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 ユニコーンが去った後、ティアは手に持っているブレスレットをハクトとケーゴに見せた。


「ユニコーンから、これを貰ったんですけど」


「これは」


 ハクトが息を飲み、ケーゴは目をしばたたかせていた。


「ティアちゃん、これは信頼の証やで」


「それだけじゃない。ステータスの上昇と、ステータス異常に対する耐性付きだ。ユニコーンを倒した時に手に入るアイテムと同じ効果だ」


「えっ!? 信頼の証って、あの子を呼び出せるんですか?」


 ティアは言うと目を大きくし、ブレスレットをもう一度見た。

 細かな細工が施されたブレスレットは、見た目だけでも貴重な一品であることは分かる。

 ケーゴがあごに手を当てて言う。


「せや。やけど、信頼の証にアイテムの効果が付くんやな」


「普通に倒して手に入れるアイテム以上のものだな。ティアがユニコーンに優しくしたお返しだろう」


「そんな貴重な物を貰っていいんでしょうか?」


 返そうにも返す相手がいないが、さすがに自分の身には余るものだと思った。

 ハクトは首を縦に振った。


「ティアだからこそ、貰ってほしいんだと思うぞ」


「分かりました。ありがたく貰おうと思います」


「マウントユニットとしても呼び出しが可能なはずだから、その時にも優しくしてやるといい」


「はい。優しくしたいと思います」


 ティアが微笑むと、二人も嬉しそうな表情を見せた。

 ふと、ティアが思い出したように言う。


「帰り道って分かりますか?」


「あっ……」


 呆けた声を上げたハクトであった。



 マップを見ながら何とか元の道に戻った一行は、ヘリオットへ向かった。


 旅は順調に進み、ついに森の都ヘリオットへとたどり着いた。

 森の都と呼ばれる通り、都市の周りは木に囲まれており、開拓された土地には木造の建物が並んでいる。

 リンデンと同規模の都市が、このような森の中にあることにティアは驚きを感じた。


 道行く冒険者の数もリンデンと比べて多いことから、ヘリオットが人気の都市だということがうかがえた。


「すごい冒険者の数ですね」


 ティアが周りの様子を見て言った。


「リンデンとはちゃうやろ? 『ユニティ』の中で一番人気の都市やからな」


「はい。でも、人気な理由も分かります。自然豊かで、いるだけで落ち着くというか、心地いいですよね」


「せやなぁ。わいも最初はここをホームポイントにしとったからなぁ。ここに来ると初心者やった頃を思い出すわ」


 ケーゴは周りを見て懐かしむように言った。

 すれ違う冒険者の中には初心者と思しき者たちも目立つ。

 ここからスタートして、色々な冒険に出るのだろうな。と少し感慨深い思いをした。


「そういえば、ハクトさんは最初はどこから始めたんですか?」


「俺はオアシスの都サハリだった。流通の拠点となっている土地だから、ここ以上に人が行き交っているいるんだ」


「へぇー。そこにも早く行ってみたいです」


「活気があっていい街だ。楽しみにしていていいぞ」


 言葉を交わしていると、ケーゴが一つの大きな建物を指さした。


「あれがヘリオットの冒険者ギルドや。早速、入ろか」


 冒険者ギルドの中に入る。

 外で見てきたことから、冒険者の数が多いと思ったが、中は予想以上であった。

 多くのテーブルは、それを囲んだ冒険者たちで活気に満ちていた。


「中もすごい人の数ですね」


「まったくやな。前よりも人が多なっとるわ。ティアちゃん、絡まれんように気いつけえな」


「はい。気を付けます」


 人にぶつからないように歩いて、カウンターで冒険者と話している女性の傍まで行く。

 ティアの視線に気づいた女性は冒険者との話を切り上げた。


「初めて見る顔だね。何か御用かな?」


「はい。リンデンの冒険者ギルドにいるセーヌさんから紹介状を貰ってきました」


「セーヌからだね。ちょっと見せてもらうよ」


 女性はティアの手から紹介状を受け取ると、封を破って手紙に目を通した。


「へぇ。リンデンでの亡霊騒ぎを収束させたのが、君なんだ。じゃあ、ここでもひと活躍してもらいたいね」


「頑張ります」


「ははは。私はハーネル。よろしくね」


「よろしくお願いします」


 ハーネルは快活な笑みを見せた。

 これからまたイベントが始まる。どんなイベントが私のことを待っているのだろう。

 期待に心を躍らせ、ハーネルから話を聞く。


 ティアはヘリオットでの活躍の第一歩を踏み出した。


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