12話 理の外
「グウウゥウアアア!!!」
室内に少年のと思われる叫び声が響き渡る。
少年は白いベッドに拘束されていて、身動きが出来ずにもがいているが拘束具の影響でその場から動けずにいた。
ベッドの周囲には、如何にも怪しい薬品が並べられている棚や実験器具などが几帳面に整理されていた。
しばらくして少年の叫び声が止み、乱れている息が落ち着いてきたところに一人の女性が影から近づいてくる。
「お具合はどうですかトゥーさん。この痛みは、貴方が力を手に入れるために必要な痛みなんです。片腕を失って、それでも見返してやりたいと私の所へと訪ねてきた貴方なら大丈夫です」
「ボ、ボクは…」
「まだ確立しきっていない技術なんですけどね。これで貴方の容量を…と言っても分かりませんか」
トゥーに語り掛ける女性、イレブンは、片手をトゥーの体に当てる。彼女は何かを呟いた後、トゥーに顔を近づいて嗤うように、実験動物を見るように語る。
「私の権能は『与える』もの。ただ与えるだけであって、何かを享受するわけでもない。奉仕するために創られた私にはお似合いでしょう?」
「あ…あ、アアアァ!」
イレブンの体が光りだし、それと同時にトゥーが再び叫び始める。
その時不思議な事が起こった。切断されたはずの片腕が切断面から生え始め、最後には初めから斬られた事など無かったように無傷の腕がそこにはあった。さらには、
「ああ、あああ!素晴らしいですよトゥーさん!これが『獣化』!うふふ」
イレブンはトゥーから手を放し、施術が終わった彼を見下しながら感嘆の声をあげる。
そこには周りと変わらない様な右腕を持つ少年の姿ではなく、右腕だけが肥大化し、一種の獣の様に鋭利な爪が生えている姿となったトゥーがいた。




