(6)そして(今度こそ)ボス討伐へ
アーツは後で変えてしまう事も有るかも知れん。
ぼーっとしたまま放心して、ふと気が付いた時にはしっかり六時間が過ぎていた。
どうやら文字通り、目を開けたまま眠っていたらしいと苦笑する。
作り上げた指輪までもが夢では無いのは、掌の中の感触で分かっている。目の前に掲げれば虹色に光る幅広の指輪だ。
ぐっとその場に正座して、居住まいを正して指輪を掲げる。
そして【鑑定】。『錬金』だけでは無く、『鍛冶』や『採掘』、それに『分析』の【観察】も併せて、序でに『アレンジ』も意識して纏め上げた【鑑定】だ。
脳裏に示されるのは、俺の思っていた以上の結果だった。
「……まじか? 十個の指輪が一つになっただけやのうて、凡ゆる能力が千パーセント――つまり十倍増しって何やねん。しかも【不壊】で【使用者限定】。そもそも名前がロプスの指輪? ネームド装備やんか」
正直呆れ笑いしか出て来ない。
ネームド装備なんて代物が有るかどうかは今まで想像でしか語られてこなかった。物語やゲームではネームドのユニーク装備が有るものだという事から、もしも最上級の装備が有るとするならそういう特別な感じであってもおかしくないよね? それ位の軽い空想の話だ。
でも、どう見ても今俺が手にしているのは、そのネームドとしか思えない指輪。それを思わせる様に、更に感じられる称号の様な項目には、“神域の品”と示してある様に感じられる。
海外の最前線は七十階層台と聞いている。其処で出る強化のアクセサリで三倍増しから四倍増し。しかも一つの項目に対してだけなのだから、凡ゆる能力を十倍強化する指輪なんて破格にも過ぎるというものだ。
一通り放心してから、その指輪を左手の薬指に嵌めてみた。きゅっと縮んだ指輪が丁度良い大きさになって指に嵌まる。もうこの指輪は自分専用になったのだと、事実として感じられた。
「……えげつないなぁ」
心からそう思う。
十年先行した海外で、恐らくはダンジョンに入り浸っていた者も居ただろうに、アクセサリ一つで逆転出来るというのは、どう考えてもえげつない。
それでも一つ言わせて貰うとするならば、後追い組に勢いが有るのは当然だし、それにアビリティ持ちならダンジョンを知らなくても訓練は出来た。それに俺はほぼ毎日ダンジョンに潜っていて、約二時間と時間は短くても潜っている間はほぼずっと『錬金』に勤しんでいて手を止める事が無かった。
仮令筋力値が上がらなかったとしても、それは攻略を続けた者と同等な経験で、努力の芽が出れば対等な力を得るのも有り得ない事では無い……のだけれど。
俺はシャーレに向き直って、徐に【アポーツ】を使う。
散らばったドロップアイテムを集めて、二つ目、三つ目のロプスの指輪を手に入れる為に。
そして二時間が過ぎる時には全てのドロップアイテムを回収し終えて、最終強化品の指輪がまた一組出来上がっているのだった。
「えぐ過ぎる……」
俺の研鑽が攻略組に劣らない処か、勝っているかもというのはそれはいい。言うなれば誇れる成果だ。しかしその成果が量産出来て、成り立ての探索者に最前線に通じる力を与えてしまうと言うのはどうだろう?
それでも家族の分は必要だとは思うけれど、それ以上に散蒔くのは流石に間違っている様に思えるのだ。
「母さんに雅、それからペルでロプスの指輪は三つ。平屋で使い回すのに最終強化品一組……いや、俺も手持ちで欲しくなるかも知れんから二組。武士さん達にも一組で三組かな。他はもうあかんやろ。五十回強化くらいに留めとかな」
今はロプスの指輪の力も含めて、同じ指輪が数百個有れば最終強化品に持って行ける。でも、初回は恐らく一万個以上の指輪が必要だった。魔力特化の俺で有ってもだ。
恐らく五十回強化の指輪をそれなりの数用意すれば、俺がダンジョンに籠もっている間の成果としては納得出来る物になるだろう。その上で八十回強化の筋力の指輪を一つ用意しておけば、ボスを斃せた理由としても充分だ。
そうと決まれば話は早いと【強化錬金】を続けようと思ったが、生憎ドロップアイテムは全て使い切った所だった。
もう今日は寝る事にしようとして、ふらつく体に昼も夜も食べていない事を思い出す。
「あ、やば……」
食事の【召喚】が生存報告の様になっていたから、これはかなりやきもきさせているのではと、直ぐ様夕食を【召喚】する。昼食はもう処分されてしまったのか、【召喚】出来る物には見付からなかった。
「……雅、怒り狂ってるやん」
【召喚】されたオムライスにケチャップで書かれた“兄さん連絡して!”のメッセージには苦笑する。ケチャップが潰れて、“連絡”と書かれていると分かるまでに随分時間が掛かってしまった。
連絡と言っても今はペットボトルのメモに書くしか、と思ってペットボトルを見た俺は、そこで勿体無くも口の中のオムライスを吹き出してしまった。
ペットボトルに張り付けられた二枚の付箋に、びっしりと書かれた小さな文字。更にもう一枚返信用の付箋も貼り付けてある。
「うわぁ……これに気が付かんかったんか俺は。――へぇ、管理部は妙な事になっててんなぁ。武士さん達に助けて貰たて、また軽率な……。――え~と、“大仕事が終わって気が抜けたら今迄ぼーっとしてたわ、御免。帰りは多分十日後位? 雅、情報ありがとな。でも軽はずみなことはしたあかんで。お休み”と、これでええな。【送還】!」
一眠りして次の日の朝は、妹との遣り取りから始まった。
“大仕事が終わったって書いてんのに、帰りは十日後ってどういう事!? 見て書いたら送り返して、一分後にまた召喚して!!”
