをニ層へ進ませるには…
この方法が手っ取り早いと、
リーンは言う。
「な、なんか…色々背徳感があるなぁ」
ニ層に入った事がギルドにバレたら、とか、
女性…リーンに抱きつくこととか…
色々悩むが仕方がない。
いや、むしろ内心は役得過ぎる。
目を泳がせながら、
リーンと密着すると
ほのかに花の香りのような
良い匂いがした気が…する。
リーンは思った以上に小さく華奢で…
やはり、守りたいと思うような存在だった。
「ふむ、もういいぞ。
扉は開いた…って、
キサマ臭い!下水道臭いぞ…
しかも暑苦しい!何だその腹は⁈」
「ええぇ…お風呂入る暇なんてなかったし」
やはりどこまでも、
いい雰囲気にはならないニ人だった。
◇◇◇◇◇
(ブレイブダンジョン③へ続く)




