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最終話 「ロマンチストな思想」


「僕は君のことが好きだ」

「……」

 

 蒼汰は手を握ったまま、楓から目を離さない。


「その上で君は、僕のことをどう思ってるのか教えて欲しい」


「私、私は――……蒼汰の事、好き……です……たとえ、婚約者じゃなくても……」

 

「……本当に? 恋愛的な意味で?」

 

 こくりと小さく頷く。互いの頬が赤くなっていて、それは部屋の灯りのせいではなく、きっと本当にそうなのだろう。

 

「いつか話してくれたと思うけど結婚するなら好きな人じゃないとって、なんの意味もないから、っていってたよね? いつか僕がいった――ロマンチストな思想、って覚えてる?」


「覚えてる。一番最初に――私に、いったもんね」

 

 蒼汰は封蠟された手紙をヒラリと楓の前に差し出した。その封筒には、あの西園寺家の家紋が入っていた。いぶかしげな表情を浮かべた楓は恐る恐る封を開いて、中身の便箋を流し読みする。

 

 父の字で間違いはない。

 

「雪代蒼汰を婚約者候補の一人として、改めて推薦する――……え、蒼汰が!? だって辞退したんじゃ――」


「そうだよ。僕は一度辞退したけど、アルハザートに勝ったことで……他にも色々条件はあったけど……再び候補に上がれた。これが西園寺家や親父との約束だ。もう一度いうけど、僕は君のことが好きだ。後は……君が誰を選ぶかだけど」

 

「それは、だって、そんなの一人しか――……私は、蒼汰が……蒼汰がいいもの」

「そう、それなら光栄だ」

 蒼汰は嬉しそうに頬を緩ませる。


「じゃあ、こういってはなんだけど、そうなると君がここに、この寮にいるとちょっと困る……実際に婚約者が決まった折には君をここから――寮から出すのも条件に入っているから」

「!」


 そんなことを突然いわれても、といいかけ楓は黙り込む。

 

「だから、これから僕と一緒に住むか、一人で住むか。どちらでも好きに選んでいいよ。今後のグループ活動については別途相談しようか。最初に言ったと思うけど、止めるときには揉めないよう全力を尽くす。僕は――君の意見を聞く理解ある婚約者でありたいから」


 そうして蒼汰は口を開いた。

 

「う、ん……ありがとう」

「じゃあ、今後の、これからの約束として――今度は頬でなく口がいいな」

 

 といわれ、ぐいと頭の後ろに手を回された。瞳は楓の方しか見ていない。

 互いの唇がそっと触れ、ふっと蒼汰はまた笑う。



「正式な婚約者として、これからもよろしく。楓」


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