今日のペットボトルには、ノートが巻き付けられていた。うわぁと思いながらも返信を書く。妹は早朝から起きて、ペットボトルの前で待機しているのだろうか。
“何でや? まだまだ帰れへんで? まだ作らなあかんもんが色々有るし”
“作らなあかんもんって何よ! ボス倒すんとちゃうかったん!?”
どうやら妹はしっかり待機しているらしい。
でも、ボスの事は忘れていた。――ま、今となっては優先順位は低いけどな!
“ボスなんてどうでもいいねん。ボスの手下が落とす物が美味しくてな、ちょっと今の内に必要な分確保しとこうと思てんねや”
“落とす物って何? 指輪?”
“何や、分かってるんやん。雅にもお土産に持って帰るしな”
他にも色々と遣り取りをして、一頻り言いたい事を書いたからか、妹もそれで大人しくなった。
俺は俺で一日四から五組程度しか作れない最終強化品にもどかしく思いながらも、一日の終わりにはロプスの指輪への挑戦をして、その日の成果を全て溶かしてしまう日々が続いた。
ただ、【強化錬金】してない間はどうしても暇になる。
ボロップ相手に鍛練を積もうと思っても、ロプスの指輪を着けてしまうと飽和状態から数を減らしてしまうので、戦闘訓練をする時にはロプスの指輪を外す事にした。
それでも討伐速度が上がっているのは、筋力や体力と言ったステータスも、魔力で補助する方法を理解したからだろうか。多分これはスキルを使うだけでは分からない。自力での感覚が繋がっているかどうかが関わっている。
鑓として突き、ハンマーの様に叩き、ピッケルの様に穿つ。流石にそろそろ腰の入った一撃を入れられているとは思うのだが、杖術の様に“突かば槍、払えば長刀、打てば太刀”との境地はまだまだ遠い。
バールの道は厳しかりや? ……古文は余り得意では無い。
四日過ぎて、二十組近い最終強化品を溶かして、漸く二つ目のロプスの指輪を手に入れる。ロプスの指輪を身に付けた上でこれなのだから、本当に一つ目は幸運だったのだろう。試しに左手の中指に着けようとしたが、何故か指に入らない。使用者限定品は同じ指輪を指に入れる事すら拒むらしい。
ロプスの指輪の強化割合はやはり十倍増し。五倍増しの最終強化品でもやばいのにと思いつつ、余っていた最終強化の黄属性の指輪を手に取って、ちょっとした違和感を感じてしまった。
気になるままに【鑑定】すると、五倍増しだった筈の最終強化品の強化割合が十倍増しになっている。何だこれ?
何と無く最終強化されていない指輪も【鑑定】してみれば、どれも効果が倍になっていた。
「そう言えば……ステータスは確認しとらんかったわ……」
という事で、ドン!
身体レベルは十六に上がった。それは単純に嬉しくはあるが、十階層まで潜ってもレベルが中々上がらないという事でも有る。少し悩ましい。
更に、ドン!
筋力、反応速度、感覚、体力、はしっかり自力での補助分が分かる感じに増えている。反応速度と感覚が素の能力と同じ位有って、筋力と体力が三分の二程度。正直かなり増えていた。上乗せ分も自力で増えた分が考慮されているのか、筋力で軽く二十倍を超えて三十倍近くなっている。ボロップサンドバッグが柔らか過ぎると感じる訳だ。
でも、戦闘系に絞って鍛えた人達ならば、レベル十四辺りで到達出来る倍率でも有る。調子に乗る事は出来無いが、他の人ではベースが素の筋力値だけなのに対して、自力での筋力補助値がベースに乗っているのだから、これからどんどん有利になっていく筈である。
魔力、赤属性、青属性、黄属性、白属性、黒属性には肉体的なベースが存在しないから、素の能力と上乗せ分だけになる。その素の能力分だけでもかなり高い。比較対象が無いから分からないが、『分析』を使えば指標は作れそうな感じもする。せめて何らかの魔法が使えれば、筋力で出来る事との比較も出来るのに。
――と、思った所で、更にドドン!
