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神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
第2章 進むべき道
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05話 他の試合

「あんた何やってんの?剣をわざわざ捨てて、馬鹿なの?」

試合が終わり、共に控室に戻っていたリノゥに話しかけるが、返ってきたのは罵声であった。しかし心当たりしかないからか、とても心に痛い。

「私は楽できたからいいものを…。はぁ、兎に角本戦であっても手加減しないからね!じゃ!」

そういうと彼女は控室から出て行ってしまう。話しかけたつもりが、傍からみたら振られたように映ってしまうのはどういうことか。

しかし今はそれどころではない。本戦で戦うであろう人たちを今から見に行かねばならない。いわゆる敵情視察という奴だろう。


ワアアアア!


外から歓声が聞こえる。という事はもうBグループは始まっているという事だ。こうしてはいられない、とセブンさんがいるであろう客席へと足を進める。

「お疲れ様です、ハヤトさん。これ飲み物です、今日は暑いですからこまめに水分をお願いしますね」

「ありがとうございます」

セブンさんから飲み物を受け取り、客席に着く。しかしその時には、もう試合が終わろうとしていた。

「早いですね。ここのギルドマスターであるリュウさんは場慣れしているとはいえ流石ですし、ナオヤさんも中々やりますね」

「…そう、ですね」

舞台には二人の他にまだ何人かいるが、戦意を喪失している者から二人の戦いに近づけなく、余波で場外になりそうな者までいる。いずれにしろ、


『決まったー!本戦出場はナオヤ選手と、我がリュウ様だー!』

圧倒的の言葉が二人には似合うだろう。特に堂々と退場していくリュウの背中には、漢とは何たるかが見え隠れするものだった。

「次ですねフォーは。ケガをさせなければいいんですけど…」

「それはどういう…」

こと、と言い切る前にその答えは目の前に現れる。Bグループの選手たちが全員退場した後に現れたのは、大剣を引きづりながらも懸命に歩くフォーの姿であった。いや、懸命に見えるだけであってただ引きずっているだけだ。普段の歩いている姿を見たことあるからこそ分かる、重さで遅いわけでは無くただ単に歩く速度が遅いだけ。


「なんだぁ?あんなガキまで参加するようになったのかよ、ここは。ま、あの様子じゃあすぐ終わるだろうがな」

そんな男の言ったことを無視するように、開始のゴングなった瞬間にそれは起きた。

「エイヤー!」

「ウァオオ!?」「アアァァアアガ!」「ケペッ」

いったい、一度に何人やられたのだろうか。大剣を横なぎし、舞台にいる複数人が場外となる。あれは刃が潰されているとはいえ手つの鈍器だ。あれでは骨が折れる程で済むだろうか。

そこからフォーは、逃げる者たち向かう者関係なく大剣で飛ばしていき、会場には終了を知らせる合図が鳴る。

『決着!ななな、なんと!Cグループの覇者は一見幼く見えるフォー選手だぁ!…えー、あとゼロゼレ選手?おめでとうございます。ではDの皆さんは準備に入ってください』


Cの選手が全員いなくなり、次にDの人たちが入場してきた。

「来た…」

あの猫耳の人だ。やはり出場者全員が警戒しているのか、彼女の周りにはかなりの間がある。誰もが認めている強者エイ。一体どんなたたかいをするのか。

『それでは予選最終戦、開始です!』

始まりのゴングと共にエイが近くの人を殴る。殴られた人は持っていた盾で防いで大丈夫、というのが常識だ。そこから不思議な事は起きる。

殴られた盾の形が変形していく。いや変形というよりは、殴られた所を中心として崩れていき、盾は原型に戻れない程に粉々、砂になって舞台に落ちていく。この現象がおきた期間は時間にして一瞬、もちろん拳はまだ放たれている訳で。

「ニャハ!盾なんかで防げると思うなんて…甘いにゃ!」

次々と舞台にいる人たちが場外へと飛ばされていく。一人も残さんばかりの勢いに対抗する者はいないと思われたが、彼女とは反対側にいた坊主頭の男性が対抗し始めて。

「くらいなさい、不敬なるものよ!」

「お~っと、危ないにゃ。お返しにいいもんやるにゃ!」

男から放たれた矢をすんでの所で掴んだかと思うと、エイはそれを投げ返す。


「ハヤトさん、よく見ておいてください。これが彼女の十八番ですよ」

セブンさんにいわれ、投げ返された矢をくいるように見る。

矢はエイの手から離れると崩れ、砂の形状になったかと思うとナイフへと姿を変え、男を襲う。

「あれが彼女の固有スキルである【変形】です。あれだけでとは限りませんが、知っているものはあれだけです」

襲ってきたナイフを打ち払い、男が反撃に出ようとした瞬間アナウンスが鳴る。


『舞台に立っている者が二人。これによって、Dグループ最後の本戦出場者は…ゼン選手とエイ選手に決まりました!』

最後の予選が終わる。あの戦いが続いていたら、どちらが勝っていたかは分からない。だがどちらも油断してはいけない強敵だという事は分かった。

『さあ、本戦はお昼を挟んで午後から。皆さん腹ごしらえをして備えてくださいね。それでは!』

その言葉を最後に客席からはちらほらと人がいなくなっていく。

「ハヤトさん、よければ私たちとどうですか?お昼を多く作ってしまって困っているんです」

「ぜひ」

「ありがとうござます。今日はラッキーですね」

本戦まで時間はある、少しは集中力を高めておこう。

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