10話 倒すべき相手
「フェリスの騎士。お前があの場で遭遇した奴がスリーだ。いや、スリーの分身体ってやつだ」
「あれが…本体じゃないんですか?」
「ああ、奴の数字はその舌に刻まれている。あの時一瞬だったが、数字は見えなかった。それにな…もしあれが本体だったら弱すぎる」
あれが弱い。そんなはずはない。こちらの攻撃を遊びの様に避けていたのだ。だったら本体はどれ程の。
「それでロックス様。そいつらの居場所は分かってるんですかい?いざとなったらギルド総出で行きますよ」
「俺だって分かっていればそうしている。だがな」
そう言ってロックス様は机に一枚の地図を広げる。それもこのガーデンの詳しい場所が書かれたものを。
「現在奴らの居場所を見つける手立ては出来ていない。ここの3つ、丸が付けられている位置にいると思われるが、総当たりでやったところで外したら終わり。直ぐに逃げられるのがおちだ。それに、」
「カヤが人質に取られてる…」
「そうだ。人質になっている奴がいる時点で、あいつらが迎撃の準備を進めていないわけでは無い」
「つまり外れを引いたらそれだけ時間を与えちまうし、こっちにも損害が出ちまうってことだな」
確かに今の情報量だけでは少なすぎる。もっと時間があったのなら別だっただろうが今回に至ってはない。
「つまりお兄様…」
「ああ。3分の1の賭けをするしかないってことだ。失敗したら…」
「騎士の人たちには知っている人はいないんですか?」
「いない。常に探ってもらっているが尻尾すらつかめん」
完全な罪ではないが賭けに出るしかない。それも危ない橋を渡るレベルではないものを。
「「!?」」
そうこう考えていた瞬間、誰も居なかった空間へと剣を向ける。それはリュウも一緒で、ロックス様を庇う位置に移動すして、戦闘態勢をとる。
リュウとアイコンタクトをとって、窓ガラスの方へと視線を向けた。
「誰だ!出て来い!」
「ここは俺のギルドだ、のぞき見は許さねえ!」
そう言葉を放つのと、窓ガラスの傍が扉の形になるのは同時だった。
そこからは取って付けたかのような猫耳を付けた女性が顔だけ現し、こちらを伺うように覗いてきた。
しかも、どこかで会った気がする顔立ちで。正確には自分とは関りがないが、リュウの方は既に緊張を解いている。
「ニャー、許してにゃ。だって玄関が騒がしくて入りづらい雰囲気だったし…。リノゥちゃんに会いに来たらこんなになって…」
そういう女性にリュウは静かに歩み寄り、覗かせている頭だけを手で掴むと、
「だからってこんな所から来る奴があるか!てめぇは馬鹿かエイ!」
そこには喧嘩祭りの時の、リノゥと相打ちになったエイが申し訳なさそうにいた。




