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神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
第1章 第一王女ディアンナ
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13話 眠れる夜

嫌な予感がする、それとなくそんな感じがして目を覚ます。

今は時刻がまわって夜だ。明日にはこの屋敷を出るという事でフェリスは既に休んでいる。

ーーこの感覚、以前感じた事がある。生きている様で何か違う様な…


取りあえず音を立てずに扉を開ける。ないとは思うが隣のフェリスが起きてしまったら厄介だ。

扉を出て屋敷の中心へと進んでいくと

「おう、起きたか」

「エリーさん」

屋敷の玄関前にはエリーさんとアリエスさん、その他に訓練場にいた兵士の人たちもいた。しかも昼間とは違い決定的な違いがある。

ーー完全武装?やっぱり何かある


「やっぱり何かあったんですか?」

「まあ、ね。私は寝てたんだけど何か感じる、て言って起こされたのよね。戦闘の勘とかはコイツの方が分かるから」

「いやまあな。何つぅか嫌な予感ってか、吐き気を覚える感覚ってか」

そんな話をしているといきなり屋敷の玄関が開く。急な事で少し警戒するが、入って来た人物が兵士の人たちと同じ格好をしていたので警戒を解く。

入って来た人は焦っているのか呼吸が荒く、息を整えてから口を開く。


「報告します!敵の数は7!」

「そうか、それで?敵はどんな奴だ?出所に見当はつくか?」

要するに誰かの刺客という事なのだろう。他の候補者たちに狙われる可能性もある。

疑問を投げかけたエリーさんに対して、兵士の人はどこか困惑したように

「それが…分からないんです。敵に出来るだけ近づいたんですが…、その羽の様なものが付いていまして」

「ん?なんかの魔物ってことか。羽ってことは鳥型か」

「いえ…それが。魔物とは違う気もするんです、何かこう感覚的に」

エリーさんは少し考えた後、行動すべきだと判断したのか周りに指示を出していく。


「よし分かった。7匹の野郎の内訳は?」

「東に5、西に2です。東の敵は周囲を固めていたので正確ではありませんが、西は2なのは確実です」

「それなら分けるか。おいハヤト、おめぇにも動いてもらうぜ」

「分かってます。僕はいつでも出れます」

もちろんだ。戦えるものとして向かっていかなければいけない義務がある。


「了解だ。それなら東は俺とアリエスたちに任せてくれ。西はお前と少しこいつらを貸してやる。そうだな…」

「ジェン、ユー、ヨリ。貴方たちはハヤトについていきなさい」

「アリエス、部隊長クラスを3人投入したら俺たちの方が持たなくなる可能性が…」

「よく考えて、敵の数に明らかな開きがあるの。それに東の奴が統率された動きをしているのなら支配者がいるはず。だったら考えられるのは…」

西にいる可能性が高いという事だろう。少ない数を任せられたからって楽だとは限らないのは考えが付く。


「それに私は屋敷に残るわ。私のスキルなら東西どちらも援護できる」

「そうかそれなら幾つか戦力を置いてく」

「ありがとう」

「それじゃあ全員1分で用意しろ!直ぐに敵に向かうぞ。セン、敵の詳しい位置は分かるか?」

「可能です」

「それならお前は直ぐに用意してくれ。全員行動開始!」


エリーさんの号令の下に全員が行動を開始する。僕も例にもれずに部屋に置いてあるものを取りに帰る。

しばらくしてから玄関の前へと戻ると、エリーさんが何かを行っている所に出会う。

「あらハヤト、準備は出来ているのね。他の娘たちは外で待ってるわよ」

「分かりました。…その聞いていいですか、なんでフェリスやディアンナ様をこの場から避難させないんですか?」

部屋に戻るときにエリーさんから念押しをされていたことがあった。

決してお嬢たちを起こしてはならない、と。そこに疑問を覚えるのは当たり前だ、僕たち騎士という存在は主を守るためにいる。それなのに、

「いい、ハヤト。確かに騎士というのは主を守るために居るのは違いない、けどね私たちが守るのは主の全て。こんな些事で主の眠りを妨害してはいけないのよ。それに主は私たちの事を信頼してくれているの、その信頼に答えなきゃでしょ?」

だからこそ僕たち騎士は知られずとも主を守るために動くのだろう。どんな事があっても僕は、フェリスにとって眠れる夜にしなければいけない。

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