三章一話終わりへ進む者⑤【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
静寂と暗闇…
ここは、常に湿気で充満していて、
しかも、臭く不衛生だ。
最も…
彼女にはここは慣れた場所だったし、
日常である。
今日も彼女は自分の研究のため、
この場所へ乗り込んでいた。
しかし、
ドォオオン…!
突然の爆音にさしもの彼女でも
心臓が飛び出るかと思った。
「なぁに〜??この音⁈
新手のゴーストのイタズラかなぁ?」
ランタンを手に音の出所を探る。
…と、かすかに人の呻き声。
ランタンの灯りで照らす
そこには…
知ってる人物の姿があり…
驚きつつも、彼女は警戒を解いた。
「あ〜れ〜?君達って…」
イルは閃光に包まれ、その後
暗闇へ堕ちたまでの記憶はあった。
そしてまた光…
『また閃光?いや…これは柔らかい光だなぁ』
眩しさに意識を戻し、
目を開けた途端
人の顔があった。
「うわぁぁ⁈」
驚いて飛び起き、頭を壁に打ち付ける。
「い、痛ぁぁ…て、君は…」
「お久しぶり!ドワーフのアーファだよ!」
朗らかな声が闇を満たす。
しかし、なぜアーファがここに?
…いやいや!
そもそも…ここはどこだ?
「う、うーん…
失敗だ…
飛ばされてしまったか…」
次いで起き上がったリーンは、
不機嫌そうに呟く。
「り、リーン様!良かった!
無事だったみたいだね!
…て、僕…
もしかしてまた余計なことした?」
リーンの不機嫌そうな表情を見て
何かを察したイルは眉を下げる。
コロコロ表情の変わるイルに
吹き出しそうになりながらも
リーンは大丈夫だと伝える。
彼の精一杯の仲間を助けようとした
行動を、誰が戒めるだろう。
何よりニ人とも無事なのだ。
そんな心の内を見せぬように
リーンは淡々と説明する。
「我には高い魔法耐性がある。
弱い術は我には効果がない。
先ほどの中級…転移の術も
躱せる自信があったのだが…
さすがにニ人分守るのはキツかったようだ」
「ご、ごめんなさい。
僕が飛び込んだせいか…」
「いや、責める気はない。
助けに来てくれて、嬉しかったぞ」
ニ人を見ながらアーファは
「いい雰囲気に私はお邪魔かしら〜?」
などと、軽口を言う。
◇◇◇◇◇
(終わりへ進む者⑥へ続く)