アビリティに見えた物がこれ。
・『召喚』スキルレベル十九
初期アーツ :【アポーツ】
レベル十アーツ :【召喚】
・『アレンジ』スキルレベル三十一
初期アーツ :【形状変化】
レベル十アーツ :【威力調整】
レベル二十アーツ:【制限緩和】
レベル三十アーツ:【分離混合】
・『赤魔術の才能』:スキル『赤魔術』を得る
・『青魔術の才能』:スキル『青魔術』を得る
・『黄魔術の才能』:スキル『黄魔術』を得る
・『白魔術の才能』:スキル『白魔術』を得る
・『黒魔術の才能』:スキル『黒魔術』を得る
・『無魔術の才能』:スキル『無魔術』を得る
一つは『召喚』がもう直ぐスキルレベル二十になって、新しいアーツを覚えそうだという事。
もう一つは『アレンジ』のレベルの上昇が異様に早くて、自力で出来る事はそれだけスキルレベルの上昇が早いのではと窺える事。これは、逆に言えば俺が『召喚』の力を理解出来ていないから、『召喚』のスキルレベルが上がらないのだと言われれば、すっきりと納得出来る理屈でもあった。
最後に、各種魔術の才能を得て、どうやらスキルの魔術を覚えたらしい事。感覚的にはどう考えても、素の属性値が関わっている。もしかしたら素の魔力値も条件に入っているかも知れない。無魔術は、在り来たりでは有るけれど、恐らく他の五属性を得た事で条件を満たしたとでも言うのだろう。
そして、ドドドン!
スキルは偉い事になっていた。
・『投擲』スキルレベル八十三
初期アーツ :【照準】【投擲】
レベル十アーツ :【曲射】
レベル二十アーツ:【投擲力強化】
レベル三十アーツ:【消える魔弾】
レベル四十アーツ:【貫通力強化】
レベル五十アーツ:【分身魔弾】
レベル六十アーツ:【ラグ射ち】
レベル七十アーツ:【矢玉回収】
レベル八十アーツ:【返し射ち】
・『錬金』スキルレベル九十三
初期アーツ :【鑑定】【ポーション作成】
レベル十アーツ :【魔石加工】【鉱石加工】
レベル二十アーツ:【生体素材加工】
レベル三十アーツ:【強化錬金】
レベル四十アーツ:【成分調整】
レベル五十アーツ:【精密加工】
レベル六十アーツ:【反応促進】
レベル七十アーツ:【修復】
レベル八十アーツ:【生体錬金】
レベル九十アーツ:【魔法刻印】
・『調理』スキルレベル十八
初期アーツ :【鑑定】【調理】
レベル十アーツ :【道具習熟】
・『鍛冶』スキルレベル十五
初期アーツ :【鑑定】【鍛冶】
レベル十アーツ :【道具習熟】
・『採取』スキルレベル二十四
初期アーツ :【鑑定】【採取】
レベル十アーツ :【採取物感知】
レベル二十アーツ:【採取品質向上】
・『採掘』スキルレベル十八
初期アーツ :【鑑定】【採掘】
レベル十アーツ :【採掘物感知】
・『分析』スキルレベル三十六
初期アーツ :【観察】
レベル十アーツ :【記録】
レベル二十アーツ:【分類】
レベル三十アーツ:【並列思考】
・『赤魔術』スキルレベル十一
初期アーツ :【赤属性基礎】【赤光】
レベル十アーツ :【熱線】
・『青魔術』スキルレベル九
初期アーツ :【青属性基礎】【青光】
・『黄魔術』スキルレベル十三
初期アーツ :【黄属性基礎】【黄光】
レベル十アーツ :【電撃】
・『白魔術』スキルレベル十六
初期アーツ :【白属性基礎】【白光】
レベル十アーツ :【一次元】
・『黒魔術』スキルレベル十六
初期アーツ :【黒属性基礎】【黒光】
レベル十アーツ :【楔】
・『無魔術』スキルレベル二
初期アーツ :【無属性基礎】【虚光】
突っ込み処満載だが、スキルレベルが百で打ち止めなら、『投擲』と『錬金』はこの夏休みの間にもカンストだ。スキルレベルがカンストしたなんて聞いた事が無い。
『錬金』の【生体錬金】や【魔法刻印】は、どうにも怪し過ぎて実験するのにも気合いが必要そうだ。
其処に『アレンジ』も混ぜ込めば――きっと『分析』がこの上無く役立ってくるに違い無い。
しかし、肝心の魔術はどうも予想していた物とは違った感じである。
噂に聞く攻撃魔法のスキルオーブは、『ファイヤーボール』なら【ファイヤーボール】のアーツが、『サンダー』なら【サンダー】のアーツが使える様になるという、決まったアーツを放つ為の物だった。だが、これはどうも使い方だけ教示して、どう使うかは使用者次第に思えてしまう。
「つまり、自力で感覚を繋げへんと、魔術を操るも何も無いから、放てば仕舞いの技だけ渡してたって事なんかねぇ?」
もしそうならば、これから『ファイヤーボール』を俺が拾う事が有ったとしても、妹に渡すか売り払うかだ。そして出来る事なら妹には『魔術』を覚えて欲しいと思うから、やっぱり売る事になりそうだ。
そうそう、魔術のスキルレベルが一度も使っていないのに上がっているのは、きっと【強化錬金】の際に自力で属性魔力を操っていた影響だろう。【アポーツ】を使っているのも、もしかしたら関係しているかも知れない。
そして最後にドドドドドン!!
