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勧誘された冒険者(1)

 キサラディは冒険者の街として発展しており、入ってすぐに訓練設備も目に付く。


 その辺で剣や弓の腕を磨いている亜人達は、恐らく新米冒険者か見習いみたいな者達だろう。


 素人目にも動きに無駄が多いし、シャルの弓の構え方とは比較にもならない。


 あの時のシャルの姿は、本当に美しかったからなぁ……

 


「ショーマ様、あの建物が冒険者ギルドみたいです。一際目立っていて看板もあります」


「なるほど、明らかに他よりデカイな。ミィ、少し人の多い所に入るが、怖くなったりしないか?」


「大丈夫! ミィ、このまま肩に乗ってる!」


「ショーマ様は、子どもには物腰が柔らかいですね。見ていて微笑ましいです♪」


「そうか? 別に意識してないんだが。――しかしミィっていくつなんだ? シャルみたいに、実は年上だとか言うなよ?」

 


 シャルの感想が照れ臭くて、思わず質問に切り替えて逸らしてしまった。


 ブラウニーもエルフみたいに長命の種族なら、見た目が七、八歳のミィでも、俺と同い歳とかありそうで怖い。


 

「ミィ、十二歳! お兄ちゃん達は?」


「やっぱり外見は当てにならんな。俺は十六でシャルが二十九だ。この中ではシャルが最年長だな」


「で、ですがショーマ様は成人していて、私はまだ未成年ですから! ショーマ様こそ年長者的立場で丁度いいんです! ご理解頂けますね!?」


「わかってるよ。そんなムキになるな。ブラウニーは何歳くらいから大人なんだ?」

 


 その質問にミィが答える事はなく、じっと黙り込んでしまった。


 代わりに背後から聞こえてきた男の声に、俺とシャルが振り返る。

 


「ブラウニーは大人にならないよ。魔力を使った特殊な繁殖方法だから、生涯成熟しないんだ。平均寿命も二十歳前後と言われている」


 

 そこにいたのはシアンだった。

 なんか嬉しそうな顔してるけど、あまりに気配無く忍び寄るから、咄嗟に警戒してしまったじゃないか。


 それにしても、ミィでさえ半生を過ぎてるって、物凄い違和感を覚える。


 姿も喋り方も完全に子どものそれだから、認識がズレまくるのだ。


 

「さすが、一流冒険者は物知りだな」


「嫌味な言い方をしないでくれよ。僕も実際に会ったことはないし、文献で読んだだけさ。それより本当に来てくれて嬉しいよ。歓迎する」


 

 シアンに連れられて入ったギルドは、正面右側に受付、その両側と壁に依頼の貼られた掲示板、左側には椅子やテーブルが並ぶというまさに想像通りの内装。

 ファンタジー作品定番のギルドを実写で見ている気分だ。


 左にある待機所に案内され、長椅子に腰を下ろす。

 


「中もすごく広いですね。まだ時間が早いからか、冒険者の人数は少ないですけど」


「シャルさんの言う時間的理由もあるけど、依頼自体がそもそも少ないんだ。だから今の内に訓練に励む冒険者が多い」


「依頼が少ない理由も、あの山脈関連か」


「察しが早いねショーマくん。あの一件以来、一番近くの未開拓地(ダンジョン)に冒険者を送れないでいる。北を切り拓くより今は南を勧めてるんだけど、あっちへの依頼は難易度が高くてね」


「玄人向けはこなせる者が限られ、初心者向けも今や最も不気味な状態。解決を待つだけの手隙共は、せめて地力の強化中というわけだ」


「言い方はキツいけど、大体ショーマくんの言う通りだよ。山脈に向かった十五名の行方が知れない今、ギルドも軽率に冒険者達を動かせない」


「それが道理だろうな。冒険者に関心は無いが、俺はリーヴァルを気に入っている。だから昨日の提案を飲みに来たんだ。シャルと二人でな」


「本当かい!? ありがとうショーマくん、シャルさん! 早速受付で冒険者登録をしようか」


 

 シアンの紹介という事で登録はあっさり済み、今度は二階に案内された。


 なんでも冒険に役立つ書物が揃っているとかで、シアンのパーティメンバーもそこで待っているらしい。



 階段を上がる途中でシアンが俺に目を配った。


 

「そこにブラウニーがいるのかい?」


「サーチでも使ったのか?」


「君って本当に勘が鋭いね。近くにMP(マジックポイント)の三つ目があって、しかもシャルさんより上を行く。さっきの話題からも想像が出来てしまうよね」


「絶対に口外するな。こいつは俺達の仲間だし、冒険者になる決め手にもなった奴だ」


「それは僕にとっても恩人だな。誰にも言わないと誓うよ。――ほら、書庫が見えてきた」

 


 イヌイルの図書館は中々の広さだったけど、ギルドの書庫も本の量では上を行きそう。

 見るからに棚の数が多く、亜人達があちこちで立ち読みしている。


 その中でも和気あいあいとした三人組の前を通ると、シアンがピタリと足を止めた。


 

「みんなお待たせ。協力者を連れてきたよ」


「なるほど、凱旋の時にでかい面してた連中だ。正式なパーティメンバーだったわけか」


「僕達は基本的にこの四人でしか討伐を行わない。信頼出来る精鋭達ってところかな」


「そこに俺が加わるというのは謎だな。MPの高さで選んでおいて、信頼に足るのか?」

 

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