大暴れの卒業パーティーその3
まだまだ続きますよ。
byエル
「テメェらこっちが黙ってやっていたら、いい気になりやがって、この腐れ外道の
女の敵が!ふざけたこと企みやがって、あの令嬢を奴隷にするだと、テメェら
ゴブリン以下だってわかってんのか、いいぜ、やってやんよ、こちとら
スッポンポンで胸と尻、放り出して、ゴブリンの村まで行って、挑発して
五十体のゴブリンを殲滅してやったんだからな、それだけじゃなくトロールだって
オークだって狼だって、魔物と名のつくものはな、葬り去ってきたんだ
テメェらだって股間全部潰してやるからな! 」そう啖呵を切るユウナさんです
後ろから「ええ!痴女、痴女なの? 」あせった突っ込みが入ります
その声を聞いて思わずため息が出ます
「魔物前線の爆弾娘なめてんじゃねーぞ!クソガキ共が!」
「ひっ、あ、あ、あ、うわー!」恐怖のあまりか魔術師教会の会長の息子さんである
マイヤス君が思わずといった感じで炎を出し彼女に放ちました。
さすがに魔法は、まずいです、非常にまずいです、それは真っ直ぐ彼女に向かっています。
ですが心配は杞憂に終わってしまいました。
「だっしゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
炎に向かって拳を一振り、あっさりと炎が消えました。
「ハっ、気合い一閃だぜ、フン、こんなもんか、こんなんであたしを守る、
こんなもんでベルトレイセイ家のお姫様に勝てるってか、笑わせんじゃねー」
そう言って放心しているマイヤス君にパンチを放ちます。
見事にお腹にぶち当たりました、そして壁に向かって激突です。
まるで漫画のように見事に吹っ飛びました。
気を失ったのかぐったりしてます。
「はっだらしねぇ、軍の人たちと全然違うな、まぁ手加減はしてやったけどな」
「いや、比べるのは、ちょっとおかしいよね! 」また突っ込みが入りました
ものの見事な連続攻撃でした、あれ、はて、私は何か大事なことを言われた様な
気がしたのですが、おおっと、殿下がおきました。
「う、いったい何が、あぁユウナ、君は変わらず美しい」
起きたのはいいんですけれど、大丈夫でしょうか、この殿下 って、後ろ後ろ!
「後ろ後ろ、 〇村、後ろ後ろ」
再びツッコミです、耳元でこっそり言わないでください
ドキドキしちゃうじゃないですか。
それはともかくユウナさんも、後ろにいる人を解かっていません。
殿下の仲間だと思ってるんでしょうか。
ユウナさんは再び、遠距離からの攻撃で殿下を攻めます
りんご、オレンジ、梨などガンガン投げつけます。
って、うわーそれはひどい、後ろにいる人は殿下の首をつかみ盾にしています
小さいお皿、ベリー皿まで投げられているではありませんか、
それをものの見事に殿下の体を使って受け止める、わが国の最高権力者
国王ラウンドライト.フォン.コルネリス
そう、殿下の後ろにそーっと近づいたのは他ならぬ殿下の
お父さんである国王です。
あ、今度は隣に王妃様までいます、ユウナさんの顔は怒りに染まって
誰も認識できないようです、そのうち、はたっと気がついたのか
もう一人を目で探しています。
王妃様がむんずとちゃっかりテーブルの下に隠れていた、最後の一人、
国軍の総隊長の息子ブランディ君です、を、掴みユウナさんの前に放り投げました。
今までフルーツを投げていたユウナさんが、嬉しそうに笑いました
「み、つ、け、た、ぜ」
オタオタするブランディ君、そして私を見ました、いや、先ほどから
見られてましたけど。
「お前が、お前は、お前が!彼女をおかしくしたんだな!!お前がぁぁぁぁ」
どうしてそうなるの? いや、ちょっとおかしいよね、などが頭によぎります
おかしいですよね、一応私も公爵令嬢で彼は子爵子息、どう考えてもねー
などと考えていても、彼は私に向かって突進してきます。
どこに隠していたのでしょうか、彼が剣を持ち出しています
そしてスラリと抜刀。
剣が襲いかかってきます、えっと、ちょっとピンチですか、テヘペロォ!
えっ、随分余裕じゃないかって当たり前です、あんなのに負ける気はしません。
これでも、それなりに戦えるんです、でも今回も何もしませんよ。
ふふっ見せ場を奪うほど野暮では、ありません!
