表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/79

新パーティ初遠征(1)

「というわけで、パーティ結成直後で申し訳ないが、しばらくお前らとの活動は無しだ」


「待ってくれショーマ。それなら当然俺も同行する。長期の遠征なら荷も多いだろう」


「そうだよショーマちん! エクルは荷物持ちだけなんてヤダけど、ちゃんと一緒に戦えるってところ見せるからさ、連れてってよ!」


「えー――……。人数が増えればその分荷物も増えるだけだし、守るのも難しくなるんだが……」


 

 セピアが囚われてると聞いた翌日、シアン達とどこから捜索に入るか相談した。


 まず一番怪しいのが、べレンズの南側にある砂漠地帯。


 バーゲストを誘導したのは恐らくボルドーではなく、他に強い魔人がいると考えられる。

 だからその棲息地に疑いがかけられた。


 しかし南方に数十キロ進んでようやく入り口があり、そこから先は広大な砂の未開拓地(ダンジョン)

 人類種がほとんど踏み入った事の無いその場所は、探索に何日掛かるのか予想出来ない。


 だから俺達だけで向かい、シアン達は街を警護する方針で固めた。



 更に次の日が今日。

 べレンズでスマルトとエクルに合流してすぐ、二日前の出来事を説明した。

 危険度が未知数なので、もちろん待機するよう警告を促すつもりで。


 その結果駄々をこねられたのが今現在である。


 

「そもそもおかしいじゃん! シャルさんは道連れ確定で、ミィちゃんまで一緒に行くんでしょ? なのにエクルは留守番ってどゆこと!?」


「シャルは防御の要だし、ミィは魔人の攻撃に対処した前例がある。現状、お前達が行くより安全だと判断したまでだ。もっと言えば、シャルに冒険者としての実績も作らねばな」


「ならば獲物の素材はどうする? 俺達がいればより多くの素材を持ち帰られて、シャルさんの等級を上げるにも役立つぞ?」


「スマルト……お前結構手段を選ばないな。だがその貪欲さは気に入った。一緒に来い」


「ちょっとぉー! エクルだけ残るの!?」


「なにを言っている。お前はスマルトとセットに決まってるだろう。早く準備するぞ」


「なんか言い方が気になるけど、まぁいっか。ショーマちんやっぱり優しいね♪」


 

 正直気は進まないけど、あの二人の必死さを見ていると、仲間を失った恐怖が消えないのかと思えた。


 それが拭い去れるまで試練に挑んでみるのも、あいつらの今後の為になるだろう。


 素材運びの人員は欲しいし。



 丸一日掛けて準備を終えた俺のパーティは、冒険者四人とブラウニーの付き添いという、なかなかそれらしい布陣である。


 街外れのサバンナ地帯をあっさり突破し、砂漠の前に辿り着いた。

 


「日中の時間を大幅に削られてしまった。サバンナだけでもかなり広かったんだな」


「魔物や魔獣を倒しながら、この五十キロ以上の長距離を八時間くらいで行けちゃうパーティが、むしろめっちゃ珍しいんですけど……」


「なんだよ、もうくたびれたのかエクル? まぁ結構魔力使ってたもんな」


「うん……。そろそろMPポーション飲んどく」


「あー、待て待て。それならいい物がある」

 


 自分の手首をナイフでザックリいき、唖然とするエクルに血塗れの腕を伸ばした。


 

「ちょ、なにしちゃってんのショーマちん!? 自殺しに来たの!? こんなとこに!??」


「えっと、ショーマ様の血にはMP(マジックポイント)回復の効果があるんです。少し舐めて頂ければ分かりますよ。――でもショーマ様、あとでちょっとお話が……」


 

 シャルの説明に首を傾げたエクルだが、舌を出したかと思うと、そのまま俺の腕を直接ペロり。


 このうさ耳、指で掬わず直に舐めるとか恥じらいがないのか? 



 効果を実感して獣人二人が驚いている隙に、シャルに岩の影まで連れて行かれた。


 

「ショーマ様、なるべく傷を作らないで下さい。見ていてすごく胸が痛むんです」


「ショーマ、ちゅー! ちゅー、しない?」


「ミィ、それはシャルだから出来るんだ。ミィにも一回しかしてないだろ? 相手を選ばずに使える手段ではないんだよ」


「ショーマ様……それって――?」


「ん? 自分の為に傷を作るのをどうしても見たくないと言うから、それならキスで――ってなっただろ? こまめな魔力回復は最優先だ」


「は、はぁ……そうですね。ではエクルさんやスマルトさんとも口付けにしましょうか」


「それは出来ないだろ。エクルはスマルトに好意があるんだぞ? 誤解を招いて二人の関係が悪くなれば、パーティに支障が出る」


「じゃあなぜ私には出来るのですか!!」


 

 初めて聞くシャルの怒った声に、不覚にも本気で怯んでしまった。


 それに気付いたエクル達がこちらに駆けつけて、心配そうに覗き込んでいる。

 


「シャルさん? ショーマちんに虐められた?」


「エクル、人聞きの悪いことを言うな。でも一体どうしたんだシャル? らしくないぞ?」


「……申し訳ありません。もう大丈夫です」


「シャルー? ショーマ、シャル、怒った?」


「俺に失言があったのだろう。だが理由が分からないまま謝るのも失礼だから、落ち着いたら教えてくれ。ミィもあまり煽ってやるなよ?」


「ミィ、煽った? ミィ、ごめんなさいする?」


「違いますよミィ。私が悪いんです」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