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神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
第3章 復讐の王子
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02話 侵入

「あそこ。朝来た時は人がいたけど…」

「今は居ないな」

「でも本当にあそこに!」

「分かってる」

誰かを誘拐するなら見張りぐらい立てるものを今はたててない。一見すればただの空き家か留守かと見間違う様な静かさだが、分かる。しかも厄介なものと関わっていることも分かってしまう。

ドアの横に取り付けてある窓から見える人形の様なもの、あれが今こっちを見ている。普通なら気のせいだと思っていただろうが、あんな風貌のヤツを以前ディアンナ様の屋敷で見た事がある。確か名前は、

「ノーフェイス…」

どうしてあれがあるのかは分からない。見間違いかもしれないが、確かに今も視線を感じ続けている。

ロンロが此処に来た時に居た奴らは門番ではなく、今あそこにいる化け物こそが門番なら簡単に突破できる。

「フェリス、ロンロここで待っていてくれ。大丈夫、絶対にお前の妹は救ってやる」


我ながら少し無謀な策だと思う。かなり自分に都合が良いように考えている節があるが、気にしないでいこう。

「【鎌鼬】」

【傲慢】の力か風を段々と上手く操れるようになった末の自作スキルだ。そこまで遠い相手には使えないが、近くの相手なら壁越しでも使える。

風が刃と化してノーフェイスの首を飛ばす。無論ここで終わるとは思っていない。アイツは首を飛ばしても動き続ける事が厄介だ。だが一瞬の隙を作ることは出来る。それにわざわざ見えている位置で攻撃してやったのだ、次の相手の行動は読める。

ガシャァン、と窓ガラスが割れる音と共に首を片手にノーフェイスが出てくる。

「【風の大槌(ゲイルハンマー)】。…【破鎚】!」

少しの隙を使って上に移動し、出てきたところを風の大槌で潰す。いかに耐久力があるとしてもこうまですれば立ち上がりはしない。

「よし、中に入るか」

ノーフェイスが一体だけとも限らないが、今出てきたのは一体だけだ。それに誘い出す際に音を立てたのだ、誰か来てもおかしくない。それが狙いでもあるのだが。


中に入り人気も何もかもが無い建物へと入る。

しばらくすると壁が動く音と共に話し声が聞こえてくる。

「クソッ、何だよまたアイツが暴走でもしたのか!?アイツ気味わりいからきらいなんだよ」

「そうだよなぁ、でも羽振りは良いし、俺たちにとっては最高の職場だからな。不満は言ってらんねえよ」

「でもなあ」

声からして二人の男が近づいてくるのが分かる。

「それにしても朝来たガキをどうする気かねえ。アレも気味悪くて仕方ねえ」

「そうだな、手っ取り早くあの人に渡して終わっちまおうぜ」

ガキという言葉からロンロの妹がまだ此処に居る事が分かった。だったらやるべきことは簡単だ。

「ん?」「お?」

影から飛び出し、鳩尾に一発。それで二人は気絶して、こいつらが来た場所に行けばいい話だ。

「ここがそうか…」

本来は何もない様な所に下へと続く階段があり、その先にはまた別の扉があるのが見える。

「こいつらは…鍵は持ってないか。よし、降りるか」

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