称号なんて物が増えていたけれど、その効果がやばかった。
・匠 :各生産の分野にて最終強化品を作り上げた人
スキル付与数+1
・天匠 :各生産の分野にて最初に最終強化品を作り上げた人
スキル付与数+1
・神匠 :全ての生産分野の中で、最初に最終強化品を作り上げた人
スキル付与数+1
・匠神 :全ての生産分野の中で、最初に神域の品を作り上げた人
製作物の能力二倍
スキル付与数+2
アビリティでもスキルでも無い場所に、称号能力というのが追加されていて、そこに有ったのが【スキル付与】。どうやら製作者の持っているスキルを製作品に付与出来るらしい。
でもって、どうやら俺が世界の中で最初に最終強化品を作り上げて、更に最初に神域の品を作ってしまったらしい。
その結果、俺がスキル付与出来る数は五。スキル付与をすると実際にどうなるのかが分からないが、きっと世間は大騒ぎになるだろう。
ロプスの指輪や、それ以降に作った指輪の能力が更に倍になっている理由も分かってしまった。呆れて笑いしか出て来ない。
・魔術の素質:最初に各属性毎の素の属性値を魔術の才能を得るまで鍛えた人
ストック数+1 魔術成長補正
・魔術探求者:各属性毎の素の属性値を魔術の才能を得るまで鍛えた人
ストック数+1
・非凡なる魔術師:最初に全ての素の属性値を魔術の才能を得るまで鍛えた人
ストック数+10 【瞑想】
・大魔術士 :全ての素の属性値を魔術の才能を得るまで鍛えた人
ストック数+5
そして、魔術に関してもどうやら世界初らしい。称号能力に【ストック】と【瞑想】が有る。【ストック】は発動状態まで持って行った魔術を、いつでも発動出来る状態で保管しておく事が出来るらしい。俺のストック数は二十五。どうやら無属性の分は含まない様だ。
しかし俺にとっては【瞑想】の方が破格だ。魔力回復ゼリーの効果が瞑想する事で得られるのなら、効率は随分と上がるだろう。
確かに数十万個の指輪を【強化錬金】したとなれば、これだけの特典を得るだけの鍛錬にはなったかも知れない。しかし少し上がり過ぎだ。高々五階層で得られる成果では無い。
「……いや、ここはボス部屋やったか。ほんでもって、今も五秒に一度はボスの手下が死んでっとる。……良く有る設定やと、魔素を吸収してレベルアップとか有るし、それを考えると無いとも言えへんねんなぁ……」
でも、駄目だ。何より自分でもこれはチートだと感じているのだから、他人がそう思わない訳が無い。
隠すしか無いが製作物の能力二倍はどうすればと悩んでいたら、『アレンジ』の【制限緩和】でパッシブな能力のオンオフが出来た。入手した時にはこれじゃ無いとは思ったが、結局魔術は手に入れたし、全く以て『アレンジ』様々というものである。
でもまぁ、身内には自重は不要と、オフにしたパッシブをオンに戻して、再びロプスの指輪を作り始める。
残り二つのロプスの指輪が出来上がったのがその八日後。日付で言うなら八月二十一日。夏休みは残り十日となっていた。
其の次の一日を使って買い取り用にパッシブを切って、五十回強化の指輪を四十組作り、カムフラージュ用に八十回強化の筋力の指輪も一つ作る。
更に一日を使ってパッシブをオンにした身内用の最終強化品を作った時に、少しだけ欲が出た。
自重しない身内用なら、スキル付与を試してみたいと。
初めの案はこんな感じ。
筋力の指輪には『投擲』と『鍛冶』。
反応速度の指輪には『採取』。
感覚の指輪には『分析』と『調理』。
魔力の指輪には『無魔術』と『錬金』。
体力の指輪には『採掘』。
赤属性の指輪には『赤魔術』。
青属性の指輪には『青魔術』。
黄属性の指輪には『黄魔術』。
白属性の指輪には『白魔術』。
黒属性の指輪には『黒魔術』。
一組使って試してみたら、魔術の付与は何回やっても失敗した。そして、失敗する度に付与出来る枠が減っていった。魔術以外でも失敗する事が有ったから、つまりスキル付与数とは挑戦回数の事らしい。
それが分かったならと、最終的にはこうなった。
筋力の指輪には『投擲』と『鍛冶』。
反応速度の指輪には『分析』と『採取』。
感覚の指輪には『分析』と『調理』。
魔力の指輪には『錬金』と『調理』。
体力の指輪には『鍛冶』と『採掘』。
