第四話-下水道探索⑦-【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
ランタンの鈍い光りが
声の主をぼんやり照らし始める。
イルはもはや、全身の震えを隠しきれない
状態だった。
深淵の先から、女のものらしき声と共に、
ボゥ…と、光の玉が浮き出てきた。
「や、や、やっぱり幽霊だぁぁ!
ぼ、僕を食べても美味しくありません!
脂肪ばかりでベトベトですからぁぁ
た、助けてぇぇ」
「うるさいぞ(あと、幽霊が人を食べるか)」
胡乱げにイルを見据える。
リーンはあくまでも冷静だ。
腰を抜かしたイルを置いて、
声と光の玉のする方へ
スタスタと歩いて行く。
「ちょ、やだやだ!待ってぇぇ」
イルも独りになりたく無い一心で、
未だ腰の抜けた体を四つん這いに
必死で後を追う。
「あ〜ん!
やっぱり、閉じ込められてたのね?」
恐るべき幽霊との遭遇か…
はたまた、バンシーのような魔物か⁈
イルは生きた心地がしなかったが、
光の玉から聞こえてきた声は…
陰湿な下水道に全くそぐわない、
あっけらかんとした、
少女の明るい声だった。
「大丈夫〜?何かパニックになってるど?」
パニックになってた理由は、
そちらのせいだと、
イルは内心で抗議する。
「き、君は?に…人間??幽霊じゃない??」
イルは捲し立てるように質問する。
汚水塗れ、緊張で引き攣った顔をしながら
地面を這う…現状のイルの方が
余程人外に間違われるのではないか?
「当たり前じゃない!
こんな可愛いゴーストなんていないでしょ!」
「…、、、」
自分で言うか⁉︎
と、イルはまたも
内心突っ込みを入れたが(他人の事は言えない)
まぁ、本当に可愛い子なんだけど。
「私はドワーフ族のアーファ!
この地下でキノコの研究をしてるんだよ」
アーファと名乗るドワーフの娘は、
一般的なドワーフのイメージとは
少し違い、かなり小柄で
華奢な美少女だった。
髪のボリュームだけは、
いかにもドワーフといった貫禄で
茶色い髪は、しめ縄を発想するような
毛量で二つに三つ編みされていた。
「ふむ、なるほどドワーフ族か…
だから地下にも詳しいって訳だ」
リーンもやっと顔を緩める。
◇◇◇◇◇
(第四話⑧へ続く)




