エルのちょっとした説明会、そしてスヤスヤ眠るメル
はい、皆さん、コンバンハ、タケゾウです。少しずつですが
物語は進んでゆきます、なんて気張らずに
読んでいただければ嬉しく思います、ではどうぞ
byエル
「いや、しかし、これは、・・・・・」
「まさか、このような、これは面白いですな」
「商人たちは、・・・・・・・」
「メルセラ嬢は、ここまで、」
はい、おはようございます公爵令嬢エルノオーラです。
ただいま会議中です、メルさんのやった成果が、とても素晴らしいので
各貴族の方々が絶賛していますが、メルさん自体は、のんびりと隅っこで
私と一緒にお茶など嗜んでいます。
ふわぁっとあくびしてます。
あ、頭がユラユラしてねむって
しまいました。
周りに居る侍女達が暖かい目で見ています。
一人がブランケットを持ってきてメルさんに、掛けています
金の髪が日の光を反射して天使の輪を作ってます
他の侍女も寄ってきて髪を弄ったりして構っていますね。
眠るとカワイイお姫様。
起きるとカッコイイ王子様です。
ですが、何やらかすか解らない
怖さもある。
そんな事を見越して国王様や王妃様は私をメルさんの傍につけたのでしょう。
メルさんは夢中になると寝食を忘れるタイプなので!
まぁ色々ありましたが、どうやら私は、メルさんと一緒にプレストライト領に
行けることになったようです。
まだ直接言われたわけではありませんが。“引っ越しの準備をしておけ”
そう父様に言われています。
非常に楽しみです、何を隠そうメルさんの故郷には、純和食があるのですから。
あぁいけません!場所の説明しないと、私自身も、はい、おさらいです
では、地図を開きましょう、大きな地図です。
はるか南の方に大きな大陸があります、大きな大陸から北に向かうと
私たちの住んでいる、巨大な島国、シャイア王国があります。
この大きな大陸から、シャイア王国まで船でほぼ三ヶ月かかります。
シャイア王国が独立を保てている理由でもあります。
私たちの住む不思議な島シャイア、それは大体、円形になっています。
シャイア王国の面積は、え~と、ほぼアメリカの半分ぐらいです。
北側にある大きな湖、メルさんの住むプレストライト領プレストライト湖。
シャイア島を上から見れば、お日様がにこっと笑ったような形です。
このプレストライト湖は、このシャイア王国の、実に六分の一の面積があります。
もし徒歩で王都から歩けば二週間はかかるのでは無いでしょうか。
ですが特筆すべきは、そこではありません。
そこで住んでいる水棲生物の獰猛さです。
湖から離れて三十メートルくらいでも、飛び出してきて人に襲いかかります。
それは貝類でも同じです。
捕らえるには酸欠にするのが一番なのですが
一筋縄ではいきません。
魔法や物理攻撃にも耐性があり、かなりの速度で移動するので
捕らえるのも難しいです。
落とし穴などが効果的なようですが、そこに行くまで追いつかれて
食い疲れて命を落とす、なども多いようです。
プレストライト領に行ったときに見たのですが、三十センチほどの甘海貝が
ピョンピョン、ジャンプしながら人に襲いかかっている姿を見た時は
自分の目を疑いました。
もっともすぐに方向転換して私に襲いかかってきたのですが、メルさんの
シャダウ・ザ・レイルのおかげで難を逃れました。
口が開いた瞬間に、ツキを叩き込んだのです。
あの時のメルさんは、本当に王子様みたいでした。
ゴホンゴホン、閑話休題です
そんなわけで、他の魚類も、何がしかの生体武装機関、を携えています。
頭部や鰭など、硬くなっていたり、刃のようになっていたりします。
それが集団になって襲いかかってくるのです。
しかもそれが、とても美味しいのですから始末に悪いのです。
それを求めて何人もの人間が魚たちに殺されているのです。
これがプレストライト湖が、死を呼ぶ湖と言われる所以です
また不思議な事に湖から離れた所は普通の魚なんですよね?
