二章・第一話僅かな歩みをかみしめて②【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
「う、うわぁ!
ベーコンも付いてる!!」
今朝の食卓が一気に
彩りを増した。
イルは目を輝かせながら、
軽く涙目にもなっていた。
故郷では、当たり前に食卓に
並んでいた目玉焼きやベーコンだろうに…
今のイルには、それらがご馳走に見えた。
久々の脂身の旨さに
朝から幸せそうなイルは
夢中で口に運んでいく。
そんなイルを見て、苦笑いしながらも、
リーンも食事を進めた。
食べ過ぎは良くないが、
適度なエネルギー補給は
若いイルには必要だ。
久々に摂ったエネルギーで
力が漲ったのか、イルは珍しく
率先して、ギルド窓口へ出向いた。
「今日の依頼入ってます?
僕、今日は何でもできる気がするんです!」
「イル君、今日はやる気があっていいね!
…ええと、今入ってる依頼だと…」
依頼リストを見ながら、
ギルド職員は少し躊躇うように話す。
「うーん…来てるのだけど…
女性のリーンさんには、
ちょっと辛い仕事に
なっちゃうかもなぁ…
力仕事の依頼なんだけどね…」
「力仕事?
任せて下さい!僕がリーン様の分も
フォローしますから!」
今日のイルは朝食のお陰か、絶好調だ。
頼もしい言葉と共に依頼を即決し、
リーンを連れてギルドを後にするのだった。
そんな彼を見たギルド職員は
成長したなぁ、と…
母心にも似た気持ちを抱き、
二人を見送るのだった。
…が、自身満々で臨んだイルだったが…
「何だ?
これくらいの荷物も持てぬのか?」
本日の依頼内容は、引越しの荷運び。
特に、タンスや本棚等、
大きな家具を運び出すのが担当で…
力仕事は男の役割だと、
イル本人も豪語していた筈だが…
小型のテーブルを運び出すのにも
悪戦苦闘のイルを他所に、
リーンは涼しい顔で片肩に荷を
背負っている。
「食器棚を肩に担いで運べる
術士がどこの世界にいるんですかぁ⁈」
小柄で華奢なリーンだが…
己の体躯の倍はあろう、
大きな食器棚を軽々担いで
荷馬車へと向かっている。
「我ほどの術士ともなれば、
この程度の腕力くらい、
普通に身に付くのだ」
術士、とは…?
小さめのテーブルでさえ、
ヒイヒイ言いながら、やっと運び出す
イルは…
絶対、何かが間違っていると、
心の中で叫ぶ。
本日の依頼は、
リーンの怪力のお陰で日が落ちる前に
速攻で完了したのだった。
◇◇◇◇◇
(僅かな歩みをかみしめて③へ続く)
リーン:「イルの秘密を知りたいか?
…奴の下着は白ブ…」
イル:「リーン様!そういうのやめて下さい!
嘘とか本当よくない」
リーン:「…だが、この間…」
イル:「わー!見間違えですよ!やめやめ!話し終わりー!」




