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三話

 すいませんでした。めちゃくちゃ投稿遅くなりました。

 ちょっと短めですが切りのいいところまでできたので投稿します。

 読んでくれたらうれしいです。

「サクラ大根を買ってきてください」

「……は?」

「ですから、サクラ大根を買ってきてください」

「……なんで?」

 フクが人間になってから数日経った。

 今日は休日。数日ドタバタとしていたせいで、疲れもたまっていた。

 今日はのんびり過ごそうと思い、リビングでテレビの電源を点けた所で、急にありさから買い物のお願いをされたところだった。

「なんでサクラ大根なんだよ」

「……わからないです」

「ええ……」

 ありさは首を傾げながら唸っている。

 頼んでいる本人がわからないってどういう状況だよ……。

 俺の頭の中に?が浮かんでいる時、ありさのスマホから着信音が鳴る。

 ありさは慌ててスマホを取り出した。

「もしもし……え?……分かりました……」

 ありさは俺にスマホを渡してくる。

「え?誰から?」

『私だよーー!!!!』

 ああ、桃か……。

「…スピーカーにしてないのに何でこんな音でかいんだよ……」

「……とりあえず取ってください」

 ありさからスマホを受け取る。

「……もしもし?」

『ありす!ありさから聞いてると思うけどサクラ大根買ってきてね!』

「お前かよ、ありさに変なこと頼んだの……」

 思わずため息が出る。しかし、桃はそんなことお構いなしに話しかけてきた。

『ついでにお菓子とジュースも買ってきてね!今すぐ!』

「な、なんでだよ。お前が行けばいいだろ?」

『いいからいいから。ダッシュダッシュ!!』

 そう言って一方的に通話を切った。ていうかなんで俺のほうに連絡しなかったんだ……。

「……なんか分らんが、とりあえず買ってくるよ」

「……気を付けてくださいね」

 俺は着替えようと部屋に向かおうとしたとき、リビングの扉が開き、フクが顔を覗かせた。

「……ありす」

「どうした?」

 フクは困った顔をしながら、何かを俺に差し出した。

 それは俺のスマホだった。

「……なんか音が鳴ってたけど、よく分かんなくて……もしかして私何かして壊れちゃったかな?」

 フクが見せてきたスマホの画面を見て、やっと理解する。部屋に置いたままだったスマホに、桃はずっと電話を掛けていたが、俺が出ないのでありさに掛けたのだろう。

 落ち込んでいるフクを見て、変な勘違いをさせてしまったと後悔する。

「ああ、気にするな。別に壊れてないよ」

 そう言いながら、俺はスマホを受け取って、再度外出のための準備を始めた。




「第29回!!ドキッ!!深夜の女子会パーティー!!」

「「い、いえーい……」」

「いや、なにこれ……」

 色々ツッコミたい。

 無駄にテンションの高い桃。状況が分からず混乱しているありさと先輩。何も考えていなさそうなフク。

「……あの、ちょっといいですか桃さん」

 ありさがおずおずと手を上げる。おお!いいぞありさ!言っちまえ!

