表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/26

sideルイス3

リリベルは婚約式の間、ずっと微笑みを浮かべていた。


僕は幸せすぎて熱を出しそうなくらいだった。


僕は震える手でリリベルの耳にイヤリングをつけた。


リリベルが僕の首にネックレスをかける。


ヤバイ。リリベルの可愛さが、更にアップしてる。


母上がリリベルに大丈夫?何かうるさいの聞こえない?等と尋ねていたが、リリベルは可愛らしく首を横に降って微笑んだ。


「あら、良かった。管理長は機能を止められたのね。安心したわ」と、父上と安心したように微笑んだ。


そうか、心漏れとか言ってたけど機能は解除されたのか。


それは、少し残念な様な安心なような不思議な心地だった。


僕の心の声をリリベルに聞いてもらいたかった様な。それは恥ずかしい様な。


あぁ、それにしても。なんて可愛らしく微笑むんだろう。


僕にリリベルと出会わせてくださった神様に感謝します。


胸が一杯になって息を思い切り吸い込む。

僕の瞳の色が、なんて君に似合うんだろう。

僕の胸元に光るリリベルの瞳の色のネックレスは、僕にすっごく似合っている筈だ!


リリベルが耳元に手をやりイヤリングを外そうとした。

「待って。外さないで」

「え?でも、こんな高価な物、無くしてしまったら大変なので公の場に出る時以外は大事に保管しておきます」


そんなぁ。僕は常に君と一緒にいたいのに。


「リリベル。お願いだから外さないで。外されたら僕は死んでしまうよ」

「何を言い出しているの、ルイス」

母上の言葉をまるっと無視して、リリベルに向き合う。

「お願いだよ」

君のそばにいたいんだよ。

リリベルは少し固まって、そのあと僕を見て微笑んだ。

あぁ、天使だ。


「母上、イヤリングに紛失防止の魔法をつけてください。よろしくお願いします」


母上の方を見もせずに、願い事だけ口にする。


「全く。あなたときたら」


あぁ、リリベルには何の花が似合うのかな。全ての花が似合いそうだけれど。


リリベルはどんなデザートが好きなのかな。


リリベルは、リリベルは、リリベルは…。


僕の心はリリベルで溢れてくる。


婚約式が終わると僕はリリベルの腕を掴んで庭園へと連れ出した。


「ルイスー」

「すみません、母上!ぼくの庭園を見せたらすぐに戻るので」


今すぐにでもリリベルの好きな花が知りたかった。


もしも僕の庭園にリリベルの好きな花が無かったら、庭師に頼んで植えてもらうのだ。


そうしたら。リリベルは、ここを好きになるし僕のことも好きになってくれる。


急いで普通の道ではなく垣根の横を通り抜けている時、近くを通るメイドたちの声がした。


「可哀想に。スペンシア侯爵の娘さん、呪いで婚約破棄決定なんでしょ」

「こんな婚約式なんて、やらなくてもいいんじゃないのかしらね」


思わず足を止めてしまった僕に、リリベルはなにも言わずに笑って首を傾げた。


ごくり、と唾を飲む。


僕は大切なことをリリベルに言っていない。


「リリベル、僕は大事なことを言っていない」


深呼吸をひとつしてリリベルの瞳を見つめる。


「僕はね、呪われているんだ」

リリベルは、こくん、と頷いた。


「魔女にね、婚約破棄をするって」

あ、ダメだ。泣きそうになって鼻声になってしまっている。


「でも、でもね!僕は決して婚約破棄なんてしないからね」


決意を込めて告げると、リリベルはやっぱりふんわりと笑ったんだ。


「呪われた王子の婚約者なんて言われるだろうけど、ごめんね」

僕のことでリリベルが嫌な思いをしませんように。


「ふふ。わたくしこそ呪われているのですわ」

「えぇっ!!」

僕以外にも呪われた子供がいたとは!


「リリベル、大丈夫なのかい?」

リリベルにまさか、そんなことがあるなんて!

「どんな呪いなんだい?僕は産まれて100日目から呪いを受けたらしいから耐性があるはずだから、どうにかしてリリベルの呪いを僕にうつせやしないかな?」


リリベルは瞬きを繰り返して。


それから、やっぱり、ふんわりと笑った。


「大丈夫ですわ。わたくはね、この姿形が呪われているみたいだと言われているだけなんです」


信じられなかった。頭が理解できずに何度も瞬きをしてリリベルを見た。


「そんな訳ない」

こんなに光輝く様に可愛らしいのに。


「この黒い髪と金色の瞳が、黒猫のようで呪われていそうで不気味だそうです」


「そんなことない!」


誰がそんなひどいことを彼女に告げたのだろうか。


僕が怒りのあまり肩を上下させていると、リリベルはやっぱり笑って、ハンカチを僕の目元に当てた。


「泣いて下さらなくても大丈夫なのに」

「これは涙じゃない。瞼から汗が滴ったんだ」

「えぇ。そうですわね」

そう言って笑う彼女は、まぶしいくらい可愛かったんだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