断罪と言う名の始まり
はい、今晩はです、タケゾウです、今回初挑戦の乙女ゲームです
そんなわけでよろしくお願いします、六話まで連続投稿します
byメル
私は今、目を閉じている、開く、周りの景色は変わらない、悪い夢に違いない。
そう思って、もう一度、目を閉じる、再び目を開く、やはり景色は変わらない。
三度目の正直もう一度、目を閉じた、脇腹に違和感、両方から脇腹に軽い衝撃が来る。
両隣にいる夫婦から合図されているのだ、ふーっと、ため息をつく。
両隣にいるのは、国王と王妃、もう一度ため息をつく、そして目を開く。
目の前にいるのは、親友である少女、公爵令嬢であり、王太子の婚約者。
エルノオーラ.ベルトレイセイその人である、私は彼女をエルと呼んでいる。
その彼女はうずくまって膝を抱え、うつろな目でぶつぶつ言っている
少女の背中を撫でている。
周りには沢山の人、生徒たちの中では平民の者もいるが大半は貴族である。
この卒業パーティーで婚約破棄の断罪を、やっていたんだろうけど
どうしてこうなったんだろう。
奥の方でパチンパチンと麗しい女性に叩かれているのは国軍第二戦隊の
総隊長の息子、叩いているのは長女で横で腹パンしているのは長男と次男の双子。
黒いローブに、いかつい顔の男に関節技をかけられているのは
魔術協会の会長の息子。
そろばんで頭をバシバシ叩かれているのは王国屈指の商会の会長の息子。
そして冷たい顔の国王に、王妃に睨み付けられているのは王太子殿下。
泣きながら一人の少年を叩いているのは公爵令嬢の母親、彼女の母に
叩かれている公爵家長子、跡取り息子である我が友人である彼女の弟。
まさしくカオスである。
友人である彼女と目が合った、同時に深く深く、ため息をついた。
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今日は私と彼女が通う、高等学校の卒業式だ、私、メルセラ.プレストライトは
とある目的のために、この学校で魔術を学んでいた、魔術、神秘なる技術。。
私の目的の為には、魔術は必要不可欠、そう魔術、魔法と言い換えてもいい
以前私の住んでた場所では、生きていた場所では、ありえない技術。
私は以前、地球という惑星、その中の一つの国、日本という国で生きていた
そこで私は、二十五歳で海難事故に遭って死亡した、
今でも海の水の冷たさは覚えている。
私はもともと豪華客船に勤めていた、船が大好きで日本では無い豪華客船の会社に
就職したのだ。
スバラシイダという船、豪華客船で何度もテレビ局に紹介されている
そんな船に乗れたのは私の誇りだった。
私の仕事はコンピューター関係で船の航行に基づく重要な仕事だ。
海難事故の理由は船舶との衝突。
夜間に向こうのレーダーが壊れてしまい思いっきり突っ込まれたのだ。
レーダーを見る係りの者が居眠りしていたのも原因の一つ。
目の前にいる少女も同じで、同じく二十五歳で交通事故にあい死亡した。
そして共にこの場所に転生したのだ、そう前世では
乙女ゲームと呼ばれるこの場所に。
ほとんど覚えていないが、かなりスタンダードな乙女ゲームだったと思う。
学校のいろんな場所に行って、男の子達と会話して好感度を上げて攻略する
主人公の名前は、なんとなく覚えていて、自分はこのゲームの中の主人公だと
思った。
十五歳から始まる、その物語は、全くと言っていいほど、その前段階は説明されず。
生まれた時から四歳くらいまで違和感を感じながら生きていた。
ちょっとしたことから前世の記憶が蘇って、紆余曲折を得て今に至る。
正直、恋愛など興味がない、そのゲームをやったのは、単なる悪友に
勧められたからだ
実際私は男の子よりも、女の子に恋をしたりしていた、でもそれを表に出す事はなく
二十五歳まで生きていた。
ここでもおんなじかなと思っていたら、乙女ゲームの記憶が蘇り、冗談じゃない!
と憤慨したものだ
同時に四才位の頃から一つの夢が浮かび、その実現のために邁進し始めた。
幸いにも魔法の才能はあり、無事に学校に入学、ゲームの中にいる悪役令嬢に
戦々恐々しながら勉学に励んだ。
ひょんなことから悪役令嬢と知り合い、彼女も同類と知り、少しずつだが
友誼を育んだ。
今では、お泊まりして一緒にあのふくよかな胸で眠りにつく仲だ。
あの、お胸に包まれて眠る幸せは、言葉に表せない。
彼女の、お胸には愛と夢と希望が詰まっているに違いない!
