表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
第2章 進むべき道
73/105

17話 本戦8

『おぉっと!いつの間にかフォー選手の手に鎌が握っている!』

立ち上がったフォーはすぐさま距離を詰め、鎌を振るう。突然の事で少し反応が遅れ、完全に回避することが出来なくなる。

「!?」

若干遅れたが、鎌の攻撃を防ぐために剣を合わせるが有り得ない事が起きる。

当たるはずの剣をすり抜け、そのまま鎌が首へと向かってきた。

「ッ!【跳躍】!」

すんでの所でスキルを使って回避するものの、頬に切り傷が出来てしまう。さらに言えば、剣をすり抜けた鎌が殺傷能力を持つことを証明するものでもある。

まずい、心中はその感情一色に染め上げられている。フォーは遠距離でも攻撃手段を持っていることに対して、こちらは持っていない。

それに、さっきの彼女の動きもまずい。まるで体験を振るっていた時とは別人が戦っている様な感覚だ。動きに予備動作がない。


フォーは離れてた僕を一瞥すると、空いている手を地面につけて一気に引っこ抜く。そこには、

「また…武器。それも鎌とは違って…剣?」

今自分が持っている剣より一回り小さいだろう剣を彼女は握り、それを天高く掲げる。

あの剣は何かまずい、そう確信する何かがそれからは不吉なオーラとして感じさせる。

「【歓迎の小剣】…」

フォーが何かを呟くのと同時に、手に持っていた剣を地面へと刺す。

「いつかはたどり着く場所へ歓迎する。行って、彷徨える者たち…」

剣を刺したのと同時に、その周りを黒い何かが動き始める。それらは数舜すると、まるで獲物を見つけたかのように高速で接近してくる。

「…!?マズッ…。クッ…」

幾つかは避けられたが一個だけ腹部へと命中してしまう。まるで鉄の塊がぶつかってきたような衝撃を与えられ、少しふらついて片膝をついてしまう。

フォーを見失わないと彼女の方を見上げるように見ると、嫌なものが目に入る。

「嘘…だろ…」

また剣の周りに黒いものが集まっていき、今にもこちらへ向かって来ようとしている。しかも、その後ろではフォーが鎌を深く構えており、次は彼女も攻撃してくるという事実に他ならない。


「だったらこっちも出し惜しみはなしだ」

スッ、と風が切れる音共にフォーがまたもや突然接近してくる。その後ろからは黒いなにか。

前後左右どちらに回避しようとしてもフォーは追ってくるし、それが上に跳んだとしても変わらないだろう。だったら、

「真正面からぶつかった方が祭りっぽくていい!」

フォーを正面からおさえ、黒いものから守る盾の様な位置取りをして仕掛ける。それでも幾つかはこちらを狙ってくるがそこは【硬化】で多少の軽減は出来る。

『さぁ、ラストスパートと言わんばかりのぶつかり合い…ちょっとそこの人!?』

「ハアアァァ!」

くらいながらも、相手の鎌より早く自分の剣が届くように、気合を込めて叩きつける。

「ッ!?」

あと少し、あと少しで届くはずだった剣が何かによって弾かれる。

ーーなんで、何でフォーの体をすり抜けてあれが来る!?

まるで守るかのように、フォーを盾にして防ぐようにした黒いものは、彼女の体をすり抜けて剣に当たっている。

困惑と衝撃で出来てしまった隙はあまりにも大きく、首を狙っていた鎌はそのまま


「もう帰りましょう、フォー」

鎌は当たらず、目と鼻の先でピタリと止まっていた。なぜ、と思い見上げるとそこには、セブンさんがフォーを後ろから抱きしめる形で攻撃を止めていた。

「貴方は…今の貴方は無垢な者なんですから。少しばかり休みましょうか…。スタッフさん!」

『は、はいぃ』

「この勝負はフォーの負けという事で終わらせてもらいませんか?私はこの子の保護者です、受付の時にもそう言いましたから確認は不要ですね?」

『…えーそれでは!フォー選手の投降という事で…勝者はハヤト選手!…おめでとうございます』

唐突に決まった試合の行く末は不思議な静寂と、倒れたフォーを背負っていったセブンさんの背中をみて決まったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