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三話冒険者生活①



◇◇◇◇◇



冒険者斡旋案内所(通称ギルド)には、

酒場が併設されている。



通路で繋がった隣棟に

酒場のホールはあり、

ギルド受付の室内以上に

広さも確保されているようだ。

日夜を問わず、

常に冒険者で賑わっている。

また、冒険者用宿屋も家屋の二階、三階にて

営業しており、

併せて、こちらも冒険者には

必須の施設となっていた。


町にも民間の宿泊施設は

あるものの…

旅人向けとして、若干宿賃が高めである。

更に、ギルド併設宿は、

部屋のグレードも選べる為、

雑魚寝で良いなら、

かなり宿賃を抑えて寝床を確保できるのも

駆け出し冒険者にはありがたい利点だった。



そんなギルド併設の酒場に

ヨロヨロと、かなりくたびれた姿で

イルとリーンは入ってきた。



畑仕事依頼で得た僅かな報酬で、

ニ人はギルドの酒場で

ささやかな夕食を摂る為だ。


未だ疲弊し、寝ぼけ眼のリーンを

席に座わらせ、

水と、店で1番安い蒸し芋を

ニ人分オーダーする。


「はぁ…お肉がたべたい…」


この数ヶ月間でイルが

ダイエットに成功した背景には、

食生活の劇的変化も

大いに影響しているだろう。


何しろ、金がないのだ。

毎日、芋と水と、野菜屑のスープだけでは、

肥える筈がない。



第二の人生を生きているイルは、

実家に居た時こそ、

過保護に育てられ、

何不自由無い生活を送っていた。


地方の村の出身ではあったが、

親は村の領主の傍系であり、富んでいた。

母は優しく、料理好きで

イルに食事やお菓子など

好きなだけ作り、与えていた。


当然、甘やかされっ子の子豚になる訳だ。


しかし、イルには前世の記憶と使命があり…

成人後すぐに家を出るべく、

その意思を貫いたが…

長年ぬくぬくと育てられた習慣が抜けず、

この町へ辿り着いて間も無く、

親から持たされた旅の資金などは

全て使い果たしていたのだ。


「キサマの計画性が無いのが悪い。

巻き込まれて我まで

所持金が無くなってしまったのだぞ?」


イルと再会を果たして数ヶ月…

悉く依頼は失敗し、

その間の宿代や食費は

リーンのへそくりから捻出していた。


「ごめんなさい…

こんなに依頼が上手く達成できないなんて…

予想外で…」


イルは項垂れる。

想像していた冒険者の自分と、

現実のギャップに苦しむのは

初心者冒険者なら誰でもが通る道だが…

それにしても、

イルは人並み以上?に

運動神経が無く、弱過ぎた。


まともな人間なら、

冒険者など諦めるレベルなのだが…

イルにはそんな選択肢など無い。


「そういえば、リーン様は今まで…

旅の資金とか、どうやってやり繰りしてたの?」


味気ない蒸し芋をゆっくりと口に運び、

飲み込むのを惜しむよう

咀嚼しながらイルは質問する。


イルとは対照的に、さっと平らげ

皿を空にしたリーンは

退屈そうにテーブルに頬杖ついていた。


「まぁ…我とて、この有様だからな。

旅の資金は昔は…

手持ちも多少はあったが…

最近は、方々の地にいる

ドワーフ族の者から援助を得ているのだ」




◇◇◇◇◇



(冒険者生活②へ続く)

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