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神すら見通せないこの世界で  作者: 春山
序章
21/105

21話 屍鬼3

「理解したさ。ああ理解した」


男は僕に向かって振り下ろした短刀を止め、姿勢を低くしつつも武器を持ち直す。


「つまり、アイツを殺ればいいってことだよなぁ!?」


「やらせるかよ、馬鹿野郎!!」


僕は両足を男の腹に向けて、スキルを発動する。


「【跳躍】!!!!!」


男の腹に見事に命中し、数メートル先へと飛ばされた。

これで少しは時間が稼げたかもしれないと思い、すぐさまフェリスの元へと駆け寄る。


「ハヤト!!」


「フェリス!なんでこんなところまで来たんだ!?あいつら君を狙って…!」


その先を言おうとした時、彼女から光る何かが零れ落ちるのを見てしまい言葉が詰まってしまう。


「ごめん、強く言い過ぎたかな。でも聞いてくれ、此処に来たら君の身が危ないんだ。だから、部屋に戻ってくれ、頼む!」


こういう場合、どういう風に言えばいいか分からないが、こちらも焦っていてそれどころではない。

いつまでもあの男がこちらに向かってこないわけではない。それに、透明化している屍鬼も居る中で、逃げ場という逃げ場ないのが現状だ。


ーーいったいどうすれば……ッ!?


「アアアアァアアァ!」


屍鬼が襲ってきたと感じ、すぐさま振り返り臨戦態勢に移ろうとした時、信じられない光景を目にする。


「なんで、屍鬼がアイツを襲ってるんだ!?」


そこには、起き上がった男とそれに襲い掛かる屍鬼が達の姿があった。

意味が分からないが、チャンスだという事だけは分かる。


「ごめん、フェリス。勝手だと思うけど、今すぐに逃げよう。僕の…」


「わ……ひ…り…しないで…」


「!?フェリスどうしたの!?何処か、痛むところでもあるのか!?」


微かにだが、フェリスは何かを言おうとしている。それが、苦痛を訴えるものなのか、他の事なのかは分からない。しかし、屍鬼が足止めをしているこのチャンスを逃せないのもある。

僕はフェリスを背負うとするために、背中を向けた時、


「私を独りにしないでください」


そうフェリスが言っている事が聞こえた瞬間とそれは、同じタイミングであった。


「…ッ!?フェリス!危ない!!!」


壁から短刀を持った腕が、いきなり現れ、フェリスの首めがけて近づいていくる。


「クソッ!【跳躍】!!」


フェリスと共にスキルを使い後ろへ飛び、何とか間一髪で避けれたものの腕の正体が一切分からない。

そう思ったのも束の間、直ぐに正体を知ることになる。


「【影なる君(ドッペルゲンガー)】。お前に見せるのは初めてか?」


腕だけがあった場所から、徐々に体が現れ始め、最後にはあの男が壁から出てきたようなものとなった。


「まさかお前が屍鬼を操れるなんてな。面白い事してくれるじゃねえか。だけどな、こうやって移動しちまえば関係ねえだろ?」

男はそう言いながら、獰猛に笑った。

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