赤属性の指輪には『分析』。
青属性の指輪には『分析』。
黄属性の指輪には『分析』。
白属性の指輪には『分析』。
黒属性の指輪には『分析』。
まさかの『分析』推しのこれが三組。失敗して枠が三つ潰れていたりもしているけれど、今後の事も考えて、枠は全部使い切らないようにと考えた。
因みに、ロプスの指輪には付与出来なくて、五十回強化の指輪には二回しか付与出来そうに無かった。五回付与出来るのは、最終強化品だけという事なのだろう。
更にブランクの最終強化品の指輪を二組作って、この日も終わり。
これ以上ロプスの指輪を作るのには問題があるし、最終強化品をこれ以上増やすのも遣り過ぎだ。五十回強化の指輪ならば需要が有りそうではあるが、四十組も有れば充分で、ちょっと買い取りに出した反応を様子見したい気持ちが有る。
つまり、本気でやる事が無くなってしまったのだ。
「いや、自分でも分かってんねん。こういう切りを付けんのが苦手やっちゅうのは」
誰にとも無く言い訳をする。小説の最終巻だけ読まずに置いていたり、オープンワールドのゲームでストーリーを進めず周回するのは、何時もの事だ。結局クリアしないままに売ってしまったゲームのラストは、どんな展開だったのだろう。
「いや、今は関係無いし。踏ん切りが付かんなぁ~。せめて何かおもろいこと有らへんのかいな」
往生際悪く、俺はステータスを眺めている内に、有る事に気が付いた。
『召喚』のレベルが上がって、新しい【アーツ】が使える様になっている。
『投擲』や『錬金』もカンストしているが、それは後だ。
思わず口元に、にやりと悪い笑みが浮かんでくる。
そうと決まれば片付けだ。時刻はまだ七時を少し過ぎた所。上手く行けば今日中に帰る事も出来るだろう。
トイレとの間仕切りに使っていた段ボールは、ちょっと匂いが染み付いてそうで捨てて行きたい。というか、捨てよう、そうしよう。
寝袋代わりの毛布はそのまま【送還】しても問題無い。ペットボトルでメッセージを遣り取りした時に気が付いていたが、こちらで着いた汚れは【送還】したら剥がれ落ちる。だから、替えの服も【送還】して再【召喚】すれば綺麗になる。
スコップやらも【送還】して、ぷちぷちは捨てて行ってもいいだろう。脱いだ服を水で濡らして体を拭いて、石鹸を【召喚】して余った水で頭を洗う。身軽にするのに短パン姿だったが、それも着替えて来た時の姿に戻し、【召喚】していた着替えも全部纏めて【送還】する。
“夏休み終わるやろー! 早よ帰って来ーい!!”
そんな付箋が貼られたペットボトルも、“りょ”とだけ書いて【送還】した。
リュックを【召喚】して内ポケットに身内用の指輪を収め、小袋に五十回強化の指輪を納め、別の袋に半端な指輪と魔石の余りを放り込む。シャーレを適当にリュックに入れて、
空の小箱や【召喚】していた銅塊等を【送還】する。
残る品はリュックと何時もの腰袋、バールの手鑓、布バケツには四階層で回収した諸々の素材の瓶。
他にはごみを除いて何も無い。
「さて、始めるかね」
含み笑いが漏れるのは仕方が無いというものだ。
「【ドッペル召喚】!!」
「――きゃあ!?」
新たに覚えたアーツを使うと、目の前に寝間着の妹が転げ出た。
俺に好意的な生物の分身を呼び出すアーツらしいが、今呼び出せるのは妹だけだった。
しかし、それがいい! ――のだけれど、何でこんな時間で寝間着なのか。
それよりペルはどうした? ……一月不在にしていた所為で、もしかして忘れ去られているのだろうか?
まぁ、いいか――
「よくぞ我が召喚に応えてくれた! 妹よ! 今こそその力を――」
「お兄ちゃん?」
台詞を途中で遮られた。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」
立ち上がった妹にしがみつかれた。
「お兄ちゃん!! お兄ちゃん!! お兄ちゃーん!!!!」
しがみついたままぎゅうぎゅうとされた。
「おい、こら! 何やねんな。ちょっと!? 羞じらいっちゅうもんをやなぁ!? ってこら噛み付くな!! ちょ、時間制限も有んねんで!?」
感覚的には三十分位。ロプスの指輪が有る事を考えると、元は多分三分位。お前は何処の寄生宇宙人なのか!?
