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神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
第1章 第一王女ディアンナ
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幕間2

その昔、まだ人と神が近しい存在であったころ。神は人を支え、人は神を讃えていたいたころ。それは起きた。

神から恩寵を授かりし一部の者が、他の者とは一線を画す力を手にし神に更なる忠義を捧げた。その様な者は一人また一人と増えていき、いつしかその容姿までもが変化していった。

後に神の使者(エルフ)と呼ばれるようになった者たちは、人類を率いて神から与えられし自然を操る力を振るった。

そしてその少し後、一人の人間が神に刃を向けて神と人が近しい時代は終わった。神はその者から身を隠すように現世から消え、後にはただ神を妄信するだけのエルフたちが残る。

人類が国を建て、文明を築いていく間もエルフたちはただ神に祈り、お告げを待った。


そしてそこからが長い戦乱の始まりであった。

一人のエルフが気づく。その隣のエルフも気づく。

『神は我々を見捨てたのではない。我々ならこの世を導けると判断して、預けたのだ』と。

かなりの独りよがりから生まれた考えだが、光を失ったエルフたちはその考えに縋り付き、行動を開始する。

目の前に建っている、我々の許可していない国に対して進行を開始した。


エルフは一人一人が特別な力を持ち、一つしか持てない制約はあるものの、人類を脅かすだけなら十分であった。

風は吹き荒れ、田畑では日照りが続き、その隣の村には洪水が押し寄せる。一つまた一つと国が無くなっていき、遂にはある国の前までたどり着く。

しかし、そこからがエルフにとっても人類にとっても長い長い歴史の始まりになる。


エルフたちは何時ものように、他を踏みにじった様に進行する。が、人類は壁を作り、他の都市に依存しない都市へと成長させ、エルフたちに抵抗した。

エルフは寿命が長い、それ故に個体数が少ない。人が持つ進化の速さは彼らにとっては予想外であり、

100年ほどした時には自分たちの命を脅かす存在まで生まれてきた。


そして何百年経ったであろうか、人類はエルフの軍勢に勝利し、エルフという種を根絶やしにすることに成功する。一人残さず、赤子であっても息の根を止めた。

確かにこの瞬間、人々は勝利したのだ。天から力を授かりし者達に。

故にその国の人々は、華々しいその日の事をこう言う。天に勝利した日、「天勝祭」と。

これが今から30年程昔の出来事だ。

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