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神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
第2章 進むべき道
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03話 大物?たち

ギルド内は思ったより広く、外見や名前からは想像できない程普通であった。受付があり、依頼が貼りだされており、ギルドの人らしき方もそこらへんにいる様な人だった。

「中に入るのは初めてですか?この大会に参加成されるのも?」

隣を歩く神父服の男がそう尋ね、返答代わりに首を縦に振る。すると、それを見た男は穏やかな表情をし、

「そうだと思ったんですよ。ここって外見があれじゃないですか、私たちだけで入るのは気が引けて。だから無理矢理になってしまいましたが、一緒に入ってもらったんです。…ご迷惑でしたか?」

「いえ、元々参加しようかどうしようか悩んでいたところだったので。こっちも踏ん切りがついたと言いますか、何と言うか」

「ハハハ、そうですね。私も初めて此処に来た時は若干引きましたからね。…おや、そうこうしている内に、あそこが受付ですよ。さて、登録を済ませましょうか」


既に何人か並んでいる列の最後尾にならび、自分の番が来るまで少し待つ。

そういえばこの催しにこの人が参加するのだろうか。聖職者然とした服装からはとてもそうとは思えない。それに手を引かれた時に、武器を握る様な人だとも思えなかった。

そんな目線に気づいたのか、男はああ、という顔して

「これに参加するのは私ではありませんよ。先ほど私たちといった通り、」

「フォーが、フォーが参加するの」

男の背中の方がもぞもぞと動き出したと思ったら、そこから一人の少女が顔を出す。

「こちらのフォーが参加するのですよ。例年、この催しを見ていたら参加したいというのですから。ケガはないでしょうが、心配は心配ですけどね。お、貴方の番ですよ。話の続きは登録が済んだ後にしましょう」


目の前に並んでいた人が受付を終わったのを知らせてくれたので、受付の人へと登録事項を記したものと参加料を出す。

「お名前はハヤトさん。ギルドは所属無し、と。武器の方は会場入り口の脇にありますので、そちらをお使いください。それではご武運を」

そう言われ、係員の指示に従い奥の方へと歩いていく。そこには、


「これは…すごいな」

ディアンナ様の屋敷で見た訓練場は、あくまで訓練するために作られたものであったが、此処は違った。まるでコロシアムの様な、初めから本気の戦闘を想定したつくりになっている。

「どうです、驚いたでしょう?何を隠そう私も驚きましたよ。こんなスペースの使い方は内側では考えられませんからね。外側の特権、というところでしょうか」

受付を終えて追いついてきたあの男に話しかけられ、ただ頷くしかできなかった。

会場の中心ではなく、観客席の方へと共に歩を進め、空いていた一角に腰を下ろす。


「セブンー、フォーね、あっちの方に行きたーい」

「いいですよ。迷子にならないでくださいね」

「うん!」

そういうとフォーは、(セブン)の背中からおりて向こうへと行ってしまった。


「ハヤトさん、初めてという事ですので注意すべき人物を教えましょうか?」

「お願いします」

まず、とセブンが言い会場の端っこへと指を向ける。

「あの方がリュウさん。ここのギルドマスターです。主催者でもありますね。武器は拳一筋と豪語している辺り、試合を見れば白熱すること間違いなしですよ。そして、向かい側の客席に男性が見えますか?あの女性に囲まれている男性ですね。あの方は確かナオヤさんと言って、ここ数か月で名を上げている期待のルーキーですね。彼の活躍があればギルドは昇進すること間違いなしと言われるほどに。そして舞台となる場所の右側に居る女性が…」


そう指を向けた女性にどこか既視感を感じる。どこか、どこかでみた。

「あー!」

「おや、お知合いですか?」

「いえ、少し面識があるというか、助けられたというか」

そこに居たのは、初めての依頼をこなして、ギルドの人たちにもみくちゃにされそうになった時に助けてくれた、猫耳の女性であった。しかし、エリーさんは獣人などいないと言っていたが、改めて見ても猫耳の様なものが頭に生えている気もするが、

「それなら彼女に初めて会った時に驚いたでしょう。彼女の名前はエイ。あの猫耳は本人曰く、自分のスキルでつけたものらしくて、語尾などもキャラ付けらしいですよ。言ってしまえば趣味です。ちなみに、彼女はこの催しを2連覇した覇者でもあります。強敵ですよ」

そして、とセブンは一息溜め

「彼女と張り合うぐらいの者が何を隠そう、フォーです。油断していたら直ぐに痛い目を見ますよ?」

自信満々にそう言う。


ひいき目が少し入っている気もするが、彼から発せられる言葉には頷いてしまう圧がある気がする。

「ハヤトさんは頑張ってください。今日はプライベートで来ているので、観戦して楽しませてもらいますよ」

「フォーも楽しむ!」

「!?」

音も気配もなく近づいてきたフォーに対して、咄嗟に身を構えてしまう。油断しているつもりは無かったが、彼女が強いと言っているのはあながち間違いではないかもしれない。


『それでは選手の皆さん!控室におねがいたします、まもなく予選が開始されます!』

「それじゃあフォー、気をつけていってらっしゃい。ハヤトさんも」

「うん!」

「行ってきます、セブンさん」

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