上半身だけでも無理矢理引き剥がせば、そこには顔を紅潮させて涙目で荒い息を吐く妹の姿。
「ああ、もう……。はいはい、お兄ちゃんが悪うござんした。もう、ちょっと落ち着いてくれませんかね」
引き剥がした上半身を再び抱き寄せて、ぽんぽんと背中を撫でる。妹は顔を埋めて「うぅ~」と唸っている。
「落ち着いたら自分で下りてや。も~、雅に助けて貰お思てたのに~」
「う、うちがお兄ちゃんを助けるの?」
顔を上げた妹と至近距離で見詰め合う。
「そうやでぇ? ちょっと後ろ向いてみ?」
「後ろ? ――ぎゃーーー!!!」
「色気の無い引っ付き虫やなぁ……。まぁあんな感じでボスの呼び出した手下が一杯んなってるから、雅の『罅』で一掃出来へんかって思ったんや」
「……分かった。頑張る!」
漸く俺から下りた妹。何か五分ぐらいロスした様な気がする。
「安全地帯に居れば入ってこーへんから、まずは一匹仕留めてみよか」
「う、うん。――たぁー!!」
妹が正拳突きをすると、その拳が空間に入れた『罅』が空中を伝播してボロップを貫いた。
呆気なくドロップアイテムと化すボロップ。
「う~ん、威力が今一やな。――雅、ちょっと左手出してくれん?」
「え、何?」
「ほい!」
「ちょっ!? 何で薬指に指輪嵌めんの!?!?」
「いや、指輪ゆうたら薬指ちゃうん?」
「し、知らん! お兄ちゃんのあほー!!」
そしてボロップに「うりゃー」と拳を突き出すと、扇形に数十匹のボロップが巻き込まれて消滅した。
威力も範囲も十倍増し? 何とも笑える光景だ。
「薙ぎ払え!!」
「うりゃー!!」
「妹の力はそんな物では無いだろう!!」
「たりゃー!!」
「屁の七日間を齎したその力を見せてみるがいい!!」
「デリカシー!?」
真っ赤な顔の妹様が拳を振る度に、ボロップで埋め尽くされたボスの間に空隙が出来る。
かぶかぶかぶと囓り取る様に、ボロップの領域へと侵攻していったが、新たに召喚されたボロップを含めて、三分の一を残す辺りで時間切れになった。
「あ、ああ! お兄ちゃん!! お兄ちゃん!!」
「いや、めっちゃ助かったからな? こんなけ減らせば後はどうとでも出来るし、大人しく家で待っといて」
【送還】するのと殆ど同じ感覚で妹が姿を消し、ロプスの指輪がころんと落ちた。
どうも召喚されたドッペルが魔法的な物を使うと、召喚者に負担が来たから、ちょっと時間切れは有り難い。
「あ、しまった。使用者限定は――ちゃんと雅になってるわ。ちょっと焦ったな。んじゃ、やるか!」
ロプスの指輪はポケットに入れて、バール鑓を構えてボロップへと向かう。
ロプスの指輪で凡ゆる能力が十倍増し。更に『鍛冶』と『調理』の【道具習熟】。『投擲』で何と無く分かる身の熟しも馬鹿に出来無い。【貫通力強化】だって付いている。『分析』の【並列思考】まで含めれば、オーバーキルもいい所。
「いざ、参る!」
ちょっと格好を付けてみた。
飛び込んで鑓として貫き、貫いた鑓は抜かずに手元に【召喚】して、次のボロップをL字の釘抜きピッケルで【採掘】する。【鍛冶】をする様に釘打ち部分で打ち、時には包丁の様に鑓先の大型ナイフで切り裂いた。
時には蹴り、時には殴り、投げたバールが風穴を明ける。
スカッと爽快! でも手に入れた力を考えれ当然の事。寧ろ格好悪いかも知れない。
二十分が過ぎて、ボスロップ一体を残して殲滅し終えた俺は、そんな妙な感慨を抱きながらも、ボスロップの周りを一周してきっちりと最後まで止めを刺した。
突いて、穿って、打って、切って、蹴って、殴って、最後にバール鑓を投げて終わり。中々バラエティに富んだ止めだと思うがどうだろう?