ええ、先ほどから私の後ろで気配を殺してきた人。
でも所々でツッコミを入れてきた人。
私の・・・うん・・・今生きてる中で、いちばん大切な人、私の素敵な騎士様。
そう、ピンチの時に駆けつけて来てくれた人、今の私の片思いの相手。
決して想いを告げてはいけない人、でもきっと一生
友人として共にいてくれる人。
剣が振られます、頭から真っ二つにするように、あれは、あの剣は
ドラゴンの牙から作られた剣、彼の家の家宝では無いでしょうか。
無断で持ち出しでしょうか、ですがその威力は凄まじいものです。
普通の盾なら真っ二つに切り裂くことでしょう。
もちろん私の体など一瞬で切り裂くでしょう、遠くから悲鳴が聞こえます。
私は彼を見ます、ニヤリと笑います、彼の顔が憤怒に歪みました。
「死ねェー」仮にも公爵令嬢に刃を向ける愚か者、もはや彼の行く末は
決定しましたね。
剣の腹が私の顔に迫りました、その瞬間ガキンと言う音がして
彼の剣は弾かれました。
私の目の前には白い槍が、いえ丸い槍の剣がありました。
細いレイピアのような、真っ白い棒、周りに黒いエフェクトが
かかっている物です
鉄を切り裂く剣も、彼女の持つ剣には、かなわないようです
「 「無を持って大地を鍛え闇、合わせ、炎を持って風を合わせ、
水と全てを持って光と合わさん、これこそが大いなる礎なり」 」
言葉と同時に闇と光が迸りブランディ君を吹き飛ばします。
彼女が唱えた言葉に私は同じ言葉を合わせます、彼女の持つ闇を纏う輝く白の剣
シャダウ・ザ・レイル。
それを生み出すために、その元となる素材オリジンタイトを生み出すために
彼女は戦い生きてきたのですから。
「お待たせしました、お嬢様、さ、お手をどうぞ」
気障です、思いっきり気障です、全く、入学してから、しばらくは大人しくしてたくせに。
半年ぐらい経ってから、格好良くて可愛くて、女の子からモテモテになっていました。
初めて会った時は、眼鏡を掛けて髪をきっちりまとめていました
地味系の女子を演じていました、また背も低いのでちょっとロリコン気味の
殿下の格好の餌食になるところでした。
そして入学後、すぐにレベルの件で殿下に睨まれたのに
それでまた睨まれることになったのに。
入学した時に、ちょっとした検査がありましたが、そこで殿下たちより
はるかにレベルが高かったのです。
あ、ここで言うレベルとは、RPGみたいなレベルですよ。
魔物を倒したりすると、本当にレベルが上がるんです。
そうすると身体能力が上がって行くんです。
細かなステータスとか分からないんですけどね。
それがわかってしまったもので、殿下たちから絡まれていたのですが
私が間に入って、何とか収まりました。
そんなことがあってから、メルさんは偽るのをやめて素の自分を出してきました。
元々は二十五歳の女性、そして海を行く船の特殊な乗組員です。
誰でもなれる職業ではありません、もちろん訓練も受けていたそうですが。
そんなことで新聞に出たりTVに出てたりしていました。
海難事故で亡くなった事は、私も知っていましたし。
船が沈む寸前まで救助活動をやって、最後には自分も船と命運を共にしました
いわゆる殉職者です、そんなことをやっていた人です。
一緒のクラスになったときは、いろいろ助けてくれました。
多少の打算もあるんだよ悪役令嬢さん、なんて笑っていましたが。
もっともそれは私だけではなく、他の女の子たちにもですから
当然頼りにされます、そしてモテモテになりました。
でもカッコイイのです、本当にカッコイイのです、悔しい、でもトキメイちゃう。
だって女の子ですもん。
今日の彼女の服は、真っ白なワイシャツのような服、真っ白なズボン
ブラがちょっと透けてます、ちょっとエッチです、金色が輝く頭には
真っ白な大きめの帽子、花が飾られています、そして大きめに作られた
ブルーのコート、完全な船長のファッションです。
周りにはいくつかのアクセサリーが、軽く音を鳴らしています
服はわざと透けているのでしょうか、柔らかそうなお胸のサイズが
分かってしまいます、あまり肌を露にしてほしくないです。
後ろの方では「キャーーーーメルセラお姉様ぁー」などと
黄色い声援が飛び交ってます
「同い年だよな!」などと周りからツッコミが入っていますが。
その声援に、投げキッスで応えるメルセラさん、いえキャプテン・メルです
あ、その少し向こうでは、おそらくデザイナー、なんでしょう
ガッツポーズを決めています。
故郷でとうとう、船を作り出し、魚をとるために、その船の船長をやっています。
国王様が認めた、そして今もなお、新たな夢に邁進する。
そう彼女こそが、湖を駆ける若き少女船長メルセラ、通称キャプテン・メルです。
はい、読んでもらってありがとうございます。