「会とパーティーは意味が同じになるんじゃ……」

 そこはどうでもいいだろうがよ。

 先輩にこの状況を説明してもらおうと目線を向ける。先輩は俺に目が合うと、すぐさま視線を逸らしてしまった。

「さーさー!みんななんでそんなテンション低いの!女子会だよ!パーティーだよ!」

「いえ、ですから会とパーティーは……」

「そこはもうどうでもいいわ!!」

 誰も触れないので思わずそう叫んでしまう。

「色々突っ込みたいから順番に言うけど!全然深夜じゃないんですけど!部屋のカーテン閉めて蝋燭の火だけって、完全に怪談する時のノリじゃねえか!!」

 俺は部屋の電気を点ける。桃は蝋燭の火がテーブルの上で、ゆらゆらと揺れているのを見ながら時計を指さした。

「でも今は2時でしょ?」

「14時な!?」

 俺がそう言って再度みんなの顔を見渡すと、フクと桃以外の二人は俺から目を逸らす。

「……兄さん、こっち見ないでもらってもいいですか?」

「……今更ですが、なんでありすくんは、サクラ大根を唇に貼っているんですか?」

「それは俺が聞きたいんですけどおおおおおおおお!!??」

「いやあ、一応女子会だからね。ありすにも女の子になってもらおうかなって!」

「赤106と102を口紅みたいな使い方しようとすんのお前だけだからああああ!?」

「……兄さんはなんの話をされているんですか?」

「おそらくですが、ありすくんの言っているのは、サクラ大根に使われている着色料の話をしているんだと思います。まあ、メーカーによって多少違うとは思いますけど」

 ありさに冷静に解説している先輩を見ながら唇のサクラ大根を引き剥がして食べる。

 うん、しょっぱいな。あと唇ヒリヒリする。

「兄さん、食べ物で遊ばないでください」

「俺が悪いの!?」

 半泣きでありさに抗議すると、桃は笑いながら飲み物をみんなに配りだした。

「まあまあ、せっかくの女子会なのでみんなで楽しもうよー」

「……急に呼ばれて驚きましたが、ありすくん達の家に急にお邪魔してよろしかったのですか?……もう始まってしまっているので遅いのですが……」

 桃が飲み物を配っているのを見て、先輩が心配した顔で俺を見る。サクラ大根を外したからか、ちゃんと目を合わせてくれる。

「……私は別にかまいませんが、兄さんは大丈夫ですか?」

 そうありさに聞かれる。

 まあ、初動の扱いがひどかっただけで、こういう集まりはいずれしたいとは思っていた。

「……ありす、やっぱ迷惑だった?」

「え?」

 桃が落ち込んだ顔で俺に話しかけてくる。目線は下に落ちたままだ。

「その、フクちゃんが人間になってから結構バタバタしてたし、久しぶりに楽しいことしながらみんなでフクちゃんと仲良くなれたらなと思って……」

 そこまで聞いて俺はため息をついた。

 なんだ、桃は桃なりに俺たちに気を遣ってくれていたのだ。

「いや、大丈夫だよ。元々フクにはみんなにもっと仲良くなってほしかったし、なにより、俺以外のやつらとも仲良くできてたほうが、これからの生活に馴染みやすいと思ってたし」

 俺がそう言うと、フクは視線を隣にいる桃に向けた。

「……桃は、私と仲良くなってくれるの?」

「……フクちゃん?」

 桃は少し驚いた顔をしている。まあ、フクの胸で遊んでいたぐらいだから、今更のような気もするが。

「うん。もちろんだよ。私、もっとフクちゃんと仲良くなりたいな!!」

「……桃、よろしくね」

「え?うわぷっ!?」

 フクはそう言って、桃を抱きしめた。桃は驚きつつも、とてもうれしそうな顔をしていて、周りで見ている俺達も、そんな姿を見て笑ってしまった。

 桃とフクを一緒に居させても、今後は問題ないだろう。

「……へへ、やっぱ乳でかいっすなぁ……」

 前言撤回。あまり一緒に居させないほうがよさそうだ。

「やめろ桃!エロオヤジか!!」

 フクはなすがままになっている。「うへへへ」とか言いながら胸を触っている桃をありさが引き剥がした。桃は残念そうにしている。

 フクはそのまま先輩にも手を広げてハグを求めている。先輩は恥ずかしそうにそれを受け入れた。

「……フルイ……でいいの?」

「ええ、そうですよ。本名が布留瑠衣なので、みなさんにそう呼ばれています」

「……ん、柔らかい……」

「うひゃあ!?」

 さっき桃がしていたことの真似なのか、フクは先輩の胸に顔を埋めて胸を触っている。

「フクーーーーーー!!??」

 俺が叫ぶと同時に、ありさが慌ててフクを引き剥がす。

 先輩は顔を真っ赤にして涙目になっている。

「……大きい胸を触るのは挨拶か何かなのかと思って……」

 これ桃の行動が悪影響になってるだろ!?