だからでしょうか。
呪われた湖なんて言われる事も有ります。
では、ここでプレストライト湖
の並居る獰猛な魚貝類を紹介します。
貫き鮫
角が生えた鮫で木造の船舶等やすやすと貫く角を持つ
肉質は臭みが少なく、食べやすい、豚肉のような感じである
歯車海老
背中に鋭い刃がいくつもあり回転しながら敵となった者に襲いかかる
プリっとした食感が病み付きになってしまう
甘海貝、
船に取り付き木材を腐らせてしまう、ジューシーな肉質が酒を進ませる
出汁をとると、抜群な旨味をだす、スープやソースに入れると最高。
湖から出ると動くものにジャンプして襲いかかってくる。
船平女
鋭い牙でジャンプして人に襲いかかってくる、ムニエルにすると最高
刀鮪
頭に刃を生やした二m~五m前後の魚 、当然頭の刃を自由自在に振り回して
襲いかかってくる、淡水でも生きている不思議な魚、体全てまるごと使用ができる。
王室御用達なグルメを喜ばす魚
狂い蛸
船の上に登って現れて音もなく人をさらって湖の中に消えてゆく
最悪の蛸、揚げ物、煮物に大活躍。
首締さより
透き通った長い体を持つ魚、名前の通り首を絞めてくる
サラダに合わせると、抜群に美味しくなる。
処刑がに
十本のハサミで攻撃してくる蟹、普段は海底に潜んでいる
波の動きで感知して船に取り付き大穴を開けて侵入してくる
料理法は様々、いろいろ楽しめる。
飛牙魚
文字通り飛んでくる魚、大きく羽を広げて魔法弾のように
飛んでくる、鋭い牙で食らいつく、動物の血を吸う吸血魚とも呼ばれる
身は淡白で白焼きがオススメ、鰭は勿論、武器の材料になる
弾道クジラ
体長は五m~十m位、事実は解ってはいない、動いてるものに
突進してくる習性がある、この習性を利用して、湖上に木材などをうかべ
糸で操り、弾道クジラを突進させて、上空を飛翔させて湖の外に出させる
漁法がある(メルセラの発案)その身は、牛肉のようなジューシーな味わいがある。
正しく体全てが使える水棲生物である、例を挙げると髭は糸のように使えるし
背骨などは分解するとマトックのように使える、頭部は非常に硬く
ベテランのハンマー使いの冒険者にも割る事は出来ない。
とまあこんな感じです、今紹介したものは、ほんの一握りです。
他にも非常に危険な魚たちが、いっぱいいます。
まぁこんな事を言っても信じられませんが事実
呪われてるんですよね。
食べる分には問題ないのですが。
こんな恐ろしい所で漁を行っているのがメルさんなんです。
さてメルさんがどうやって、ここまで来たかというと。
プレストライト湖から、船でやってきました。
メルさんの実家はプレストライト湖の出口を言えば良いのでしょうか。
川の始まりの場所にあります、かなり深いです、その周辺が集落となっており
プレストライト領の二つある村の一つです、簡単にプレス村と呼ばれています。
もう一つは忍の里と呼ばれています。
住んでいるのは忍者です。
いえ冗談ではありません、本物なんです。
この事については後述します。
忍の里の事はとりあえず置いといて
メルさんの住む村、プレス村から川を下り
少し大きめの船でメルさんは、今回やってきました。
あと少しで同じタイプの船が完成するそうです。
漁獲量が増える、などと王様たちも喜んでいます。
この船が完成を見るまでは、実に六年以上かかっています。
何度も何度も失敗して、ついに完成したのが、今メルさんが乗る双胴船
ブロークンエイト号です、名前はちょっと変な感じですが何度も壊されたので
ヤケになって付けたと言っています、八艘目だそうです 。
外装は全てオリジンタイトです、伝説に名前を残す鉱物、始まりの勇者の盾と言われる
魔法の輝きを宿す不屈の装甲、故に湖の魚たちには負けません。
この外装を開発したのがメルさんです、湖を渡るために長い月日をかけて
開発しました、これが国王様にも認められてキャプテンメルの名を頂いたのです
この船はちょっと変わっていて、双胴船の名の通り二つの船がくっついた姿ですが
中央にはかなり大きなブロックが付いています。
このブロックの中に魚をおびき寄せて捕らえます。
その後、中に仕掛けてある網を上げて酸欠にさせます。
そうして水揚げしたものを、他のところに売っています。
普通の魚なら、二~三日でダメになってしまうのですが
この湖の魚は、平気で一週間くらい持ちます。
ですので一週間ほどの期間で王都まで持ってきて
販売するわけです。
ざっくりと説明しましたが、後ほどもっとゆっくりと
説明したいと思います。
などと説明していたら、会議が終わりました。
ああ、いけないメルさんは眠ったままです、起こさないと。
そう思っていたら国王様はメルさんの頭をなでたりして和んでいるようです
「余の前で、ここまでスヤスヤ眠ってくれるとは、さすがメル船長だな」
などと笑っています。
他のみなさん方もメルさんの寝顔を見て笑っています。
そんなことをやっていたら、来客が来たとの知らせが来ました。
男女含めて六名のお客さんです。
会議中にお客さんを入れるなんてと思いましたが、国王様は即座に
ここに呼ぶよう言いました。
お客さんとは誰なんでしょうね、メルさん。
ハイ、いかがでしたでしょうか。
何かご意見がありましたら、遠慮なくどうぞ
byタケゾウ