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世界を渡る魔法 Re:REMAKE  作者: 夕凛
幕開け
2/10

散花は、祖国の未来を視る


 英国、国境付近にて――――――。


「撒けたか・・・?」


「いや、まだだ。奴らを甘く見るな。ねちっこさで言えば、手についた納豆の粘々より酷い」


 軽装をした男性が五人、森の中の茂みに腰を低くして身を隠している。木々の上空には、杖に乗った魔術師が数名、目標喪失(ターゲット・ロスト)のハンドシグナルを送り、散り散りになって森の中へと入っていった。


「全員で逃げ切るのがベストだが、奴らもそうはさせまいと必死だろう。なんなら一人も逃がす気は無いはずだ。いざという時は、お前らの中の誰か一人だけを逃がす」


「いや、それなら隊長が逃げて下さいよ」


「俺もそれに賛成だ」


 隊長、と呼ばれた男以外その場にいた全員が、隊長を逃がすという案に賛同した。


「てめぇら、本当クソだな。ったく、なら全員で逃げ切るか。もちろん、追っ手を全部ぶちのめしてな」


 たかだか数人グループの隊長ではあったが、彼らにはその隊長の一言が生きる事への執念となった。

 全員で円となり、右腕を前に突き出す。


「俺らは英雄なんかじゃない。それに、千年前この地に溢れんばかりといた魔法使いでもない。しがない魔術師の寄せ集めだ。だが最後の瞬間ぐらい、彼の魔法使いたちのようにカッコでもつけてみようじゃねぇか!今は昔、我らの故郷である日本にも実在したという、勇敢なる魔法使い達のように!」


 他の魔術師たちも声を上げていく。


「数人で大国から祖国を守り抜いた、英傑たちのように!」


 己の突き出した拳と、差し出した命を、また紡ぐために。祖国に託すために。


「何度仲間が殺されようと、決して平和を望むことを止めなかった、賢者たちのように!」


 彼らは、祖国の英雄を語る。そう、今は世界に一人として存在しない、()()使()()を。


「俺たちの魂は!」


「彼の魔法使い達より受け継がれる!」


 彼らはその拳を天に掲げる。それは、かつて日の本の魔法使い達が大戦を前にした際の喝だという。


「この世界に、桜を咲かせろ!!!」

 

 先のように、隠れて逃げ延びようとはせず、寧ろ今度は堂々たる立ち居振る舞いを見せた。彼らの心には桜が咲いている。そして彼ら自身、日本国という大きな桜の花びらの一片(ひとひら)一片でしかない。

 桜の花びらは、散ってなおも輝き、大木を輝かせる。そして、花びらとは散りゆくときこそ美しい。







 物語を物語(フィクション)で終わらせてはならない。

 

全ての物語は人生の教訓足り得るものであり、その中の愚行を繰り返し犯すことこそが最大の愚行である。

                  

 

  ――――ユーリ・リリィ・アンブローズの手記―――





 


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内容理解難しいけどどうなったのか続き気になります
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