「いや、この前俺やありさにはしなかっただろ!?」

「……ありすは男だし、ありさは胸小さいし」

「なっ!?それは禁句……っ!?」

 ありさはガーンと聞こえそうなほど落ち込んでいる。

 いや、確かに大きくは無い。それは兄として断言する。

「……兄さん、何か失礼なことを考えてませんか?」

「い、いや、別に……」

 俺は目線を逸らして、改めて周りを見渡す。

「……んで、せっかくみんなで集まっているから、なんかするのか?」

「……まずはおしゃべりしようよ!せっかく女の子がたくさん集まっているんだし!」

 そう言った桃は周りを笑顔で見まわす。

「……みんな、何かない?」

「………」

「………」

「………」

 桃以外はみんな無言で何も話さない。

「全員内気かよ!?なんか話せよ!!」

「じゃ、じゃあ!ありすがなんか喋ればいいじゃん!!」

「お、俺だってな!!この状況にまだついてこれてないんだよ!これだったらまだ怪談話するほうがましだろ!!」

 俺がそう言うと、桃はナイスアイディアと言わんばかりに手を叩く。

「まさにそれ!せっかく蝋燭あるし!」

「え?ちょっとマジで……」

 桃は部屋の電気を消す。

 部屋には蝋燭の光だけがゆらゆらと揺らめいている。

「ほんじゃ再開しましょう!」

「……マジで怪談話するのか?」

「うん!」

 いやいや、部屋の飾りつけと雰囲気が全然合ってないし。

 唖然としていると、フクが袖を引っ張ってくる。

「ありす、かいだんってなに?」

「ああ、怪談ってのは、怖い話だよ」

「……怖い話」

「おお!トップバッターはフクちゃん!?」

 フクは青い顔をしながら、ガタガタと震えだす。

「……黒くて……くちばしが尖ってて……目をギラギラさせながら襲ってくる……」

「す、ストップ!!フク、もういいから!!」

 俺は慌ててフクの口を塞ぐ。

「あれ?おしまい?」

「お、おしまいだよ……」

 おそらくフクが話していたのは本当に苦手なあいつの話をしているのだろう。

 できればそんな事思い出さないでほしいし、ここは無理に話させることもない。

「んじゃあ、ありさなんかない?」

「私ですか?そうですね……」

 ありさは目を瞑って暫く考えていると、チラリと俺を見る。

「な、なんだよ……」

「……いえ、ある意味、兄さんの普段の行動のほうが怖いなと思いまして……」

「んな!?」

 どういう意味だよ……。

「だって、動物が好きなのはわかりますが、警戒されている犬や猫にも見境なく触りに行って、引っかかれようが噛みつかれようが、それすら嬉々として受け入れて笑っている兄さんが怖いです……」