ボスロップの死体が、ボロップと同じ様にどろりと溶けてドロップアイテムに変化した。
「ミッション、コンプリートぉおおお!!!」
万歳して叫んでから、腕を下ろして「はぁ」と深く溜息を吐く。
本当にこれで終了ならば楽なのだが、ドロップアイテムの回収と強化が待っている。
「何や、雅、お兄ちゃん言わん様になった思たら、めっちゃ言うとるやん。俺もみゃーちゃん呼んだらあかんのかいな」
試合後の観客席の掃除までがファンの義務です。何だかそんな気持ちで安全地帯へと戻ってから、もう一度シャーレを取り出して、半端に強化していた指輪を元に、五十回強化の指輪を作り上げていく。追加で三組作り上げて、それは俺が誰かに貸す為の無難な方の指輪という事にして、小袋に入れてリュックの内ポケットへ。半端な指輪と魔石は纏めて再び小袋へと仕舞い込んだ。一際大きな魔石はボスロップの物である。
リュックを背負って布バケツを手に、再び忘れ物が無いか確認しながら、扇形をしたボスの間の要の部分へと歩いていく。
「これも、聞いていた話と全然ちゃうんやけどなぁ……」
目の前でパリパリと電撃が走る音を立てているのは、真っ黒な箱に青白く光る金具の宝箱。杖なんて持っている割に魔石しか落とさないボスロップが落とす、ボス宝箱という奴だ。
でも、五階層で出現するボス宝箱は、精々木棺程度の大きさの、木の宝箱と聞いていた。こんな軽自動車の様な大きさの、謎の箱とは聞いていない。
パリパリと電撃が走る様子から、開けようとするだけでも只では済まないと思うのだが、最悪な事にボス宝箱を開けないと、転送陣も現れないらしい。
「討伐時間はマイナスに働きそうやから、ボロップの討伐数なんやろうなぁ……」
十秒に二匹のボロップが二十日以上。凡そ四十万体のボロップを斃したと考えると、この結果も否定し辛い物が有る。
宝箱に向かって倒れる様に、L字側を下にしたバール鑓を倒してみる。
宝箱に大型ナイフで接触したバール鑓に、電撃が走っている様子は無い。
そのバールを、軽くつんつんと突いてみる。
静電気の様な痺れも走らない。
バールに指を暫く触れさせてみる。
それでも何も起こらない。
そこで漸く俺は再びそのバール鑓を拾い上げた。
「電撃とはちゃうんか。開けるのも大変そうやけど、でも俺の持ってるのはバールやしな」
何が起こるか分からないなら、万全を尽くす他は無い。
俺は何時もの溶接工装備を【召喚】し、しっかりと身に付けた。
念の為にリュックと布バケツは離れた場所に置いておく。
一度後ろに倒れ込みながらケブラー手袋越しに宝箱を触って、大丈夫だと確認してから再び宝箱に手を触れる。
宝箱の口にバールを突き入れ、ぐいっと抉じ開けたらそこに指を掛け、うりゃっとばかりに撥ね上げた。
一足跳びにその場を離れて、じっと宝箱の様子を見る。
一瞬垣間見えた宝箱の中身は空っぽだった。
「あー、案の定変な事になって来たでぇ? バリバリ言ってるし、宝箱の上空が歪んでるし……。――ソロで討伐したら斃した武器のええ物とそのスキルが手に入るってのはがせやったんかね?」
空中の歪みは丸で見えない魔法陣で制御されているかの如く、揺らめきを変え、形を変え、収縮を繰り返す。
次第にその中心部が、目映い光を放ち始めた。
「あかん、あかん。裏ボスやと思って用意しとかな」
リュックが心配だが、最悪ロプスの指輪は【不壊】だから大丈夫。そう割り切ってバール鑓を構えるその前で、到頭歪みの中心から飛び出して来たのは――
「フバハーー!!」
くるっと宙で一回転して宝箱の縁に降り立ったのは、小型の猫程の生き物? 肩に乗せようと思えば乗せられそうだ。オコジョか鼬系の顔付きをして、耳は猫耳、胴は短く、尻尾はふさふさ。毛並みは銀色に、所々宝石の様な色合いの毛が混じる。そして額に脳味噌無いんかと思う様な青い宝玉が埋め込まれていた。
しかしその表情は小憎たらしいとしか言い様が無い。人によっては一目見ただけで苛っとするのでは無いだろうか。絶妙に見下しているか馬鹿にしている様な、そんな表情でげはげは笑っているのを想像してみればいい。
と、言いつつも、俺からすれば憎めなかったりもする。まず一つ、小動物に粋られても可愛いだけというのと、もう一つ、その小さな手に持っているのがバール鑓というその事実。
俺とは違って平バールで穂先一体型のバール鑓だが、つまりはこいつは裏ボスでは無く俺の味方だ。何より『召喚』がこれは俺の物だと伝えている。
そう思って落ち着いて見れば、何と無く【鑑定】が通じそうだったので、掛けてみた。
・※名称未設定
装備種別:槍
付与技能:『武芸百般』『誘発』『罠』『錬金』『休息』
付与能力:『昇華』『全属性魔術強化』『健康』
特殊 :【成長:レベル一】【不滅】【再生】【使用者限定:坂鳥風牙】【変幻自在】
「おいこら待てや」
思わず声が零れ出た。
念の為、もう一度宝箱の中を確認する。
宝箱の中には、最早小石一つ見当たらなかった。それでも何か残っていたとしたならば、その時はきっと『召喚』が反応していただろうから、もう何も残っていないのは確実だった。
「何処が槍やねん」
……いや、そんな自慢気に掲げて見せんでもいいから……。
聞いていた話では、ソロで討伐した場合、その時使った種類の武器とスキルが手に入るとの事だった。
(こいつ、バグったんとちゃうか?)
