表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/66

第64話 W杯への道


日本サッカー界のレジェンド中のレジェンド――釜台邦芳(かまだい・くによし)


その釜台が、いま部員数わずか9人の黄金台高校サッカー部の前に立っている。

何を語るのか。


 その存在感に圧倒され、全員が静まりかえる。

すると釜台はゆっくりと右手を挙げた。

「銅島中のみんなも、こっちに来なさい。」

手招きされ、銅島中サッカー部の選手たちも黄金台の輪へと歩み寄る。

両校の選手が肩を並べたその瞬間、釜台が口を開いた。

 語られたのは、日本サッカーの現状だった。

プロサッカー界の課題。

アマチュアや育成年代の停滞。

そして高校生以下の環境の不安定さ――。

誰もが真剣に耳を傾ける中、釜台は重々しい声で続けた。


「そして、ここからが最も重要な話だ。

日本サッカー協会は、10年以内にワールドカップ優勝を目標に掲げた。」

その一言に、場の空気が大きくざわめく。

「今は2015年。3年後の2018年ロシアワールドカップ……この中から代表メンバーに選ばれる者が出てくるかもしれない。

いや、出てこなければならない。ワールドカップの最年少出場記録は17歳。ちょうど君たちの世代だ。」

 さらに、釜台は一呼吸置いて告げる。

「近々、U-18世代を対象とした新しいプロジェクトが始まる。

簡単に言えば、高校生と中学生が混成の選抜チームを組み、全国優勝を目指す大会が開催される。U-18ジャパンカップとでも言っておこうか。」

選手たちは一斉に顔を見合わせ、さらなるざわめきが広がった。

「今日ここでみんなに会えたのは偶然だ。だが――これは縁でもある。

いつか、君たちの中からワールドカップメンバーに名を連ねることを楽しみにしている。」

そう言い残し、釜台は奥山とともに会場を後にした。

残された若き選手たちの胸には、一つの言葉が強く刻み込まれていた。


――ワールドカップ。


その響きに最も強く燃えたのは、やはりレオ(葵玲央)。

「ワールドカップ……燃えてきたぞ‼ 俺はもう1試合、すぐにでもやれるぞ‼」

「お、おいおい……」

「少しは休もうぜ……」

仲間たちの総ツッコミが入るが、誰もが心の奥底で同じものを感じていた。


“いつか、あの舞台に――。”



 日本サッカー界のレジェンド、奥山康蔵(おくやま・こうぞう)、そして釜台邦芳(かまだい・くによし)との思わぬ邂逅を経て、黄金台高校と銅島中学校のサッカー部の面々には、大きく強く“W杯”の2文字が刻まれた。そしてこれから始まるという、高校&中学の混成チームによる、“U-18ジャパンカップ”。

試合後の余韻と、新たな大会の開催、そしてW杯。様々な思いが入り乱れ、選手たちのサッカー熱は冷めることを止めないまま、夏休みが終わろうとしているのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