「うわぁ……」

 桃が本気で気味が悪いといった顔をする。

「う、うっさいな!ほっとけよ!!お前らみたいに、特定の動物から好かれる体質じゃないんだよ!」

 桃は猫に好かれる。これは数日前にも改めて実感したことだ。まあ、あの時はマタタビの力もあったのだろうが……。

 そしてありさは、俺が羨ましいと思うほど犬に好かれるのだ。

 俺は噛みつかれてばかりなのに……。

「それじゃあ、フルイ先輩は何か怖い話ないんですか?」

「うーん、そうですね……」

 先輩は困ったように手を顎に当てる。

 すると、何かを思い出したようで顔がぱっと明るくなる。

「そういえば、少し前に読んだ本で、怖い話がありました!」

「へえ、先輩もそういう本読むんですね」

 俺がそう言うと、先輩は自信満々で胸を張る。

「では話します。タイトルは、饅頭怖い!」

「あ、先輩。もういいです……」

 俺がそう言うと、先輩はガーンと効果音がしそうなほど落ち込んだ。

「ど、どうしてですか!?まだタイトルしか言ってませんよ!?」

「フルイさん……それは落ちが結構くだらないので……」

 ありさの容赦のない一言で先輩はシュンとしてしまった。

 こういう話は先輩は苦手なのかもしれない……。

「ていうか、ありすは何かあるの!?文句しか言ってないけど!」

「う……」

 桃に言われ何も言えなくなる。確かに、何か怖い話と言われても、これと言って思いつかない。

「……じゃ、じゃあ、番町皿屋敷を……」

「あーもーベタベタの定番じゃん……」

「それは私も知ってますよ……」

「兄さんそれはつまらないです……」

「うぐ……」

 女性陣からのバッシングを浴びる。しょうがないじゃないか、それぐらいしか思いつかなかったんだから……。

「……ばんちょう、さらやしき?」

 フクが首を傾けながら、聞いてくる。

「そうそう、確かね、井戸で亡霊が、いちまーい、にまーい……って、数えていくの。そして、いちまいたりない……うらめしやーって……」

 そう桃が説明したとき、微かではあるが、家の中から小さな物音が聞こえた気がした。

「……ん?」

 俺が部屋の扉を注視しようとしたとき、みんなも全く同じ行動をしていることに気が付く。どうやら、物音がしたと思ったのは、俺だけじゃないようだ。

 みんな無言で、扉を見ていると、やはり何か物音が聞こえる。

「……ありさ、リビングのテレビって、電源消したっけ?」

「……はい、そうだと思いますけど……」

 俺達は扉を開けて廊下を覗き込む。やはり何か音がする。食器が落ちるような音。

「……台所からでしょうか?」

「ま、まさか!?ほんとにお菊の亡霊が!?」

「……ひっ!?」

 桃がそう言うと、先輩は青い顔をして震え始める。

「そんなわけないだろう……」

 そこでふと、家の状況を思い出す。

「そういえば、玄関の鍵って閉めたっけ……」

「……どうだったでしょうか……」

 俺とありさは冷や汗が出始める。

「……もしかして、泥棒でしょうか……」

 そうありさが言ったところで、食器が割れる音が聞こえた。

「これは……ふざけてる場合じゃなくなったかもしれないな……」

「あ、ありす!ちょっと様子見てきてよ!」

「な、なんで俺が……」

「男の子でしょ!!」

 む……、そこで性別を出してくるのはずるくないか?

 まあ、こいつらに行かせて怪我をされるのも嫌だし……、ちょっと様子を見るだけなら……。

「兄さん、危ないと思ったらすぐ戻ってきてくださいよ?その時は警察に電話すればいいだけなんですから……」

「ああ、わかってるよ」

 俺はゆっくりと部屋から出て、一階に向かう。

 何か武器を持ったほうがよかったかもしれないと思いながら、静かに階段を下りていく。

 玄関を見ると、扉が半開きになっている。

「やっぱり誰か入って来たのか?」

 そんな独り言をつぶやきながら、台所の入り口を見ると、そちらも半開きになっている。

「……ていうか、泥棒だとして、真っ先に台所に行くってどういう……」

「……ありす」

「—————っ!?」

 後ろから声を掛けられ、思わず上げそうになった絶叫を必死に抑え込んだ。

 後ろを振り向くと、フクが立っている。

「ふ、フク……いつの間に……」

「ごめんなさい……心配で……」

「そ、そうか……」

 驚きはしたが正直ありがたかった。本当に泥棒だったとしたら、さすがに一人で行くのは怖いし……。

「……ていうか、他のやつらは?」

「あの後、蝋燭の火が消えちゃって、みんなちょっとパニックになってたの……」

「な、なるほど。そこを抜け出してきたと……」

 俺がそう言うとフクは頷く。

「大丈夫だよありす。何かあったら……私が守るからね」

 フクはそういいながら、どこから持ってきたのか、ハエ叩きを両手で持っていた。

 ハエ叩きはミシミシと音を立てている。折れる折れる……。

「ま、まあ、いてくれるだけで嬉しいから……とにかくまずはこの音の犯人を突き止めないと」

 俺とフクは忍び足で台所に向かう。やはり中から何か物音がする。

 こっそりと中を覗き込むと、黒いような茶色いような影が見える。影はそんなに大きくなかった。

「……人じゃない?」

「……ということは、やっぱりおきくが?」

「一回それは忘れてくれよ……」

 そんな会話をしたとき、台所にいる何かの動きが止まる。

 やばい、こっちに気が付いたのか?

「だ、だれだ!?」

 思わずそう声をかける。その瞬間、こちらに向かって猛スピードで走ってくる。

「うわぁ!?」

 反射的にそれを避けると、それは玄関に向かって勢いよく走って行ってしまった。

「今のって……」

「いぬ?」

 フクが俺が思った事をそのまま口にした。

「兄さん!?なんの音ですか?」

 ちょうどそのタイミングでありさ達が二階から降りてくる。

 俺はただ、呆然と玄関の扉を眺めていた。


 ここまで読んでくれてありがとうございました。

 そんなあなたが大好きです。

 

 (注意)以下愚痴


 本当に社会人というのは時間が無いもので、この作品に手を出させる時間すらくれません。

 私は最近高校生に戻れたらもっと有意義に過ごしたいと妄想しています。

 完全に頭おかしいですね、すいません。


 そんなこんなで次の投稿も遅ければ12月後半頃になると思われます。

 何人かこの作品にブックマークを付けてくれている人、本当にごめんなさい。

 そしてありがとうございます。



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