03話 会合
「それではこちらになります」
案内をしている人に、屋敷の階段を上がり一番大きな扉の前に連れられる。
「ディアンナ様。フェリス様をお連れ致しました」
案内役の人が軽くノックをし、部屋の中に呼び掛けた後勝手に扉が開く。実際は中にいる人が明けているのだろうけども。
先頭にいるフェリスが歩き始めたので付いていき、フェリスが中にいた修道女の様な装いの女性に声をかける。
「お久しぶりです、ディアンナお姉様。相変わらずお元気そうで何よりです」
「久方ぶりです。我が妹、フェリス。貴方こそ立派になって…、姉として嬉しいですわ。…そしてそちらがフェリスの騎士である、…えぇっとハヤトさんでしたか?」
「お初にお目にかかります、フェリス様の騎士という大役を仰せつかれましたハヤトです」
聞いていた通りの人だ。とても清楚な人で、どういう教えかは知らないが敬虔な信徒であるという話通りの人であった。それに、
ーー視た事もない色をしている人だ。
常に穏やかな色をしているフェリスとは違い、白いというか無色と表現できる様な色を持っている人だった。
「あら、ご丁寧にどうもありがとうございます。ご存じの通り、私はこの国、サンドレア王国の第一王女、ディアンナです。そしてこの後ろに居るのが、」
「騎士のエリーだ。よろしくな坊主」
鎧の上からでも分かる鍛えられた体つきに、髪は短めにそろえられている。それに身長はかなり大きい男性と見間違えるほどの巨躯な女性だ。
けど、ディアンナ様の騎士は双璧と呼ばれているからして二人いると思っていたが、ここにはそれっぽい人はいないし、この人が一人で双璧と呼ばれているのだろうか。
そんな疑問をエリーさんは察知したのか、
「ああ、騎士はもう一人いるんだけどよ、今一人は兵士たちの訓練でそっち行ってんだ」
「そうだったのですね、教えていただきありがとうございます」
そんなやり取りをしていると、エリーさんは思いついたようにポンッと手を叩き、
「そうだ、嬢さん。こいつにウチの訓練風景を見せるってのはどうだ!?此処にいて立ってるだけなんて暇だろうし、実際俺は退屈だし」
「なるほど、それはいいですね。私もフェリスと姉妹水入らずで話したい事たくさんありますし、フェリスもいいですか?」
「私の方もかまいません。ハヤト、心配いらないから」
「よっしゃ!それじゃ行くぞ」
そう言うや否やエリーさんに首根っこを掴まれ部屋から強制と言わんばかりに連れ出された。




