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プロローグ

見切り発車なので、名前とか細かな設定を変えるかもしれません。

よろしくお願いします。

できればあたたかい目で見ていただきたいです

 かつてこの星には青い海がただ広がっていた。

ある時、宇宙から来た無数の隕石がこの星を揺らした。

星と隕石の重力は互いに引き合い反発し混ざり合った。

こうして海と一体となった大陸=地ノ国と空に漂う大陸=天ノ国の二つが生まれた。

 隕石が落ちた時、星の海は打ち上げられ、後に雨となって星に帰った。

その時、海は宇宙の無限と混ざり、そこには生命の源が生まれた。

生命の源を含んだ雨は空に漂う大地に降り注ぎ、そこには生命の泉が生まれた。

生命の泉からは星のあらゆる事象を司る生命体=神獣が生まれた。

そして神獣は泉を飲み、自らの眷属=天獣をも生み出した。

 時は流れ、生命体に知性が生まれ同時に感情も芽生えはじめた。

それは愛なのか憎しみなのかひどく曖昧で不安定なものだった。

人=天人が生命の泉から生まれたのもこの時だった。

 さらに時は流れ、生命体の中に泉ではない方法で新しい生命体を生むものが現れた。

しかしその生命体はひどく脆弱で何の力も持っておらず短命だった。

よって天ノ国でその行為を禁忌とし、その禁忌を破ったものは地ノ国へと落とされた。

人間の世界がここで生まれた。



 時は現在、天ノ国は神話となり星の成り立ちなど忘れ去られた時代。

地ノ国を統べる、ここエルドラ帝国は火に包まれていた。


「帝国を焼き尽くせ!!」


武装した民衆の怒号が飛ぶ。

暴徒と化した民たちがそびえ立つ王城に向けて溢れかえり、街のあちこちで悲鳴が上がっている。


「帝国に歯向かう者は殺せ!皆殺しだ!!」


激昂した帝国兵士達は容赦なく反乱軍を切り捨てる。

瞬く間に帝国は血に染まっていく。


 エルドラ帝国、初代皇帝ゼファイトスが己の武力をもってして築き上げた国。

戦の時代、数多の国がこの地ノ国の玉座を争っていた。

まさに血で血を洗う戦いであった。

皇帝ゼファイトスはその武勇と強靭な意志でこの戦を勝ち抜き、地ノ玉座を手に入れた。

エルドラ帝国皇帝、同じく地ノ王ともなったゼファイトスは地ノ国の全てを支配した。

そこから五百年…,膨れ上がった権力はもはや怪物と化した。

帝国は民衆から搾取し弱らせ、苦痛、恐怖こそが統治だと暴走していた。

こうなるのも時間の問題だっただろう、民の怒りはすで限界だった。

そして昨日、現在の地ノ王…第八代皇帝アレイトスが崩御したという知らせが国を駆け巡ったのだ。



「帝国の時代が終わったか…。」


単眼鏡を覗き込む男が言った。

男がいる丘からは帝国の惨劇がよく見える。

街のあちこちで黒煙が上がっている。

奥から林をかき分けて若い男がやって来る。


「このまま滅んでくれたら儲けもんなんですがね。」


若い男に気付いた男が単眼鏡を腰のポーチにしまう。


「ないな…五百年の歴史は伊達じゃあないさ。」


若い男は少し残念そうに顔をしかめる。

それを見て男は苦笑いし、彼の肩を軽く叩く。


「…だが支配は終わる。」


男の眼光が鋭く光る。


「地の玉座をかけた戦争が再びはじまるぞ。」


そういって男達は静かにその場から消え去った。



 各地で起こった帝国に対する反乱は従属していた国々に大きな波紋を広げた。

この機に地の玉座奪還に決起した国、自国の再興に急ぐ国、反乱軍に降伏したまたは鎮圧した国、ひいては反乱軍を扇動している国もあるだろう、反応は様々だがそれぞれの国の思惑が動き出していた。

そして渦中のエルドラ帝国は今まさに国の危機に直面しているとこである。

王城内大会議室、漆黒の大理石でできただだっ広い部屋に派手な装飾の大きな机が一つ。

無駄に派手な衣服に偉そうな面構えの老害共が好きずきに言い争っている。


「反乱軍はもう門の前まで迫っている!早く逃げましょう!」


「馬鹿を言うな!!帝国が負けるとでも!?恥を知れ!」


「なんとかせねば…この機に乗じて他国が攻めてくるやもしれん…」


「愚民共め…!我が帝国に歯向かうなど忌々しい…!」


汚い言葉が飛び交う中、上座中央に座る銀髪の美しい顔立ちの青年が黙っていた口を開く。


「黙れ」


威圧のこもったその一言で場は一瞬で静まり返る。


「反乱はじき終わる、赤子のように狼狽えるな。」


「し、しかし王子…。」


青年が大臣を睨む。


「もう王子ではない、私が皇帝だ」


部屋がざわめく。


「お、お言葉ですが殿下!第一継承権は兄上のクレイトス様が持っておられます!め、滅多な事はおっしゃられない方が…」


王子が後ろの従者に顎で指示する。

大臣達が困惑していると、従者が布で覆われた何かを机の上に置く。


「で、殿下?これは…?」


王子は黙ったまま冷たく笑う。

従者が布をその何かからはぐ。


「!?」


その瞬間この場の全員が言葉を失った。

その何かとはエルドラ帝国第一王子クレイトス、まさにその人の首だった。


「お前らのように喚いていたから黙らしてやった、くっくっくww」


「な、なんて事を…。」


王子が静かに、だか威厳を込めて皆を見渡す。


「理解したか?今日よりこのエルドラ帝国皇帝はこの第二王子セファイトスだ!」


有無を言わせぬセファイトスの圧にこの者に従わぬ事は自分の命を捨てる事と同義と悟る。

これ以上反論する命知らずはいなかった。


「無能はいらん、帝国人の誇りを持たぬ者は即刻首を刎ねる!よいな!」


大吾達が一斉に膝をつく。


「はっ!皇帝陛下万歳!」


セファイトスがこれからの未来を見据えておもわず笑みを零す。


「つまらぬ支配は終わった…来るがいいハイエナ共!我が力を知らしめてくれよう!」




そして王都から離れた街、帝国領スタス。

ここでもまた反乱軍との戦いが巻き起こっていた。

帝国といえども辺境の辺境、スタスに配属される帝国人など殆ど島流しと言っても過言ではない程国から見放された街。

無能、厄介払い等理由は様々、この戦で元々数のいない兵士は敵前逃亡…さらに少なくなっている。

そのくせ反乱軍はどんどん増えていく一方、彼らにとって力のない帝国領など格好の獲物でしかなかった。

そんな負け戦の戦場に帝国の鎧を着た少年が一人、反乱軍に対して剣を振るっていた。

明らかに子供、だかその技量は凄まじく多勢の反乱軍に全く引けを取らない。

それはまるで炎、燃え盛る劫火は数多の敵を蹂躙している。

いや本当に体から炎を纏っていた。

そして兜が脱げ、直毛の黒髪と精悍な顔があらわになる。

燃えたぎる戦いぶりとは裏腹にその瞳は冷たい。

彼の名はヨハネス、以降はヨハンと呼ぼう。

齢十五歳にしてスタスの領主、そしてエルドラ帝国第五王子にしてこの物語の主人公、後に煉獄の王と呼ばれる少年である。











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