第四話-下水道探索⑨【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
「素敵…♡」
ランタンの弱い光の中でも分かるほど
アーファの顔は上気し、恍惚としていた。
あろうことか…
イルの股間を見て、だ。
「え?ええ?」
己の股間を見ながら、恍惚とする彼女に
イルは良からぬ妄想をし始める。
アーファはそんなイルを見て
微笑みながら、舌舐めずりし…
「下穿き…脱いでくれない?」
アーファはイルの下半身に手を伸ばす。
「だ、だだだダメだよ!
今はまだ…仕事の途中で…
その、あの…その…
いくら僕が素敵だからって…
こんな所でぇぇ…デュフフ、フフゥ…」
こ、こんな急に…
積極的すぎるよ…!
ついに来た!モテ期か⁈
イルは短い足や腕をくねらせ
もじもじしながらも上機嫌だ。
その気になりかけてる
イルの股間に…
しかし、
突如、
杖の強烈な一撃が炸裂する。
ボスッッ!
恐らく
リーンからの情け容赦ない一撃だろう。
「おふっっ」
余りの衝撃にのけ反るイルの股間から
何かがポロリと落ちた。
「きゃあぁああ⁈
僕のキノコが取れたぁぁ⁈」
痛みと衝撃で色々錯乱するイル。
「はい!キノコです♡」
アーファはイルの(?)キノコを
大事そうに手に取る。
「馬鹿かキサマは」
氷のように無機質で冷たいリーンの声を聞き、
イルはやっと正気に戻る。
股間を見れば…
取れてはいないようだ。
だとすると…あのキノコは何だ?
「リーンさん、取ってくれて、
ありがとうございます♪
これ…超レアなキノコなんですよ!」
アーファはリーンに向き合い、礼を言う。
…どうやら、
イルの股間付近に付いてたキノコを
リーンが杖で叩き落とした…らしい。
「うむ。これくらい容易いことだ」
と、言いながらリーンは
自身の杖を汚物を拭うように
念入りに拭いている。
「う、、うぅ」
言ってくれたら自分で取ったのに…
杖…そんな嫌そうな顔して
拭きまくらなくたって…
理不尽に股間を叩かれたイルだけは
納得がいかないようだった。
「そ、そのキノコ…何なんです?
何で僕にくっ付いてたんだ…」
「これ、地下の汚水の近くでないと
採取できない珍しいキノコなの!
ずっと下水道に通ってたんだけど…中々
見つからなかったのよ!」
そう言えば彼女はキノコの研究をしてるんだったか…
恐らく、イルが下水に落ちたタイミングで
偶然生えてたキノコが付着したのだろう。
「本当にありがとうございます!
お礼というのもだけど…
うちのお風呂使っていって下さいな♪」
ただ偶然が重なっただけの
キノコ採取であったが…
アーファの厚意をニ人は有り難く
受けることにする。
このまま町へ帰っても
下水道に染み付いた異臭を纏うニ人は、
(下水に浸かったイルは特に)
周囲から白い目で見られるだけだろう。
温かい風呂に入り、
臭気や汚水の汚れを清め、
リーンとイルは、ほっとひと心地つく。
◇◇◇◇◇
(下水道探索⑩へ続く)