あと多少のコンプレックスも。オット!いかんいかん、睨まれてる。
そして王と王妃に会いこの過程に至るまでの計画を知り現在に至る。
さて現実逃避はここまでにしておこう、先ほどから国王と王妃、
この国の最高権力者、この二名にせっつかれている。
後に惨劇の卒業パーティーと呼ばれる目の前の悲惨な状況。
さて、この惨状を取り為すために、動くとしますか!
と、いうわけで、まあ、すぐ近くにいるけど、現場のエルさ~ん、出番ですよ!
byエル
はい承りました、皆さん、今日は、私はエルノオーラ、エルとお呼びください、
悪役令嬢で公爵令嬢をやっています。
もともとは日本と言う国の東京でOLさんをやっていました。
二十五歳で死んじゃったんですけどね、交通事故で。
一応それなりの頭は持っていたので生まれてから、この方、問題なく
公爵令嬢をやっておりました。
そして人生の転換期とも言えることが起こりました。
私が六歳の時に今の王太子様と婚約することになったのです。
え、早く今卒業パーティー断罪の状況を説明しろですか。
少々お待ちください、物には順序というものがあるのですから。
生まれた時から既に私は前世の記憶を持っていました。
ですが王太子様と婚約するまで、この世界は乙女ゲームの世界だと解かりませんでした。
王子の名前を聞いて思い出したのです、そして思いました、これはヤバイと
どうしたらいいかと考えつく間もなく。
あれよあれよと十五歳、当然学校に行く年齢です。
そうだ試験に落ちればいいんだ、などと思ったのですが両親の期待の前。
そんなことはできません。
そんな時に彼女と出会ったのです、私と同じ転生者に。
彼女はかなり変わっていた女の子だと思います。
私と同じ乙女ゲームの流れを知っているはずなのですが
そんなこと気にせず、自分の描いた夢に走り続けています。
彼女の夢、それは自分の故郷にある湖に船を浮かべ、その船長になることです。
あの!湖に船を浮かべるなんて正気の沙汰ではありません。
彼女の性と同じ名前を持つ湖、プレストライト湖、別名、死を呼ぶ海
人喰らいの湖。
いくつもの凶暴な水棲生物を生かせる湖、何艘もの船を沈め
何人もの人間を殺してきた湖。
その湖に船を浮かべるのだと、聞いて驚きました。
ですが現実に彼女の夢は少しずつですが叶っています。
その証拠に、今この卒業パーティーのテーブルの上
その場所でしか取れない魚介類。
それが見事に調理され湯音を立てているではありませんか。
パーティーが始まった直後、同級生たちがそれに殺到して
舌鼓を打っていました。
私も同じようにおいしく調理された魚介類を頬張ってその美味しさに
感涙していました。
一ヶ月ぶりに、落ち着いて食事ができました、この一ヶ月は
本当にひどかったです
一ヶ月前に学校に戻ってきて焦りました、生徒会が全く機能しないのです。
生徒会のメンバーの一人が泣きながら土下座してきて、
どのような状況か知るに至ったのですが、このメンバーの方には
本当に苦労を掛けてしまいました。
全く王太子殿下は何をやっていたのでしょうか、私がいなければ
やる気が出ると思ったのですが。
とりあえず有志を集めて、何とか形にしました。
そして、ある船長に頼んで、高級魚を仕入れてもらいました。
私に土下座した男の子は、嬉し泣きしながら、その高級魚を
ガツガツ食べています。
本来なら不作法と罵られてもいいのですが、誰も彼を責めません。
彼はそれだけのことを、頑張ってやったのですから。
たまに女の子たちから肩を叩かれて頑張った頑張ったと褒められています。
私もうんうんと頷きながら、たーんとお食べなんて
おばちゃん口調になったりしています。
さて、私の知っている乙女ゲームの中では卒業パーティーで
私が断罪される流れになっているのですが。
ヒロインである彼女は私の友達、そんなこともあり、油断していたのです。
特にここ一年、最後の自由とばかりに私は彼女の故郷で彼女の夢を
補佐するためにいろんな体験をしていました。
だからこそ、学校で何が起きていたのか、わからなかったのです。
帰ってきてからも必死になって生徒会の仕事に没頭していたから。
王太子殿下が転校してきた男爵令嬢に夢中になって私との婚約を破棄する
計画を立てていたことなどが知る由もありませんでした。
そう、始まってしまったのです!断罪が!
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はい、いかがでしたでしょうか。
読んでいただけたら嬉しいです
何かありましたらお便りください
では
byタケゾウ