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二章・第三話ブレイブダンジョンへ⑧



◇◇◇◇◇



羽音が迷宮内に響き渡る。



嬉々と、鳴くように

大コウモリは翻りながら旋回し、

標的へ向かってくる。


しかも、運悪く魔物は…

単体では無かった。


通常…

余程でも無ければ、ダンジョン一層付近では

魔素濃度は極めて低く、

魔物が発生しても、単体で発生するものだった。


だからこそ、初心者冒険者でも

パーティを組んで臨めば、

人数有利で戦え、

危機的状況に陥いることは

滅多にない筈なのだ。


一度に複数体との遭遇戦は

仮に魔物が、単体では戦闘力が

低い種だったとしても、

非常に危険度は高い、


なぜなら、前衛が複数体を一手に

相手取ることになるか…

さもなければ、サポートである

後衛が魔物に襲われ、

内部から崩れていく…

そんな事になり兼ねないからだ。


よって…

中級冒険者以上の実力が無ければ

対処は難しいだのだが…


初、ブレイブダンジョンに

意気揚々と乗り込んだ初心者冒険者が…

寄りにもよって、

稀有なイレギュラーに

遭遇してしまうとは…



さて、

そんな危機的状況のリーンとイル。


しかし、リーンは冷静に状況を見渡す。


大コウモリの数は五〜六羽

群れで連携し襲ってくるつもりのようだ。


こんな状況にも関わらず、

リーンの表情は常と変わらず

淡々としていた。


強いと言えば…

イルを自身の後ろへ庇い、

様子をほんの少しだけ憂い顔で

一瞥したくらいか。


術士が戦闘をする…


広範囲攻撃魔法を使える術士ならば…

戦況は好転する猶予はあるのだが…


リーンは杖を構え、

イルを守るように

立ちはだかる!


だが、しかし…

リーンは術を使ったことがない。

正確には、使いたいが使えない…のだが。



術を使えない術士が

複数の大コウモリ相手に

何ができるというのか…⁈


その鋭い爪と牙でぼろぼろに引き裂かれて…

ここで全滅するのか?


リーンを見上げながら…


イルは絶望で声が上手く出せないでいた。

先ほどまでの自分の決意は

どこへやった…⁈

腕も動かず、腰は抜けてヘタリ込み…

自分は馬鹿みたいじゃないか。


先ほどの時のように、

前世の記憶からの無意識の攻撃は

できないのか⁈


だが…

腕が重い…

腰が立たない…体が鉛のようだ。


せめて…

せめて、こんな自分などを置いて

リーンには逃げて欲しい!

リーンだけでも!

最後の矜持を振り絞り…声を出す…


「リーン、様…に、逃げ… … …へ??」


シリアスに"逃げろ!"

なんて言いたかったその声は…


言い終わる前に、

ひどく間の抜けた疑問符に変わった。


蹲ったイルの目の前に、ぽとり、ぽとりと

大コウモリが落ちてくる。

一撃で撲殺されている!


バキィィィ!!


けたたましく、

恐怖を煽るような不快音が響く。


それは、一本の古びた杖から発っせられ、

大コウモリの(羽を広げれば三メートルにもなる)体を

悉く打ちのめしていた。


どんな猛者が脳筋で

杖をぶん回しているのか⁈


当然、その杖の持ち主は…


「全滅させたぞ。

まったくもう! 

杖が傷んでしまうではないか!」


「… …」


五羽のコウモリを倒すのに、

三分掛かっただろうか??


「リ、リーン様

本当は術士じゃなくて、

格闘家だったんだ?」


これで全ての辻褄が合う!

凄いやリーン様!

脳筋猛者!(褒め言葉)

そういえば、以前棚を片腕で担いでいたな!

素晴らしい腕力だ!いや、怪力だ!

純心に感嘆を口にするイルに対し、

リーンは眉間に深い皺を寄せ珍しく、叫ぶ。


「違う!!我は歴とした術士だ!!」



◇◇◇◇◇




(ブレイブダンジョンへ⑨へ続く)

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