11話 8の数字
「もう二度とこんな場所から入らない。ほら、復唱しろ!」
「もう二度と…こんな所から、グスッ…入らないにゃ」
いきなり来たエイはリュウに頭を掴まれたまま、今の言葉を強制的に言わされていた。
これはまあ、エイが悪いな、うん。あんな大事な話している最中に覗いていたらそうなるのも仕方がないと思ってしまう。
復唱が終わってエイは解放されると、部屋の入口へと歩み始めるが途中で突然止まる。
「えー、とにゃ?第二王子様のロックス様にゃよね?警戒を解いてくれって騎士に言ってくれないかにゃ?」
エイは何も居ない場所に向けて指を向ける。
「黙れ、何をしに来た。お前が潔白を証明するまでトウは刃を向けたままだ」
そう言うとエイが指をさした方向に、さっきロンロの目の前にいた女の人が現れる。
ロックス様にトウと言われた人は小剣をエイに向けて佇んでいた。やはり先ほど視た時と同じで色が無い。
「待って下せえロックス様!エイが何をしたんですか」
「簡単な事だ。そいつの手の甲を見てみろ。トウ、そいつの手袋を!」
「にゃ!?待って、ミーの特製がー!!」
「「「!?」」」
そうして晒されたエイの手の甲にはくっきりと数字の8が刻まれていた。
時の教会のメンバーには1から12の数字が体の何処かに刻まれている。それはディアンナ様の屋敷で居たトゥーにもあった。
「さっきの話!」「エイてめぇ!」
聞かれた。今やるべき敵は時の教会の奴ら。それを聞かれたということは。
危機感から腰に差した剣を手にし、リュウは拳を構える。そんな中、
「待ってください!」
フェリスが大声で静止をかける。
「少し冷静になってください。彼女が私たちの敵なら姿を見せないはずです。…エイさんでしたっけ、お話していただけますよね」




