15話 隙間時間
「あれ?セブンさんは?」
「ん~?わかんない。トイレじゃないの?」
一回戦の全ての試合が終わり、今は二回戦が始まるまでの時間となっている。予選、本戦一回戦目で舞台が消耗したので、それの兼ね合いもあるらしい。
「次はフォーたちが戦うの!」
「そうだね。でも今から気を張りすぎなくていいんじゃないかな」
次までの待ち時間は過ぎていく。
★
「やはり此処に居ましたか」
「なんだ貴方か…セブン」
「そんなあなたはエイトさん、最後まで試合を観戦なさらないのですか?」
セブンに話しかけられた女性、エイトはため息をつく。彼女の今の格好は酷いもので、服の背中部分は焼け焦げており、髪の毛が所々焦げている。
「私はもう帰る。こんな有様じゃあ、やってられないから」
「おや?先ほどの試合の傷などすぐ治るでしょう?」
これ以上話を続けても、グダグダと意味もない会話が続くだけだと察したエイトは単刀直入に切り出す。
「で?実際の所は何しに来たの?」
「いえ、ただ確認しようと思いまして。…あなたは敵になるのかと」
今まで以上に鋭く、見透かすような目でエイトを見つめる。彼女は何のことか、と言おうとしたのをこらえて、相手が望むだろう答えを出す。
「…少なくともあたしは今の時の教会に納得はしてないよ。絶対イレブンは何か企んでるし、シックスとか…ほら、ねぇ?そもそも私たちは縛られたくないから入ったんでしょ。だから私はそう答えるよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「そう?じゃあもう行くよ」
セブンが軽い一礼をすると、エイトは背を向けて出口へと歩いていく。
「あ!そうでした」
「…今度はなに?」
「あのキャラ付け、そろそろきつくありません?」
「うっさいにゃ!」
その会話を最後にエイトは姿を消す。彼は彼で怒らせてしまったことに若干の申し訳なさを抱きつつも、自分がいた客席へと戻るのだった。
「ああそういえば…あの猫耳はどうやって作ってるのでしょうか?次に会った時にでも聞いておきましょうか」