バール鑓は、武器種としては何だろうか。道具とも槍ともハンマーとも付かない使い方を俺はしていたのでは無いだろうか。
『武芸百般』とのスキルは聞いた事が有る。確か、十種以上の武器系のスキルを手に入れたなら、スキルが統合されて『武芸百般』になるらしいと。
ならこの槍? が『武芸百般』を持っていてもおかしくないかも知れないが、それならどうしてスキルオーブでは無く、槍? にスキルが付くなんて事になるのだろう。
そもそものボス討伐での俺の行動を思い返してみる。
ボスの間に来て直ぐに安全地帯へ直行した。
緊張で頭を真っ白にした。
ボロップを投擲で釣ってバール鑓で滅多刺しにした。
生活環境を調えた。
兎に角【強化錬金】した。
ボロップが暴れる傍で、毎食食べてうんこして時には体も拭いてゆっくり休んだ。
最終強化品が消えて発狂した。
ボロップを完全無視して、叫んで喚いてのたうちまくった。
ボロップ相手に鉱石を投げ付けての八つ当たりを繰り返した。
自力での魔力制御から、『アレンジ』や各種『魔術の才能』を得た。
最終強化品の合成でロプスの指輪を得た。
妹を【ドッペル召喚】してボロップ共を殲滅した。
残ったボロップとボスロップを凡ゆる手段で蹂躙した。
少し考えて、もう一つ付け加える。
ボロップを最も斃したのは自滅で、その時俺は錬金しているか寝ているかだった。
…………並べてみると、感情を『誘発』して、しっかり『休息』して『健康』生活を心懸けて、『錬金』に勤しんで、挑発と発狂も『誘発』かな? で、自力からアビリティへ『昇華』して、妹召喚獣で蹂躙して、様々な武器種の技法を披露して、一番敵を斃したのは自滅だから『罠』? ――そして魔術と鉱石と召喚獣と神域の品が、このカーバンクルっぽい生き物になっていると考えれば、こう、うん、無理矢理理解は……
「……いや、無理矢理過ぎるから」
「ケッ!」
「ケッじゃないで、も~」
宝箱の縁で胸を反らすカーバンクル擬きを抱き上げると、厳つい宝箱が床に沈み込む様にして姿を消して、代わりに転送陣が現れた。
「それじゃ、カーバンクルって事で、名前は“かーくん”な」
「クヒヒヒヒ……」
「ちょっとあざといなぁ。キャラ付けが不自然過ぎるわ。家の子になるんやったら、家族の前でくらいは自然にした方がええで」
「ゲハッ!」
「まぁ、母さんの洗礼を受けた分かるやろけどな」
リュックを拾いに向かいながら、かーくんに語り掛ける。
理解しているかどうかは兎も角、話し掛けるのはペットを迎え入れる時の基本だろう。
それに、かーくんが生まれたばかりの謎の生き物だとしたら、しっかり家族として接していれば、焼き付けされた仮の性格では無くて、これから育っていく自然な性質の方が、その内表に出てくるに違い無い。
まぁ、SFやファンタジーでは良く有る事だ。
リュックを置いた場所まで戻ると、リュックから買い取り用の小袋を二つ取り出して、代わりに布バケツから素材の瓶をリュックの中へ移し替える。横に寝かした瓶の上に【召喚】したタオルを敷いてかーくんの寝床を作り、そこにそっとかーくんを下ろした。
「ちょっと狭いけど、ここで大人しくしててな。かーくんが見付かったら多分偉い騒ぎになるやろうから」
「ヒヒヒッ」
反応がどうにも作り物臭い。ずっとこれだとしんどいなぁと思いつつ、何時もとは違ってリュックが前に来る様に抱え上げる。
買い取り用の小袋を布バケツに入れて肩に担ぐ。
忘れ物が無い事を確認したら、これで本当にミッションオールコンプリートだ。
「それにしても、最後の最後で偉い疲れたわ……」
そうぼやきつつ、俺はボスの間から出る転送陣へと向かうのだった。
本当はもっと妹が最強的なんを出したかったけれど、そうはならんかった。
初めのコンセプトはあれよ。妹は最強、兄は落ち零れ、その兄が最強(妹)を召喚して無双する! 的なのの筈やったのに。主人公自身がチートになるのは俺の作品の運命なんか?