02話 催し
「今日は特売だよ!さぁ…」
「チッ…あいつらおせえな」
ガヤガヤと西区の中でも特に活気がある所を目的を持たずにさまよう。
何時もの回数木剣を振った後、特に何もすることがなく、この場所に来ていた。ここは初めての依頼の際に通ったぐらいなので、ほぼ来るのは初めてと言っていいだろう。
見るだけでも中小問わず様々なギルドを建っており、掲示板に張り出されているはずの依頼は既になくなっている。もしかしたら、という気持ちで訪れてみたものの今の手持ち無沙汰感はなくならない。
「はぁ…暇だ」
フェリスが行く間際に、今日中には帰れないかもしれないという事を言っていたのであそこにいても独りになるだけだ。何時もならフェリスが居て、ミカヅチさんもいるそんな生活だった。
独りで居るのはあちらの世界で慣れていたつもりであったが、どうやらそんなことは無かったらしい。
我ながらとても女々しいと思う。精神的な頼り場所であったミカヅチさんが居なくなって、フェリスには置いて行かれた。なんて滑稽なものだろうか。
ーーエリーさんとか、アリエスさんなら心を直ぐに入れ替えられるのかな…
そんなことを思いながら道を進んでいると道端にある一枚の紙が目に入った。
「『喧嘩祭り』?…飛び込み参加okで、武器の使用制限もない戦い。優勝賞品は…すごい額だな。これも何処かのギルドが開催しているのかな」
暇をつぶすという目的なら大いにありだ。それに体を動かせば、少しは今の気持ちが和らぐだろうか。
紙には開催場所と日時が書かれており、その指示通りに進んでいく。
「ここを右に、…そしたら目の前に…えっ?」
いかにも争いごとが好きそうな者たちが集まっているだろうギルドが目の前に現れる。ギルド名は『紅零示威』と書かれてあるが、クレイジー?と読むのだろうか。ギルドの名前がとても大事だという事が分かる様な名前をしている。
「これは流石に近くにいたら恥ずかしいな、うん」
背を向けて帰ろうとした時後ろから爽やかな男の声で話しかけられる。
「貴方もこれに参加するんですか?いやー、幸運ですね。少し恥ずかしい気持ちがあったのですが、貴方と共になら。さっさ、行きましょう、勇気付けてくれたのです私が前に行きますよ」
「え?いや、その…」
教会にいる神父の様な格好をした男に、連れていかれる形でギルドの中へと入っていく。
どこか既視感を感じながらも、強引に連れていかれる事が多いのだと納得するしかない。とても戦う様な者ではない手で引かれながらも何故か安心感を覚えるのだった。




